第3期 10月〜3月
●きみと息をしたくなる――Oct.
「町を沈めた海の水位が上がる。清花を海の底に引き摺り込もうとする。」
静まり返った図書室を、水の中のようだ、と彼女は言った。息の詰まるその場所から、千智は清花を連れ出した。山の上から住み慣れた町を見下ろし、清花は思う。この世界の生きづらさ。そこから逃れられない自分たちの不自由さを。
(現代ドラマ/百合、高校生、受験、部活/全1話、4,834文字)
●あるいは幸運なミステイク――Nov.
「そんな可愛いところばかり見せないで。もっとカッコイイところを私に見せてよ」
怪盗の犯行予告があった美術館。刑事である久登が気紛れに屋上に足を向けると、そこに女の影があった。奇抜な恰好をしたその女こそ、予告状を出した〈怪盗コレット〉。正体は、前に久登がバーで口説いた女だった。
(恋愛/怪盗、警察、カクテル言葉/全1話、3,113文字)
●見上げれば降るかもしれない――Dec.
「君が流れ星なら良いのに」
夜。クルロは剣を携え外に出る。義姉にさえ敵わぬ己の未熟さを噛み締めながら、ひたすら鍛錬に励む。まずは義姉に勝つために。いずれこの国の英雄に届くように。クルロの目標を聞いた義姉は言った。
「まるで星を掴むような話だね」
(異世界/少年、姉弟の会話、剣、幼馴染、流れ星/全1話、3,095文字)
●その言葉に意味を足したい――Jan.
「私たちのはじまりには言葉が足りなかった」
ホームルームが早く終わったので、隣のクラスの前まで来ていた。待ち伏せしていたのは親友――ではなくて、付き合ったばかりの男の子。一緒に帰ろう、と誘う。
でも、二人の間にはまだ距離があった。
(恋愛/高校生、付き合いたて/全1話、3,426文字)
●くだらないことのすべて、一秒後に胸を揺らすことのすべて――Feb.
「楽しめなくちゃ、意味がない」
いつも遊び場にしているカードショップ。秀が携えたのは、これまで使い続けてきたものとは違う、新しいデッキだった。負け続きの秀が辿り着いた解答。しかし、友人は秀に問いかける。
「ホントに楽しい?」
(現代ドラマ/高校生、大学生、趣味、カードゲーム/全2話、5,712文字)
●さよならを覆す最高の方法――Mar.
「きみの物語になりたい」
軍人であるカーラルに、辞令が下った。北の国アルバランとの激戦区である国境沿いに赴けとのこと。
できたばかりの家族のことを思い、絶望に暮れるカーラル。そんな彼のもとに、友人が現れる。幼さのまだ残る彼女に、カーラルはある願いを口にした。
(架空ドラマ/軍人、戦争、友情、英雄/全1話、4,424文字)
→関連作『きみの物語になりたい』(同題異話SR 第2期 Mar.)
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