第2話 その「おまじない」、デメリットの方が大きい!
ラルフと、ペットがパニックになってるノアを見つける。
「え!? どうしたんですか!? 王女様! 落ち着いてください」
ラルフを一瞥すると、ノアが言い放つ。
「うるさい! クソイケメン!」
「王女様、口悪ッ! ほらー、精霊ですよ」
ラルフがペットをノアの前に差し出す。
ペットもノアをあやす。
「ほら、王女様、光ったりもできるぞー」
ペットが発光してみせる。そんなペットを見てノアが、さらに怯えてしまう。
「うわーなんか、光ったよ!気持ち悪いよ!」
「え…気持ち悪いって……。ラルフはいつもこれで泣き止んだのにッ!」
ペットがショックをうける。
次第に、ノアが過呼吸になってしまう。
「えーーー! 一大事! 王女様! しっかり! オミソ村の危機ッ!」
そこへ、ムギが走りこんで、デメキン様人形を渡す。
「王女様、このデメキン様人形があれば大丈夫です。僕はダメでも、デメキン様なら裏切らない! だって神様だもの! すごいご利益ありますよ」
ノアがデメキン様人形を手に取り、じっと見つめる。そして次第に落着きを取り戻していく。
その様子を見て、ラルフが感嘆する。
「さすがムギ君。助かったー」
<゜)))彡<゜)))彡<゜)))彡
広場のベンチに座りムギ達が、落ち着いたノアの話しを聞く。
「私は何もかも心配で、こんな自分は嫌で、変えたくて、神頼みをする毎日です」
ラルフが不安そうな表情を浮べる。
「心配だな。なんか、騙されそうなパターンだよね」
ノアがラルフの言葉に頷く。
「そうなんです。神頼みすることも、なんとかしたいんですけど、なかなか止められなくて」
「まーデメキン様に頼り切ってる我が村が言えたことじゃないけど」
ムギがラルフとノアの会話を聞いていて気付く。
「ていうか、なんか村長と普通に話してません?」
ラルフが頷く。
「ああ、本当だ。王女様、男性が苦手なのでは?」
ノアが飄々と答える。
「中年の方は大丈夫です」
ラルフが固まってしまう。
「中年……」
ノアの言葉にムギが吹き出す。
吹き出したムギに、笑顔でラルフが応える。
「ムギ君、復讐やめてくれるかな?」
ムギも負けずに満面の笑顔で返す。
「復讐されるような、覚えがあるんですね?」
ムギとラルフの、しょうもない小競り合いにペットが、怪訝な顔をする。
「この一件で、ラルフとムギ、ギクシャクしてないか」
ノアが、その様子をみて焦る。
「私のせいでッッっ!!」
ノアの呼吸が荒くなってくる。
今度はムギと、ラルフが焦る。
「違います! 違います! 僕達、超仲良し」
ムギとラルフが肩を組み合う。
ノアが肩をなでおろし、深呼吸する。少し安心したものの、まだ心配なのか、ムギとラルフをキョロキョロ見る。
そんなノアを見て、ラルフはゆっくり話す。
「王女、あなたは大丈夫です。ここまで一人で来たんですよ? こんな辺境の地まで」
ノアが頭を左右に、激しく振る。
「いえ、神頼みしたい一心で来ただけです」
ラルフが、屈んで目線をノアに合わせる。
「だとしたら、底力がハンパないです!」
ラルフがニコッと、王女に笑いかける。
そんなラルフを見ると、ノアが黙ってしまう。
ラルフが心配する。
「どうしました?」
小さな声でノアが呟く。
「姉に似ていると思いまして……」
ノアの声が聞き取れなかったラルフが、また優しい顔を向けて首をかしげる。
ノアが首をふる。
「いえ、なんでもありません。大丈夫です!……あ!!」
ノアが青ざめる。
ノアが今度は辺りをキョロキョロと見回す。そんな様子のノアにムギが何事かと思い尋ねる。
「どうしましたッ!?」
「あの私、毎日、白い花を摘まないといけないんです。この辺りに白い花はありますか!?」
「白い花?」
「おまじないなんですけど、一度初めたら最後、途中でやめると凄い祟りが!」
「そのおまじない、デメリットの方が大きくないですか!?」
「ああ! もうダメだ!! 終わりだ! 祟りが起きる! オミソ村にも迷惑が!!!」
「僕がすぐ村の外の林で摘んできますから」
「そんな! 申し訳ないですし、自分で摘まないと意味がないんです。一緒に行きます」
「村の外ですよ……。危なくないですか……」
「お願いです! 自分で摘まなくては! ここまで一人で来たんで、問題ないです」
「そう言われると、そうなんですが」
ムギがラルフの方を見る。ラルフが腕をくんで考える。
「あの群生してるところだよね? うーん。すぐそこだし、大丈夫かな?」
「面倒を言って申し訳ありません。ありがとうございます」
ノアが深く頭をさげる。
ラルフとペットが、村を出ていくムギとノアの背中を見送る。
ペットがラルフに問いかける。
「大丈夫か? ライラを付けた方がよくないか?」
「ライラ君と王女の相性よくないだろうからなー。ライラ君、帝国で随分嫌な思いしてるし」
「ああ、確かにそうだな」
「ムギ君の機転はある意味、能力者より防御力高いしね。なにより偽造しようものなら重罪になる、ネックレスの紋章。このご時世に帝国に仇なす人、いないでしょう」
「なるほどなー」
「あれがある限り大丈夫かな。だから一人で出歩かせてるところあるのかもね」
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