第22話 悪徳商人の末路

 天井付近に明かり取りのための小さな窓がいくつかあるだけの部屋。木造だが壁も床も相当な厚みがありそうな堅牢さを伺わせる。

 見える範囲の広さは20畳ほどだろうか、薄暗い室内には20人ほどの人影がある。

 どの人影も壁際で身を寄せ合い身動ぎひとつしていない。膝を抱え顔を伏せたその姿は皆女性のようだった。中には10歳ほどの年端もいかないように思える少女も混ざっているようだ。

 

 ゴトッ、ドタドタドタ、ガチャガチャッ。

 突然響いてきた物音に伏せていた女性達の肩が大きくビクリと震える。不安と悲しみと恐怖が複雑に入り交じった表情で側にいる別の女性と抱き合う。

 そして、部屋の扉が開かれると、その顔は悉く恐怖で塗りつぶされていた。

「出ろ! 全員だ!」

 扉を開けた人物が外側から女達に命令する。

 が、その声に一層身を固まらせてすぐに動ける者は誰もいない。

「さっさとしろ! 痛い目に遭わなきゃわかんねぇのか!!」

 ガンッ!

 大きくなった怒声と扉か壁を蹴る音でビクリとしたあと、女達がノロノロと立ち上がる。

 全員が若い。10に満たない少女から、上はせいぜい20歳代前半くらいだろう。

 ほとんどが着の身着のままか、薄汚れた旅装のような服装であり、少なくとも自らの意思でここに来たような感じはない。

 

「チッ!」

 ゴッゴッゴ、グイッ。

「っつ!」

 なかなか出ようとしない女達に業を煮やした男が荒い足取りで部屋に踏み込み、手近にいた女の腕を掴み引っぱる。

 その痛みに女が小さな悲鳴を上げ顔を顰めるが、それに構うことなく扉の外まで引きずり出だれる。

 その様子を見て他の女達も重い足取りで後に続いた。

 

 奥側には別の部屋もあるらしく、そちらからは数人の少年が同じように引きずり出されてくる。

 こちらは全員が10~12、3歳ほどの年若い男の子だ。

 せき立てられるように外へと追い出された者達は、久しぶりに感じる日の光の眩しさに目を覆う。

 それでも男達は容赦なく女達と少年達を建物の前に集めた。

 外から見る建物はそれほど大きくなく、こぢんまりとした倉庫のような外観をしている。

 建物の前は少しの空間があり、数台の箱型の荷車が駐められている。周囲は鬱蒼とした森だ。

 

 バシッ!

「きゃあっ!」

 逃げようとでもしたのか、森に視線を向けた女の1人を男が手にした木の棒で殴った。

 倒れ伏した女の顔は絶望で歪み、他の者達は一層身を縮めて震える。

「ふん。これで全部か? おい! 大事な商品だ、殴るのは良いが怪我をさせるなよ」

 一番豪奢な荷車からひとりの男、ビケットが降りて男達に命令する。

 実に偉そうな態度だが、ビケットの基準では棒で殴られて痣ができるのは怪我のうちに入らないらしい。

 

「なかなか悪くないじゃねぇか。おい! そっちの赤毛の女と、そっちの背の高い女は別にしておけ。連れて帰るからな」

 イヤらしくニヤニヤと笑いながら舌なめずりするビケット。

 選ばれた女達は諦めたように目をギュッと瞑り両手で肩を抱く。

 これから先に自分が辿ることになる運命に絶望するしかない。もっとも選ばれなかった者達とて辿る道にそれほどの違いはないだろう。

「にしても、予定より少なくねぇか?」

「は、はい。このところ近隣の村の警戒が強くなっていまして、かなり遠くの村まで行かなければならず、連れてくるために通る街道も領兵が増えておりますから仕入れが難しいのです。それでも今回の取引分は確保できておりますし、途中で拠点の設置も進めておりますので」

「ふん、まぁいい。できるだけ早く損失を取り戻さねぇとならねぇんだ。すぐに次の取引の準備をしておけよ」

 

 ビケットの言葉に応対していた男は神妙に頭を下げて了承する。

 この通り、ここに集められているのは違法に取引されるために農村から誘拐されてきたり、騙されたり脅されたりして連れてこられた女や少年達だ。

 異世界物の定番である奴隷だが、バーラやオルストにおいては犯罪の刑罰として苦役に就く犯罪奴隷と戦争の捕虜となった者の戦争奴隷を除き、いかなる理由があっても金銭で売買される奴隷は違法とされている。

 実際には現代の地球でも存在するように、様々な理由で実質的に奴隷のような扱いをされている者はそれなりにいるのだが、制度としては禁止されており違反した者には厳しい罰則もある。

