第153話 従業員確保!
話を聞き終わり、私とソードは顔を見合わせた。
――うん、やっぱ、そう思う?
この人たち、死のうとしてるよね?
なんか、後悔の種を潰して、心の荷を軽くして、死のうとしてるって思うよね?
と、思念で会話。
咳払いした。
「そうか、それは良いことを聞いた。……実はな、この屋敷、大きすぎたので、屋敷管理の使用人及びメイドたちに、かなりの負担になっているのだ。先日もメイドの一人が過労で倒れてな……。正直、私が手を貸せば簡単に維持出来るのだが、メイドたちにもプライドがあるので、それをすると叱られるし泣かれるしでな……。困っていたのだ。とにかく、人員増員が急務で、だが、イースではもう大体雇い入れてしまったのだ」
見渡して、ニヤリと笑う。
「私に懺悔の思いがあると言ったな? ならば、それを態度で示せ。言葉などいらん。ここで働け。その懺悔の思いが消えるまで、存分に働いて返せ」
執事以下、呆気にとられている。
「そもそもこの屋敷は、酒造りのためにソードに買わせたのだ。だからな、皆酒造りで手一杯なのだ。屋敷の維持など念頭に無かった私の失敗だ。だから、私の失敗を、お前たちがなんとかしてくれ。……ということで、メイド嬢たち、人手が増えたぞ。これで少しは休んでくれるな?」
控えていたメイド嬢に言ったら
「「「インドラ様の望むままに」」」
と返された。
なら、休むんだろう。
良かった。古株たちには気の毒な話だったが、おかげで人手が足りた!
本当に、またソードとスカウトに行かねばと思ったよ!
ホラ、ウチって、給料あんま出ないじゃん? いや、衣食住完全支給で必要な物は経費で落ちるし遊ぶものも大体揃ってるから外でお金を使う必要が無くて、給料そんなにいらないとか(アマト氏にすら)言われるけどさぁ、知らない人が給料の額を提示すると、まず「安っ!」って言われそうな額だからなー。
で、屋敷は広いし部屋もまだあるし! って思ったんだけど、使用人たち、外で暮らすと頑張る。
古い体質なので、主人と同じ屋敷の、しかも半地下とかじゃない部屋には住めない! って言われるんだよねー。
……仕方ないから建てましたよ! 別棟を! 離れを! 警備リョークも増やしたよ!
言わないけど、その方が手間なんだからね! 言わないけど!
メイド長と執事には、全体管理をお願いした。
「たぶん、これのせいでメイド嬢が倒れたのだ。結構大変だし、サリーは穴が埋まらないときは自分が入るタイプだからな……。私は、穴のまま空けておけ、と言うのだが、ダメらしい」
「サリーは、責任感が強かったですからな」
と執事。
「……まぁ、穴が開かないように調整するものですが、人手不足ならば仕方がありません。わかりました、今後は私が見ましょう」
「よろしくお願い致します」
「もちろん、サリー、貴女にも引き継ぎますよ。確かにここは教えていませんでしたからね」
「はい、ご指導をお願い致します」
なんかサリーの背筋がいつにも増して伸びてるのだが。やっぱり古株さんは緊張するのかな?
……と、メイド長が苦笑した。
「私に目上に対するように応対する必要はありません。ここでは貴女の方が先輩なのですから」
「そういうわけにも参りません!」
サリーって、結構、頑固だよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます