第27話 よくある学生の日常

『よく見舞い行ってるらしいな』

「…まあ」


母親に怒鳴って、気まずくて早く学校に来てみると珍しく大久保に会った。


『俺もさ、よくプリント届けたりしてる』

「だから、最近はちゃんと学校来てるのか」

『まぁな(笑)』


以前、大久保は僕に『斉藤久子が好きなのか?』と聞かれたことをふと思い出した。

ちょっとしたイタズラ心で聞いてみる。


「お前、斉藤久子が好きなのか?」

『…ああ』


まさかの返事。聞いておいて何だけど、答えが返ってきてビックリした。


『でもあまり自信ないんだ』

「なんで?」

『斉藤はお前のことが好きなんじゃないかと思ってるんだ』

「まさかだろ」


隠すつもりはなかった。

でもなぜか僕はフラレた事実を言わなかった。

放課後一緒に見舞いに行かないか誘われたけど、昨日フラレたばかりで乗り気にならなくて。


「今日はバイトだから」


そんなベタな言い訳をして断る。

でも、バイトは彼女の希望を叶えるために始めたわけだから、何となく複雑な気持ちだった。


久子は大久保のことをどう思ってるんだろう?

もし好意があるなら大久保は好意を持ってるからうまくいく。


窓の外を見ながらそのことばかりを考えていて、授業なんか全然耳に入らなかった。

体育で校庭を走る生徒をボーッと眺めていた。

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