大きな石をひっくり返すと見えるもの


公安系公務員の仕事をやっていて思った事は

学生の時には出会わなかったタイプの人と多く出会った事だろう。


そうそれは、道にあった大きな石をひっくり返す返して見て初めて見えるあの感じです。


知っていたけど、

実際にあったんだこんな事というのを見ていました。



消防士らしいのでいえば、


窓という窓から炎が吹き出して、前にあった電線が切れてバチバチと音を立ててブランブランしていた火災現場。


燃え上がる火柱と言っても過言ではないほど燃え上がって真夜中なのに真っ昼間みたいな明るさの火災現場。


中央分離帯の突っ込んで、横転する乗用車。

電柱に突っ込んでくの字に凹んだ軽自動車に閉じ込められてる人。

大通りでバイクが大破して吹き飛んで蹲るライダー。



救急隊で見たのは本当に多岐に渡ります。


高所から落下して動けなくなった人。

飲み屋の喧嘩でビール瓶で頭を殴られてパックリいって血塗れの人。

幻覚が見えてるのか救急車ないで「殺される!!」と叫ぶ人。

真夏の晴天下に一人で素足で徘徊していた老人。

家族に逃げられてゴミ屋敷の中で低血糖発作で気絶していた人。


これらは生きていた人の例ですが....



雑木林の中で首を吊っていた孤独な人。

自宅の部屋の中でビニールをかぶって亡くなってた人。

血塗れで自宅の居間で首を吊っていた一人暮らしの中年男。

階段から落ちてそのまま無くなってたのか卍のようになって階段の前に置いてたタンスとの間に挟まってた腐ってた人。

カップラーメンにお湯を入れたままで食べる事なく真っ黒になって腐ってた人。

肩より高く積まれたゴミ屋敷の中で一人でテレビがつけっぱなしで腐ってた人。

精神を病んで暴力的になり家族も知人も去っていって最期を迎えた人。


という感じです。


ちなみに消防に入ってから知ったのですが、

救急車の常連さんというのが何人もいました。

理由は様々で

・身寄りがなくて病院に行く足がない

・一人ぼっちで寂しいから。(ついでに病院行く)

・自損行為をしたので

などなどいました。

結構色々なニックネームがつけられて指令段階で無線で住所を聞いただけで、「おいおいまた〇〇〇〇かよ」みたいな空気感はよくありました。


今出会うような人たちとはまるっきり対比なタイプの人と多く出会いました。


上京当初は、

そのギャップ感に驚いてましたねw


あまり言葉に言い表すのも悪いのかもしれませんが、海外でいうところのスラム街のような地区が消防時代の勤務地でした。


ので、

英語ペラペラで英語の仕事をしていない背筋の伸びた超がつくエリートを見たり、

夢を追っかけて目をキラキラさせて出てきてる上京した人なんかを見てると、

あの世界とは全然違うなーとか感じてしまいます。


それはさておき、

公安系公務員は大きな石の下を覗くような仕事だなと今になって強く感じます。


でも、

その見てきた世界で過ごしてる人生というものある事に気がついていました。


色々な人生がある中で、

自分自身どんな人生を歩みたいかを考える事が消防士の時に多くありました。


公務員として安定したキャリアのままで人生を終えることが本当に幸せなのかなとふと疑問に感じていました。



それもそれなんですが、

消防士になった後でも警察官になれなかった事を後悔し続けていたので、

心と身体が分離しているような時期を過ごしていました。

このまま、長い時間を過ごしても幸せ?かなと感じる日々が多かったです。



消防時代になりたい先輩像を見つけないと教官に言われた言葉を思い出して、

なりたい先輩を探していましたが....


見当る限り心惹かれる人がいませんでした。

「だるい」「金がない」「昔は良かった」

「今若い時がいいんだよ」という人ばかりだったので...


公務員の恐ろしいところは...

「働いたら負け」

「ちょうどいいところで責任がないところで止まってるのいい」

という風潮が少なからずあった点でした。


だからといって、

中途半端に公務員を辞めた所で最終的に現場で見た反面教師のような人生を送るかもしれないという恐怖感を覚えてました。


もし私が公務員を辞めるきっかけになったパズルの

ピース一つが大きな石をひっくり返して見つけた気がします。


違うピースの話は続きはまた今度の話で。

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