第23話 姉の秘密
平日の昼間。普通の高校生なら学校で授業を受けている時間だ。
でも僕は学校に行かなかった。
今日は姉の…智美の命日だった。だから、墓参りにきていた。
「あのことは今でも誰にも話してないよ」
墓掃除のラストに水を掛けながら、僕は墓石に話しかけた。母さんも知らない僕と智美だけの秘密、智美の死の真相かもしれない秘密。
智美の付き合っていた彼氏が事故で亡くなった後に、たまたま僕が知ってしまった秘密。
『よっ、サボり』
「…お前もだろ」
『こないだ兄貴の墓参り、サンキュな』
大久保がそこには居た。
智美の彼氏は大久保の兄だった。
だからか互いに身内の命日に墓参りに行く。
大久保と知り合ったのも葬儀の時だった。
トラックに轢かれそうな子供を助けて亡くなったなんて、大久保兄はヒーローのようで。
そんなヒーローの葬儀で泣きじゃくる智美を見ていることしか出来ない僕が、泣きもせずにただ葬儀を見ている大久保と知り合った。
もし久子が居なくなったら、僕は泣きじゃくるだろうか?
それとも大久保のように気丈に現実を見つめるのだろうか?
それとも智美のあの秘密のように…
『メシ食いに行こうぜ』
「…奢りな?」
『今日はそれでいい日だわな』
明日バイト終わったら、久子に会いに行こう。
また来るよ、智美。
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