第3話 突然の提案

『サトシ君はさ、どれくらい生きたい?』


唐突な質問だった。

そんなこと考えたこともない。


「75歳…くらいかな?」

『ちょっと、何その、フワッとした答え』


適当に答えたことは簡単に見破られて。

それを誤魔化すために問い返す。


「じゃあ…斉藤さんは?」

『私?私はもうすぐ死ぬからさ』


───僕はバカだ。

銀髪病のかなり進行した女子に、なんて質問をしてしまったんだろう。

空気が読めないにもほどがある。


『余命ゼロなんだって。先生が言ってた』


淡々と答えたかと思えば…


『もう延長戦って感じ?』


と、急におどけて見せた。

死ぬのが怖くないのか、もう受け入れてるのか。


『サトシ君は秘密は守れるタイプかな?』

「言うなと言われたことを言わないくらいには」

『ふむふむ…そっかそっか』


そして彼女は少しイタズラっぽく笑いながら僕にこう言ったんだ。


『私と取引しない?もしも私の願いを叶えてくれるんなら、

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