 まして、誘拐され或いは騙されて連れてこられた者を意思に反して奴隷として売買することは治安を著しく損なう大罪だ。

 だが、人間の許されざる罪深さか、それなりに需要があるために闇市場で取引されているのが現状なのである。

 

「ビケット様、そろそろ…」

「あん? ああ、そうだな、よし、奴隷共を乗せろ」

 ビケットの『奴隷』という言葉が彼女たちの耳にこれから先の運命を告げているように感じられた。

 もう再び家族にも恋人にも子供達にも会うことはできないだろう。もの凄い幸運に恵まれたとしても、買われたら最期、“人”には戻ることができないのだ。

 絶望と諦観を湛えて次々と荷車に乗せられていく。

 

 

 

「あ! 伊織さん、動き出しましたよ」

 マウントディスプレイを装着した英太が運転席の伊織にそう報告する。

「了解っ。んじゃそろそろこっちも移動するか。森の中だと逃げられるかもしれないからな。街道に出るまで待って、奴隷売買の取引がおこなわれたら突入! ってことで良いんだよな?」

 そう言いながら伊織は後ろを振り返る。

 いつものランドクルーザーとは異なり、縦長のベンチシートが後部まで続く荷台に10人ほどの男達が乗っている。

 が、全員が凍り付いたように固まり、運転席のシート上部に取り付けられたモニターを見ていた。

 反応がないのでしばらくそのまま待っていた伊織だったが、ようやく一番手前にいた男、バーリサスの警衛兵の小隊長を務めるルミゼルが信じられないものを見たような顔で伊織に目を向ける。

 

「あ、ああ、その方が確実に捕縛できるので……しかし、事前に説明されているとはいえ、信じられん……」

「すっごいわよねぇ、異世界の技術って。でも魔法でも使い魔の見ている光景を映し出すものがかつてはあったらしいから、それほど不思議じゃないでしょ」

 例によって好奇心に動かされて着いてきていたリゼロッドが心底楽しそうにモニターを覗きながらルミゼルに言う。

「むぅ……ま、まぁ、我々としてはついにアラベナ商会の違法取引を押さえられるのは助かるからな。しかし、これだけの技術は恐ろしくもある。悪用されたらどれほどの被害が出るか」

 生真面目な衛兵の性なのか、難しい顔で腕組みをするルミゼル。


「っま、その辺は信用してもらうしかないな。心配しなくても遺跡の調査が終わったらこの国を出て行くつもりだから。そもそも金には困ってないし、ああいう鬱陶しい連中が片付けば特にこの国に不満はないからな」

「はぁ、そう願うよ。何にせよ、今の我々にはこの上なく力強い助力だ。よろしく頼む」

 そう言って衛兵としては意外なほどあっさりと頭を下げたルミゼルと苦笑しながら装備の点検を始めた他の衛兵達。

 

 伊織達が今いるのはビケット達が集まっていた森の中の拠点から少し離れた場所にある街道を望む平原の岩陰に駐めた車の中だ。

 数日前、伊織はちょっかいをかけてきたアラベナ商会を調べているときに夜中に荷物を商会の会長宅から運び出すのを目撃した。

 そして追跡した結果、荷物を海に投棄しようとしていることを知り強引に話を聞き出した。

 投棄しようとしていた荷物は予想通り人間の遺体。年若い女性2人と30代くらいの男性。

 さらに詳しく尋問すると、人身売買の商品として商会長のジゲムと番頭のビケットによって連れてこられ、陰惨な拷問の末に殺された女性と商会で働いていた男性のものだということがわかった。

 リゼロッドの屋敷の荷物を始め、様々な違法売買をおこなっているアラベナ商会だったがその中でも中核を占めるのがどこからか拉致してきた女性や少年を売り払う、いわゆる人身売買だということだった。

 

 そしてさらに近々またその違法奴隷の売買がおこなわれるという話を聞き出し、証拠品(遺体)と証人である男達を衛兵の詰所に連行した。

 アラベナ商会がそれなりの大商会であることから衛兵の中に買収されている者がいることも懸念されたが、メリンダから衛兵の中でも特に生真面目で堅物な人物として有名だったらしいルミゼル率いる小隊の話を聞き、その人物に預けることにしたのだ。

 その結果、取引の日取りは不明ながら確実に近日中の取引があることを突き止めたというわけである。

 伊織達としてはあとはお任せでも良かったのだが、ここまで上手く逃げおおせていた商会を確実に追い詰めることが衛兵にできるかどうか不安な部分があったし、乗りかかった船という見方もできる。

 何より、あまりに無残な少女達の遺体を見た伊織と、その話を聞いた香澄が“悪党絶対殺すMEN”に変身してしまったのだ。2人がその気になったのなら英太も否やはあるはずもなく、異世界人の全面協力による調査と監視の結果、本日の捕り物劇となったわけである。

 

