第15話 面会時間外の面会
───窓の外を見て。
こんなドラマみたいなメールを僕が送るなんて…と、久子に送信する。
少ししたら窓が開いて、予想通りに少し驚いた彼女の顔が見られた。
バイト帰りのこの時間は、もう面会時間なんか終わっている。だから正面からは無理だから窓から久子の病室へとお邪魔した。
『何時だと思ってんの?』
「少なくても面会時間が過ぎた時間」
そう言ってヌイグルミを渡す。
「心配だったし、それ渡したくて」
『…む〜、あんまり可愛くない。次は写真送ってよ、欲しいの言うから』
「無茶言うなよ、人気ある可愛いのはなかなか取れないんだよ」
思ったより元気そうで安心した。
もうほとんど完全に銀髪の彼女に元気そうというのが正しいかはわからないけど。
「で、次にしたいことは?」
『遊園地に行きたい!』
…おいおい、つまり僕が独りで遊園地に行けと?
そう思ったけど口には出さなかった。
銀髪病を治してくれた恩人の願いだから?
いや、違うな。僕は多分…。
ひとしきり話をした帰り道、夜の道路は車も少なくて自転車で車道を飛ばした。
夜風が心地よかった。
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