第22話 報告
『…そうだったんだ』
僕は父親の和久さんから聞いたことを伝えた。
事業が上手くいくかいかないかのタイミングで銀髪病になった久子が、ちゃんとした国からの援助で治療を受けられる様に離婚したのだそうだ。
シングルマザーのほうが国からの援助を受けやすいらしい。
ろくな治療を受けさせてあげられないと思っての苦肉の策…。ある種の偽装離婚で、母親とも定期的に会っているらしい。
久子の言う「銀髪病のせいでの離婚」ではないような、そのせいのような現実。
久子はどう思ってるかな?
ようやく口を開いた久子は、
『…キットカットが食べたい』
「……売店行ってくる」
僕は売店に向かいながら、食欲あるなら大丈夫そうだなぁなんて呑気に考えていた。
僕の居なくなった病室で…
久子が泣いてるとも知らずに。
病室に戻ると中からは話し声が聞こえた。
久子の母親の声だった。
父親に会ってきたり、偽装離婚の話をしたばかりでどんな顔して会えばいいかわからなかった。
だから買物袋を病室のドアに引っ掛けて、
メールを久子に送信して帰った。
───お大事に。また来るよ。
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