第154話 自動車を作る方が簡単だよ(ただしこの世界に限る)

 サリーが〝私を〟着飾りたい、というので、自分で自分のアクセを制作中。

 コレ、欲しがる人がいたら払い下げよっと。

 宝石もあるけど、手っ取り早くキラキラ感を出すためにガラス工芸に挑戦。アレですよ、ス○ロフスキー的なヤツ?

 メイドの満足感を得るためなので、バッタもんで良いのだ。


「こんな感じので良いか?」

「はい! あぁ……これを身につけているインドラ様……あぁ……」

 …………なんでそんなに盛り上がるんだろう。

 いや、素材なら美少女エルフだっているじゃん!

 私も確かに美少女ではあるが! プラナの方が美形だぞぅ!

 ……とは思ったが、彼女の希望なのでしょうがないのだ。


 ソードにも付き合わせて、私を着飾ったらレストランで食事だ。飲み放題でいいから、って言ったら付き合ってくれると言ってくれた。

 ちなみに、そのために車も用意したぞ! 馬車風、自動車だ!

 馬もいないのに走ってる! と思われるだろうが……いやイースの人間でそんなこと思う奴は新参冒険者くらいだな。リョーク、シャール、ブロンコを見慣れている彼らには馬のない馬車が走ろうとも不思議がるわけがないか。


 余談だが、この世界の馬は、もちろん魔物だ。ユニコーンかバイコーン、の角を折られたもの。

 白は希少で王家以外では所有していないとのこと、つーか所有してたら献上させられる羽目になる。以上、余談でした。


 この自動車は見栄えが最優先なので、クラシカルなデザインにした。前側は運転席のみの助手席無し、後ろはリムジンぽくしてる。馬車風にタイヤを大きくしてあるが、タイヤはちょっと太目にした。

 送迎用なので、シートは超豪華、風。運転席も魅せるために豪華にしてある。

 見栄のためなので、とにかく豪華に見えるよう、色もソードの白と私の青緑とで着色し、一部漆塗りの木を使ったり、金を使ったりしている。運転席のみ、見栄のため、オープンカー風に屋根とドアがスライドして御者台のようにして魅せることが出来る。


 この自動車の運転に、我らが執事殿が手を挙げた。

 執事、実は新しもの好きだったらしい。先代も新しもの好きで、感化されたとか。

「さすがスプリンコート家の血を引いておられる」

とか言われたけど、これ、私、随分クラシカルなデザインにしたつもりなんだけど……。

 シャールとブロンコに乗りたがって、ソードが教え、早々に習得したのも執事だ。

 ……うん、引退後、楽しんでるようで良かったよ。話を聞く限りだと、なかなかに苦労人だったみたいだからね。


 ちなみに自動車を見慣れているはずのアマト氏は

「あ、俺、免許持ってなかったから。それよりインドラ様、自転車作ってよ! 俺、サイクリング派! バイクや自動車よりかは簡単でしょ?」

とか言い出した……。

 あほう! この世界だと、自転車の方が作るの大変だわ! 人力ってな、パーツが半端なく複雑なんだからな!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る