第8話 銀に輝く
「わかった、誰にも言わない」
『約束だからね』
今の医学で治せない…いわゆる不治の病が治して貰えるなら、秘密にするくらい安いもんだ。
『じゃあ、そのまま目を閉じてて』
言われるがままに目を閉じる。
すると、気のせいかも知れないが体がほんのりと暖かくなってきた気がした。
暖房でもないし、抱きつかれたり何かに包まれたりした感触はない。
一体、何を彼女はしているのだろう?
僕は今、どんな状態なんだろう?
…ほんの少しくらいいいかな?
こっそりと、目を開けてみる。
────綺麗だな。
何より先にそう思った。
彼女…『斉藤久子』は、月に照らされてるかのように、ほんのりと優しい光を発していた。
銀色の長い髪が神秘的で。
そんなに長くない時間だが見惚れた。
そしてその光は少しずつ弱くなって、
完全に収まる。
…終わったのだろうか?
『…あ〜、目開けてる』
「ごめん、つい」
『見た?』
「…光ってた」
『恥ずかしいから見られたくなかったなぁ』
「キレイだったよ」
無意識に率直な意見を口にしていた。
照れ隠しなのか軽くペシッと肩を叩かれた。
『サトシ、治ったよ』
そう言いながら手鏡を渡される。
まだ2回目なのにもう呼び捨て?と一瞬だけ思ったけど、それより今は銀髪病だ。
鏡に映る僕の髪は…銀髪の無い黒髪だった。
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