第10話『ようやく存在を気づかせる段階まで来たわけか?』




頼子はコーヒーショップで美住の話を聞く。





メッセージアプリの興奮ぶりだと意味不明だったからな

断片的な情報を拾うと


今日、美住は黒峰の試合の応援に行って

奴に『声をかける』ことになったらしい。




いきなり美住に声を掛けられたら、黒峰もさぞびっくりした事だろう。




あんな美女が自分を応援してくれている。

奴は戸惑うだろうが、

その理由を考えれば答えはひとつ


「もしかして俺の事好きなんじゃね?」


というモテない男子特有の願望に行きついて、

美住もまんざらではないから

次第に、ふたりはお互いを意識しだして・・・




そう、『存在を気づかせる』

それだけでいいんだよ。




それだけで『勝ち確』なのに、どうしてこんなに もたついて しまったのか




そうか・・・

ようやく声を掛けれたか




「これでやっと美住の存在を気づかせることができたわけだな」


あれなんだろ・・・

無駄に達成感ある・・・





「え・・・そんな事ないよ」






「ん?」




声かけた直後・・・


全力で逃走したから、ギリギリバレなかったと思う。

(はぁ、はぁ、危ない、危うく私の存在がバレる所だったよ)




「おい・・・そこは勇気出せよ!!」




結局・・・

一歩も前進していないという事が判明した。



ただ、その応援の後、

黒峰のテニスの調子が急に良くなって

地区大会決勝を勝ち抜いたらしい。



美住は「やっぱり黒峰君はすごい」とご満悦であった。





~余談~



メッセージアプリやりとり



『私はストーカーじゃない、ただ応援に行くだけ』

『おう・・・まぁいいんじゃね』



『みんなが私を不審な目で見るのだけど』

『仕方ないんじゃね』



『ベストポジション確保しました~♪』

『おう・・・良かったな』



『黒峰君が敗けそう、どうしよう 私に出来る事 あるかな?』

『ないんじゃね?』



『ああああううううよりこちゃああああ』

『どした?』



『やったー!勝った、勝ったよ』



・・・以下スルー


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