第10話 お願いリスト
「これでいい?」
アルフォートとポテチを渡すと斉藤さんは目をキラキラさせて喜んでくれた。
コンビニに寄ってきただけでこんなに喜んでくれると来た甲斐があったと言うものだ。
『ねぇ、学校は楽しい?』
「普通だよ」
『…いいなぁ、普通』
入院してからほとんど外出出来ない彼女からしてみれば、普通の日常すら羨ましいようで。
彼女が治してくれなかったら僕も同じように今の普通を羨んでいたのだろうか…。
「…で、次は何をすればいい?」
『そう言ってくれると思って用意しといた』
引き出しから出したノートをポンと渡される。
開くとそこには沢山の斉藤のやりたい事や知りたいこと、行きたい所が書いてあった。
種類も規模もバラバラなのは、思い付いたやつから書いたから…なんだろうな。
彼女らしいな、と思った。
ノートをパラパラとめくる。
「バイトしたい…プラネタリウム行きたい…」
ラーメン食べたいとかカラオケ行きたいとか、結構当たり前に簡単そうなやつが多かった。
プリクラ撮りたいとかバイトしたいなんてのは女子高生らしいなと思うし。
…待て。彼女の願いを僕が代わりにやるということはバイトは…僕が働くのか?
自分自身として、バイトしたこともないのに。
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