 そうして伊織は監視のために軍事偵察用ドローン(マルチコプターと呼ばれる複数のローターが付いたもの)を飛ばして上空から商会を出るビケットを監視。

 森の中に作られた拠点から奴隷として攫われてきた女性達を見つけるに到ったというわけである。

 当然、今回の捕り物は警衛兵が中心となって行う。検挙や捕縛は彼等の主任務であるのだからこれは当たり前だ。

 伊織達はそのサポートをすることになっており、その内容がこの国の人間から見ればあまりにぶっ飛んでいたのでほとんどが着いてこれていないのが実情なのだが。

 

 ともかく、拠点と取引場所がわかればあとは包囲或いは突入しての捕縛となる。

 問題はどちらであっても気付かれれば逃げられてしまうということである。

 現代の地球であれば映像を撮影されていれば証拠としては十分なのだが、その技術のないこの異世界では信憑性を担保することができない。決定的な証拠を確保するか現行犯で捕縛するのが一番なのだ。もちろん、ベンの代官邸で行ったように懇切丁寧に説明して映像を証明すれば大丈夫だろうが、伊織達にそんな悠長なことをするつもりはない。

 というわけで、気付かれたら逃げられるのならば、気付かれないくらい離れた位置から監視して気付かれても問題ない速度で近づけば良いじゃん! ってことである。

 そうなれば現代地球の科学技術の象徴、人員を輸送するための自動車なのであるが、いつものランドクルーザーの定員は8名。

 捕縛するために衛兵を乗せるには心許ない。かといってトラックに箱乗りでは悪路は乗っている人が大変だし、マイクロバスタイプでは悪路は走れない。

 

 というわけで、今回もまたまた新しい車両のお披露目となった。

 カナダのトロントで特殊車両を製造販売しているINKAS社製のヒューロンAPC。

 8300ccディーゼルエンジンを搭載し4WD305馬力。座席定員は16名。

 最大の特徴はどこからどう見ても装甲車な兵員輸送車両である。

 多層防弾ガラスはもちろん、電子暗視システムやルーフ部分に機銃の台座まで搭載されている。

 ちなみにこの車両、通常の軍用車とは異なり個人で購入することもできる。お値段は約6900万円。通勤やご家族の送迎用にお勧めしたい逸品である。大家族でも安心だ。

 

 さすがに慣れない車両を英太に運転させるわけにはいかないので運転席には伊織が座り、代わりに英太はヘッドマウントディスプレイを装着してドローンを操縦することになった。

 英太にとってはどちらも楽しい玩具に等しいので不満はない。

 香澄はというと、ルーフ下部に設置された専用シートに座って機銃台座に設置した5.56mmミニミ軽機関銃の準備に余念がない。

 既に200発のM27弾帯がセットされ、同じものがシート脇の弾帯ケースに4つ入っている。さらに予備として傍らにM16A4までが鎮座している。

 いったいどこの基地を襲撃するつもりなのだろうか。これで良いのか女子高生!

 

 車の大きさもあって小隊全員を迅速に目的地まで運べるようになった一行は、アラベナ商会が取引を行うであろう街道に程近い場所へ回り込むことにする。

 商会の荷車は3台。内2台に奴隷達が押し込まれている。

 ルミゼルの予想では街道で取引相手とすれ違う風を装って荷車ごと引き渡す方法を執るだろうと思われる。

 とはいえ、荷車を止めることなく引き渡すとは思えないので、商会の荷車に接触した時点で捕縛に掛かることになっている。

 

 どう考えても目立つ外観の車両なので、上空からドローンで周囲を確認しつつヒューロンを移動させる。

 丁度良い場所に藪が茂っていたのでその背後に回り、待つことしばし。

 商会が森の中に作った拠点のための小道と街道の合流地点で停止した。そしてそれから少しして街道をバーリサスから南へと向かって走ってくる荷車が一台見える。

 牽いているのは2頭の馬であり、箱型の荷台には紋章と思われる意匠が施されていた。

「やはり領主貴族も絡んでいるか。この際だから一緒に捕縛したい。完全に引き渡しが終わるまで待とう」

「しかし隊長、それではどちらかを取り逃がす可能性があります」

「この荷車の速度なら大丈夫だろう。まずは引き渡された奴隷側の前に出て進路を塞ぎ半数が降りる。相手が貴族本人の可能性もあるからそちらの指揮は俺が執る。

 イオリ殿はその後すぐに商会の荷車を追ってもらいたい。追いついたらレジーが指揮を執って捕縛しろ。抵抗するようなら斬り捨てても構わない。だが、ビケット・アラベナだけは絶対に死なせるな。必要なら手足は全部切り落としてもいいが口だけは利けるようにしておけ」

