第114話 王城からお迎えが来たよ(行かない)
ダンジョンで得た報酬の整理をして、要らないものを(ソードが持ってたガラクタと共に)売り払い、査定を待ってる間に、王城から使いが来たらしい。
ソードはすっごい悩んだ挙げ句、一人で行く決意を固めてた。
「……膝を折らないお前が王の前で何やらかすのかが怖くて、連れてけない」
のだそうだ。
「別に、王城を滅ぼしたって、民はやっていけると思うぞ?」
「ホンットーにやめて。王様は、そんなに悪い人じゃないから」
と、悪意を感じ取る達人がそう言ってきた。
ふーん?
悪くない人が王様なんてやっていけるのかなー?
あ、そうか、周りの人間が悪い人ならやってけるな。
ソード一人で行くとなってからももめてた。
いっそ行かなければいいのに。
しかたない、私が出よう。
「何をもめてるんだ」
ソードが私を見て、ため息をついた。
「この通りの子供、しかも高慢で傲慢な子供です。無理ですよ、俺だって無作法者だし。下手すりゃ俺たちと騎士団との戦争になりますよ?」
私は即座に否定。
「安心しろ、戦争になどならん。私とお前の実力なら、一瞬にして王城など灰に出来るぞ!」
ソードが額を手で打った。
「生き残った連中は、そうだな、ダンジョンの最深部ゾーンにでもほうり込んでやるか。あそこは通常の人間には耐えられないそうだからな。もしも耐えられ、あの精神界の者と見えることが出来るなら、見込みはあるのだろう、あの精神界の者もいい退屈凌ぎが出来るだろうからな。何か問題を起こそうとも、あのダンジョンコア様なら一瞬にして滅することが出来るだろうし」
機嫌良くしゃべっていたら、ソードが拳固を落とした。
「いたい!」
「……こんなことを平気で、王城で、しかも王の前でもマイペースにしゃべるやつですが。本気で連れて行きますか? ちなみに、言ったことは冗談ではなく、本気で言ってるし、その実力もある。王都に来襲したドラゴンと魔族よりもやっかいなやつだ。――連中がまたやってきても、俺は次も勝つ。だけどな、コイツに勝てるビジョンは、俺は持ち合わせてないんだよ」
で、私とソードを一にらみしてお使いの人は帰って行った。
「これでもゴリ押ししてきたら、もういっそ王城に乗り込んで殲滅してやればいいんじゃないか? ここのダンジョンコア様に挨拶した後、今度は魔族の国へ行こう! 屋敷の皆も連れて行けば良い。今回手に入った素材で大型シャールを作って、皆で旅をするのも悪くないだろう?」
旅芸人一座みたいだな。
ソードが私を無表情に見たかと思ったら、破顔した。
そして頭をなでる。
「そうだな、悪くない」
その表情を見て、思った。
やっぱり、美容製品の効果が出てるぞ!
若返ってきた!
肌、再生してるぞ!
今の表情は、ちょっと年上の少年のようだったぞ!
「ん? どうした?」
「今の顔は、十八歳くらいの感じだった。効果が出てるなと思って、うれしくなったのだ」
「……そっか」
ソードが笑った。
「四十歳から一気に十八歳かよ。若返り過ぎって気もしなくねーが、ま、悪くはないな」
そりゃ、性別関係なく若い方がいいだろう。
ちゃんと歳を取るのと、老化が進むのとは違うもん。
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