第15話『都大会編、前列のサッカー部』
私は今、都大会の会場に来ている。
目的?
当然、黒峰君を応援するためだ。
声は出せないけど、アピールも出来ないけど
・・・それでも応援したいのだ。
美住はこっそりテニスコートに居る黒峰を覗き込む。
「黒峰ー!ガンバレヨ」
「黒峰ふぁいとー!」
「黒峰がんばー!」
知らない男子達が居る。前列にいるから、黒峰君が見辛い。
なんだ、この人たち?・・・
「あーあれ、サッカー部の奴らだな・・・」
後ろからの声にドキッとする。
「!・・・頼子ちゃん?」
「よぉ」
「どど・・・どうしてここに?」
「お前がおかしな行動しないか、心配でな・・・」
「まさか、そんな事しないよ~」
「・・・」
・・・
美住と頼子はサッカー部の後ろから黒峰を眺める。
この状況・・・
例えるなら・・・
好きなアーティストのライブで、後ろの席しか取れなかった感・・・
「私の方が『古参』なのにこの扱い・・・酷いッ」
「お前、『非公式ファン』だろ』
ほれ、そろそろ勇気出して、最前列で応援して来いよ、おら
ちょっ、押さないで、バレちゃうから、ホントに、バレちゃうからー
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