 こういった捕り物には慣れているのだろう、ルミゼルが次々と出す指示に衛兵達が頷き、分かれる順に席を交代する。

 

「領主って貴族ですよね、衛兵が捕縛なんかして大丈夫なんですか?」

 テンプレなら衛兵が捕縛しようとしても権力を盾に追及を逃れるのが悪徳貴族ってものだろう。それを規則だからと押し通そうとすれば逆に衛兵側が粛正されたりするのがお約束だ。

「色々と根回しが面倒なので軽微な犯罪ならば警告だけで済ませることもあるが、人身売買に関わっているなどという重大犯罪なら現行犯で捕縛できる。裁くのは貴族院という議会と国王陛下だがな」

「あー、意外とまともだ。ファンタジーっぽくない」

 ヘッドマウントディスプレイを装着したままの英太の質問に苦笑しながら馬鹿丁寧に答えを返してくれる。

 こういった堅物は庇護される立場の庶民は好ましく思うだろうが、その分上からは睨まれがちなのだが、大丈夫なのだろうか。

 

「うしっ! 出すぞ!」

 モニターでタイミングを見ていた伊織がそう言うと、ヒューロンを急発進させた。

 急激に掛かるGで野太い悲鳴が上がるが気にしない。英太も香澄も予測していたので動揺はないし、リゼロッドもそんな2人の様子に注意を払っていたのでこちらも問題なし。

 数人が床に転がったが先に体勢を立て直した者の手を借りて起き上がる頃、ヒューロンは貴族側の馬車を追い抜き、前に出ると道を塞いで停止する。

 予想通り荷車ごと引き取ったらしく、奴隷達の乗った商会の荷車も2台慌てて止まった。

 すぐさま後部と横の装甲扉が開き、ルミゼルを先頭に6人の衛兵が飛び出す。

 直後、車内に残った衛兵が扉を閉めたのを確認して、再度の急発進。商会の荷車を追う。

 

 貴族の馬車とは逆方面に街道を進んでいた商会の荷車だったが、猛然と砂埃を上げながら追いかけてくる巨大なヒューロンに気がつくと荷車の速度を上げる。

 ただ、それが衛兵に追われていることを察知して逃げようとしているのか、得体の知れない巨大な物から逃げようとしているのかはわからないが。

 というか、だれであれ、こんなのが迫ってきたら間違いなく逃げる。

 だが、いくら逃げたところで所詮は動物に牽かれる荷車である。ましてや舗装されているわけでもない土の街道でそれほどの速度が出せるわけもない。見る間に追いつき、荷車の背後に肉薄する。

 その直後、荷車の後部の窓が開き、矢が覗いた。

 

「放って置いても弓矢程度じゃ傷も付かないだろうけど、このままじゃ荷車に乗ってる奴が危ないか」

 伊織は誰に言うでもなく呟くと、街道を外れて前方に回り込む。

『うわぁっ!!』

 人数が減ってスペースにかなりの余裕ができた分、衛兵達は踏ん張ることができずに叫び声を上げながら床を盛大に転がった。

「伊織さんっ、足止めする?」

「んにゃ、確か、中に女の子が2人居るはずだろ? 下手に荷車が事故ったら危ない。前に回って止めさせるから連中を逃がさないように牽制してくれ。英太はドローン回収してから衛兵さん手伝ってやって」

「はい!」

「うぃっす!」

 

 

 

 一方、

「くそっ! 何なんだアレは?!」

 荷車の窓から街道の脇を併走する巨大な荷車を睨みながら護衛の男が吐き捨てる。

 原理はわからないまでも人が乗って移動する乗り物であることだけはわかる。というかそれぐらいしかわからない。

 そして荷車の椅子の中央にどっかりと座ったビケットは怒りに震えながら唇を噛みしめていた。

「異世界人めがっ!」

 ビケットは今自分達を追っている者の正体に見当が付いていた。

 バーリサス屈指の規模を誇るアラベナ商会の番頭であるビケットも伊織達がおこなった商業ギルドでの『自動車』と呼ばれた荷車の説明に参加していた。

 だが、他の商人同様、その道具の運用の困難さと複製が不可能なことで早々に諦めたひとりだったのだ。

 無論、強欲なビケットからすれば奪ってでも手に入れたい物ではあったが危険を冒して入手したところで使えなければ大損であることには変わりないし、何よりその異世界人の得体の知れなさに不安を感じ、彼としては珍しいことに欲を押さえつけたのだ。

 

 その時に見た物と今自分達を追ってきている物は大きさも形も異なるが、本質的に同様の技術で作られた物であることは容易に想像できる。

 操縦にも特殊な技術が必要だという説明を考えれば乗っているのも間違いなく異世界人達だろう。

 そして、今にして思えば、リゼロッドの使用人を拉致しようとしたときに邪魔した男達というのも不思議な道具を持っていたという。

 ならばわざわざ厄介な存在を意図せずに敵に回していたということになる。

(だが、奴等はただの旅行者だったはずだ。バーラで権力を持っているわけじゃない。俺達には懇意にしている貴族や高官が沢山いるんだ。この場さえ逃れることができれば)

