第2話 女子の部屋

振り返った彼女と目があった。

見ていた恥ずかしさもあって咄嗟に目をそらすも、彼女は近づいて来た。


『こんにちわ』

「…こんにちわ」

『私、斉藤久子さいとうひさこっていうの。貴方は?』

「…久保智史くぼさとし

『サトシ君ね。よろしく』

「…よ、よろしく」


人見知りしないんだね、斉藤さん。

僕はどぎまぎしているのに。


『…貴方も銀髪病なのね』

「…そうみたい」

『一緒だね私達』


発症…というのが正しいかわからないけど、発症したての僕はまだそこまで実感がない。

でも彼女は、その長い髪がほとんど銀色で。

一緒にしていいのかわからないくらい差がある。


…たしか銀髪病は髪がすべて銀色になる頃には死んでしまうはずだ。なら、彼女はもうすぐ…。


『…ねぇ、サトシ君』

「なに?」

『私の病室に来てくれない?他に聞かれたくない話があるんだけど』


女子の部屋にお呼ばれなんて、病院じゃなかったらよかったなぁなんて。

そんなことを考えつつも、僕は母にそれを告げて彼女の病室へついて行った。


───これから何度もこの部屋に通うことになるなんて、考えもしなかった。

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