第16話 大久保、久保、小久保

『失礼しました』


職員室から珍しいやつが出てきた。

すぐにこちらに気付いて話しかけてきた。


『よっ、元気そうだな』

「こっちのセリフだよ。出席日数大丈夫か?」

『体調悪いわけじゃないからなぁ、出席日数は大丈夫じゃないから呼ばれたんだわ』


彼…大久保はそう言って笑った。

不良と言えば不良で、学校は休みがちだった。

顔見知りじゃなければ、多分関わりたくない。


名前が似ていることが、話すようになったキッカケだった。

クラスが同じだった時、他に小久保というやつがいて、大久保と僕(久保)の3人は大久保、久保、小久保という大中小の久保というククリで呼ばれていた。だから仲は良かった。


不良みたいな大久保と普通に話をしている僕を周りは不思議がっていた…。


『…なぁ、久保』

「ん?なんだよ?」


歩いている大久保がふいに呟いた。


────お前…、大丈夫か?




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