 

「おい! お前達は街道で迷っていたところを俺達に拾われたんだ。つまり俺達が助けてやった、ということだ。わかるな? きちんと証言すれば元の村に帰してやる。金も持たせてやろう。いいか?」

 一計を案じたビケットは荷車の隅で互いに抱き合いながら震えていた2人の女に言いきかせる。

 突然の言葉に女達は戸惑いの表情を見せた。

「信じられないか? だが、逆に俺達が不利になるような証言をしたらお前達もお前達の村も皆殺しにしてやる。いいか? 家族や友人諸共死ぬか、金を手にして無事に帰るか、どっちが良いんだ?」

 脅迫と懐柔の両方がこもった言葉に女達は怯えながら『言われたとおりにします。だから帰らせてください』と言った。

 

 ギシィッ!

「うおっ?!」

 女達の返答を聞きニヤリとビケットが笑みを浮かべた瞬間、荷車が急停止して車内で転びそうになる。

 どうやらあの異世界の乗り物に前を塞がれたらしい。

 舌打ちしたい気分を押さえ、呼吸を整えてからビケットは荷車を降りる。

 それと同時に、目の前にそびえる巨大な乗り物から、以前商業ギルドで見かけた異世界人も降りてきた。ひとりだけだ。

 ビケットはいかにも憤慨した様子を作りながら声を張り上げる。

 

「何のつもりだ! 我々をアラベナ商会と知ってのことか!」

 堂々と問いただすビケットの姿勢に伊織は意外そうに片眉を上げる。

「リゼんとこに散々迷惑かけてくれた商会だろ? もちろん知ってる。まぁ、メインは俺の方じゃなくて衛兵さんの用事なんだけどな」

(衛兵もいるのか? だが、逆に好都合だ。このタイミングで来たということは奴隷売買の情報をどこからか聞きつけてきたんだろう。商品は既に引き渡した後だし、ここにいる女達には言い含めてある)

 

「衛兵に疑われる覚えなどないが、不審な点があるなら調べればいい。ああ、そういえば荷車の中には街道で行き倒れていた女達を保護している。事情を聞くのは構わないがあまり負担をかけないでくれよ」

(ふん。この場を誤魔化して後で目にもの見せてくれる)

「ああ、そっちもだけどその前に、おたくのところから運び出された死体、アレの事情って奴を聞かせてもらおうか」

「?!」

 想定していたことと異なる内容にビケットが目を剥く。

(ま、まさか、下働きに捨てさせた死体のことか? 奴等捕まったのか? だが何故このタイミングで?)

 下働きに死体の処理を命令したことは覚えているが、その後どうしたのかなどいちいち気にしていなかったビケットは自分の思惑と違う展開に戸惑う。

 それに死体の処理を命じたのはもう数日も前のことで、捕まっていたのならばもっと早くに衛兵が来ているはずだ。


「なんのことだ? 言い掛かりは止めてもらおうか」

 言いながらビケットは荷車を降りていた護衛に目配せをする。

 ビケットが乗っていたのは特注の大型乗用荷車だ。大切な取引だったために用心して腕の良い子飼いの傭兵を6人乗せている。御者も腕に覚えのある傭兵上がりの者だ。

 見たところ車外に出ているのは男がひとりだけ。あの異世界の荷車の屋根にひとり女が見えるが、弓を持っているわけではないし、どちらにせよあの位置では弓矢は使えないはずで、使えたとしてもひとりだけなら何とでもなる。

 いまだに出てこないところを見ると衛兵が乗っているというのもハッタリだ。

 そう判断したビケットが伊織に襲いかかるべく護衛に合図を送ろうとしたその時、伊織の右手が素早く動く。

 そして何かが破裂したかのような音と同時にビケットは自分でも何が起こったかわからず真横に倒れた。

 

「え? な? え?」

 突然右足が無くなったかのように倒れたビケット。

 一瞬の後、火傷をしたときのような熱を右足に感じ、一切の感覚を感じることができなくなる。

 何が起こったのかわからず呆然と伊織の方を見るがその手にはP320-X5。

 込められていた弾丸はホローポイント弾の一種、R.I.P弾。人体を破壊することに特化した弾丸で銅が被覆でではなく全体に使用され、人体に侵入した瞬間弾頭が8つに分離して周辺の組織を破壊し尽くす。よくこんな残忍な弾丸を考えたものだと恐ろしくなるような代物である。

 そんな弾を膝に撃ち込まれたビケットは痛みを感じるよりも先に、繋がっているだけで中身はグズグズのスープと化した膝のせいで倒れ込んだのだ。

 

「うぎゃぁぁぁ!! あ、あし、足がぁぁ!!」

 一瞬の静寂の後でようやく襲ってきた激痛にビケットの絶叫が響く。

 後ろに控えていた護衛はそれを聞いて弾かれたように動く。

 それなりの訓練を積み、荒事にも慣れているのだろう、何が起こったのかは理解できなくても伊織の手にある拳銃で攻撃されたことを察してビケットを助けるべく2人がビケットのところに、残りは剣を抜いて左右から回り込むように伊織に向かおうとする。

 

 ダダダダッ! ダダダダッ!

 そこに上から響く発射音。

 伊織に迫ろうとした護衛の足元、というか足に向けてヒューロンのルーフから香澄がミニミ軽機関銃をぶっ放したのだ。

 当然伊織に襲いかかろうとしていた護衛達の足が止まる。その内の1人にいたっては実際に太股を打ち抜かれて転げ回っている。

 直径5.7mmの弾丸が音速の2.5倍の速度で直撃すればいくら歴戦の傭兵であっても構わず戦闘続行などできるわけがない。

 たとえ名前に可愛らしい響きがあろうが、数多くの国の軍隊で制式採用されている一線級の支援兵器なのである。

 

「く、くそっ、逃げ……」

 上からの未知の攻撃にようやく不利を悟った護衛達が一転して逃亡に舵を切る。

 が、その時、ヒューロンの扉が開き警衛兵が飛び出した。

「全員捕縛しろ! 抵抗するなら斬り捨てる!!」

 指揮を執るレジーの声が響く。

 雇用主は屑でも雇われた護衛は優秀なのだろう、ビケットを逃がすために1人は荷車からドゥルゥを外し、1人はビケットをそのドゥルゥに乗せようと肩を貸す。残りは時間を稼ぐために警衛兵に立ちはだかったが、それも所詮はただの悪あがきに過ぎず、逃げようとしたビケットはドゥルゥに乗ろうとした瞬間にもう一方の膝を伊織に、両腕を香澄に撃ち抜かれてあっさりと捕縛された。

 

 別の護衛は荷車に乗っている女達を人質にしようとひとり引き寄せようとしたところで香澄に頭を吹っ飛ばされる。

 セミオート機能がないはずのミニミで単発撃ちの精密射撃。もはや曲芸である。

 それを見た残りの護衛の男達は抵抗を諦め、武器を捨てて投降した。

 元々が金で雇われた傭兵だ。依頼主の命令に従っただけとはいえ、官憲に攻撃を仕掛けたのだから罰は受けるのだが事情は考慮されるはずなのでこの場で死ぬよりはマシだと考えたのだろう。

 その後、ビケットは失血死しないように簡単な治療が施され、護衛達は手足を拘束されて新たに伊織が用意した護送車に乗せられた。

 ただ、警衛兵が飛び出した直後、荷車の影に隠れるようにその場を逃走した御者の男を除いて。

 

 

 

 

 ガラガラガラガラ……。

 豪奢な箱馬車が結構な速度で街道を走っている。

 通常なら故障するのを怖れてそんなに速度を上げることなどあり得ない。そのままなら遠からず車軸が壊れて立ち往生する羽目になるだろう。

 しかも日は既に傾き、ほどなくあたりは夕闇に包まれる時間帯だ。

 そしてこの街道を進んでも次の街まで辿り着くにはこの速度でもあと半日はかかる。

 もっとも、馬車に乗っている者にとってはそんなことはどうでもよく、今はただ先を急ぐことが最優先となっていた。

 

 金に飽かせて作らせた馬車は普段なら広さと乗り心地の良さを自慢する逸品なのだが、今は所狭しと金や貴金属などの金目の物が箱詰めされて積まれており、乗っているのは醜く太った男がひとりだけだ。

 男は落ち着かない表情で親指の爪を噛みながら視線は忙しなく室内を巡っている。

 明かり取りの窓から入る光はかなり弱まり、そろそろ明かりがなければ室内を見渡すことはできなくなる。

 街を出て既に一刻(鐘が鳴ってから次の鐘が鳴るまでの約2時間)馬車を走らせ続け、ようやく御者台から声が掛けられた。

 

「ジゲム様、暗くなってきましたし王都からも充分離れましたのでそろそろ野営の準備をした方がよろしいかと思いますが」

「ば、馬鹿を言うな! バーラを出るまで安心などできるか! 夜通し走り続けろ!!」

「し、しかし、それでは馬がもちません。無理をして馬が潰れたり馬車が壊れでもしたらそれこそ脱出どころではありません」

 いつもならジゲムの命令に黙々と従うだけの御者だが、今回ばかりは逆らってでも聞いてもらわなければならないと考えたのだろう、重ねて言い募る。

「……チッ! 見つからない場所を探せ」

 言外に込めた危機感を感じ取ったのか、忌々しそうに舌打ちしたもののジゲムはそれ以上強要することなく口を閉ざした。

 御者はホッとした表情で、同じく御者台に座っていた護衛に頷き、その男は馬車の前後で馬を走らせている護衛の傭兵に合図を送った。

 

 二刻ほど前、私邸にいたジゲムのところにビケットと共に奴隷取引の現場に行ったはずの御者が飛び込んできた。

 そしてビケットが警衛兵に捕縛されたことをジゲムに報告する。

 その報を聞いた瞬間、あまりの怒りで御者を殺してしまいたいほどの殺意を覚えたが、すぐにそれどころではないことに気がつく。

 警衛兵がビケットを捕縛した容疑は私邸から運び出された3人の殺害容疑。

 それだけでも次はジゲムを捕縛にくることは確実だし、既にビケットの身柄が警衛兵の手にあることを考えれば違法な人身売買もすぐに明らかになってしまうだろう。

 アラベナ商会が行ってきた悪事はそれだけではない。

 リゼロッドの屋敷に隠した禁制品はもちろん、誘拐や脅迫などありとあらゆる悪事を重ねて今の商会を築き上げたのだ。

 もちろん真っ当な商売をしている他の商会からは嫌われているし悪評は消しようのないほど蔓延している。

 

 それだけに敵も多く、多数の高官の弱みを握り、また賄賂で買収をしていても何をしても大丈夫なほどの権力を手中にしているわけではない。

 ましてや今回の件は少々の不正とは違う。アラベナ商会に不満を持っている商会や行政官僚はここぞとばかりに追及してくるはずだ。

 事ここに至っては最早逃げるしか助かる道はない。

 すぐさまジゲムは馬車と護衛の傭兵を準備させ、ありったけの財産を積み込む。

 積みきれない金目の物は屋敷と商会の使用人にジゲムに有利な証言と時間稼ぎを命じ、業腹ではあるが報酬として渡すことにした。

 無事に国外へ脱出できれば無意味に捨てることになるのだが持ち出すことができない以上、保険だと思って諦めるしかない。

 

 こうして急いで準備を整えたジゲムと御者、護衛の傭兵は王都を脱出し、街道を西に向かって走らせた。

 この先2日の距離にアラベナ商会の支援者である貴族の領地がある。

 この貴族の依頼には相当な後ろ暗いものが多く、同時に多額の利益を提供していた。

 当然ジゲムが官憲の手に渡るのはその貴族にとっても不都合なはずなので国外脱出に協力するだろうと考えられた。

 その所領には港もある。船の準備さえしてもらえれば大陸西部の諸国に逃れられるのだ。幸い積み込んだ大量の資産があるので、そこで再び身を立てることもできるはずだ。

 

 急いだ甲斐があって既に道程は半分ほど来ている。

 王都の警衛兵がジゲムを捜索しているだろうが、夜に街道を移動するのが難しいのは同じ。ならばそうそう追いつかれることもないだろう。

 実際に船出するまでは安心することはできないが、ここらで少し気を緩めても問題ないだろうと自分に言いきかせ、ジゲムはようやく力を抜いて椅子に体重を預けた。

 

 バラララララ……

 野営をする場所を探すために離れていた先行の傭兵が戻り、誘導に従って馬車が街道を外れようとしたとき、上空から聞こえてきた奇妙な音にジゲムは気付いた。

「おい、何の音だ!」

「わ、わかりません、遠くの空か、ら……」

 言葉の途中で声が途切れ、代わりとばかりに響いてくる音が大きくなってくる。

「おい、何があった! おいっ!!」

 怒鳴り立てるジゲムの声をかき消すように、もはや轟音と言ってもいい音がビリビリと馬車を振るわせる。

「いったい何があったというのだ!」

 痺れを切らせたジゲムが、それでも慎重に馬車の扉を少しだけ開き、外の様子を窺おうとする。

 

 と、不意にその扉が勢いよく開かれ、覗くために身を乗り出していたジゲムはその拍子に外に転がり落ちた。

「うぎゃぁっ!」

 太っている上にろくな運動もしていない男が転がり落ちればすぐに状況を把握することなどできるわけがなく、痛みを堪えて身体を起こしたジゲムの目にしたのは眼前の空に浮かぶ巨大な卵形の“なにか”とその胴体部の扉から、これまた見たことのない武器らしきものでこちらを狙う少女。

 そして、倒れ伏した護衛の側で湾曲した剣を手にして佇む少年も。

 

 

 

「は、放せ! 貴様等、こんなことをしてただで済むと思っているのか!」

 ヘリコプターでジゲムに追いついた伊織、英太、香澄の3人はあっさりと護衛達を無力化しジゲムを捕縛すると、そのまま連行することなく森の中まで引きずっていく。

 そして1キロほど入った所で立ち止まった。

「はぁ、はぁ、はぁ……な、なんのつもりだ、こんなところに……」

 強引に道のない森の中を引きずってこられたジゲムの姿は、無駄に華美な衣装は所々破れ、靴も脱げて傷だらけである。

「なに、どうせこのまま捕まったところで反省なんかしないだろ? あっちこっちに金もばらまいてるみたいだし、軽い罪で釈放されたりしたら色々と面倒だしな」

 伊織のその言葉にジゲムは顔を青くする。

 

「こ、殺すというのか、私を……」

 震える声で問い返すジゲムに、伊織は実にイイ笑顔で首を振った。

「いいや? ちゃんと警衛兵さんには引き渡すよ? これまでにおこなった犯罪行為の証言もしてもらわなきゃならないし、勝手に殺したら怒られるからな。あっちはあっちで協力した貴族や高官を知りたいみたいだし。ただ、その前に、自分の罪深さを心から悔やんでもらわなきゃ犠牲になった人達が浮かばれない」

 そう言って伊織が一緒に来た英太に目で合図を送ると、英太は黄色と黒のストライプがお馴染みのナイロン製ロープ、いわゆるトラロープでジゲムの両手を縛り上げ、さらに胴体巻き付けると、逆側を高い木の枝に引っかけてジゲムを吊し上げた。

 そのまま両足まで宙に浮かせると、今度は伊織がジゲムの身につけている衣服をハサミで切り裂いて腰巻き以外素っ裸にすると、背中に魔法陣を描いていく。

 

「簡単に死なれちゃ困るからな。生命力を高める魔法を掛けてやるよ。手足が千切れようが内臓が腐り落ちようが魔法が切れるまでの1ヶ月は脳が破壊されないかぎり生きていられるから安心してくれ」

 まったく慈悲になっていない残酷なことを言いながら、次に容器に入ったドロリとした液体と刷毛を取り出し、英太と2人でジゲムの全身にその液体を塗っていく。

 甘ったるい匂いがあたりに立ち込める。

「これって、なんすか?」

「水飴とダークラムって酒と、ちょっとした薬品を混ぜたもの。夏休みにカブトムシとかクワガタ捕まえるときに木に塗って使うと目茶苦茶捕れるぞ」

「小学生じゃないんですから、さすがに高校生にもなって虫取りしないっすよ。でも、それを塗るってことは」

「反省してる間寂しくないように“お友達”に集まってもらおうと思ってな」

「うわぁ、ちょっとエグすぎません? 見たらトラウマ間違いないっすよ」

「まぁ、さすがに我ながらこんな拷問めいたことは趣味じゃないけどな。何人もの罪もない少女を陵辱して嬲り殺したんだ。これぐらいはしないと罰にならないだろ。うっわ、汚ねぇ!」

 

 塗りながら行う2人の会話に、ジゲムは恐怖のあまり失禁してしまう。ついでに後ろ側からも異臭が漂ってくる。

「た、頼む! 何でもする! 金ならあるだけ渡す! だから…!」

 恐怖に引き攣った顔を涙で濡らしながら懇願するジゲムを無視して、全身に液体を塗った2人はさらにロープを引いて地上から5メートルほどの位置にぶら下げて固定した。

「じゃあ、2、3日中には衛兵さん達が迎えに来るだろうからそれまで罪をお前さんが信じる神様にでも懺悔しててくれ」

「早く戻らないと香澄に怒られますから急ぎましょうよ」

「その時は英太に任せる。頑張ってご機嫌とってくれな」

「酷くないっすか?!」

 

「待ってくれ! 頼む! 助けてくれ! 助けて!!」

 振り返ることなく立ち去る伊織達に声が嗄れるほど叫ぶジゲム。

 だがそれに応える者はなく、虚しく響くだけだった。

 それでも幾度も声を張り上げて助けを呼ぶが、辺りが暗くなってしばらくすると体力も尽き、身体に食い込むロープの痛みに気を失うのだった。

 

 

 どのくらい時間が経ったのか、ジゲムは身体を襲う奇妙な感触で目を覚ました。

 夜明けが近いのか、木々の隙間から見える空は明るくなってきているようだ。

 つり下げられている両腕は既に感覚がなくなっているが、背中や胸をモゾモゾした感触が這い回っているように感じる。

「ぐ……」

 声を出そうにも喉が張り付き、微かな呻きしか出てこない。

 動かない身体を僅かによじり、かすむ目で感触のする胸元を見る。

「!!……っ!……っ!!」

 まるでジゲムの肌を覆うように無数の虫がそこには這い回っていた。

 

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