終章 推しに一生尽くしまくれる大団円! これ以上幸せなことがあって?
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抜けるように高い青空のもと、色とりどりの薔薇が美しさを競い合うように咲き乱れる――学園の薔薇園。花々は柔らかく降り注ぐ陽光に煌めき、爽やかな風にその身を揺らす。
その鮮やかさを目で楽しむだけではない。あたりを満たす甘い香りが、なんとも心地いい。
蝶は軽やかに舞い、小鳥は楽しげに唄う。今やレティーツィアの一番のお気に入りとなった癒しの空間。
白いとんがり屋根のガセポで、リヒトのシェフが腕を振るったアフタヌーンティーを前に、芳しい紅茶を堪能する。
「あ、そうだ。リヒト殿下。皇帝陛下から親書が届いてましたけど……」
リヒトのためにサンドウィッチを取り分けながら、イザークが言う。
瞬間――リヒトがこれ以上はないというほど嫌そうに顔をしかめて、レティーツィアは目をぱちぱちと瞬かせた。
「え……? リヒト殿下……?」
そんな顔をするような言葉だっただろうか?
「……内容は? 確認したんだろう?」
「ええ。ざっと斜め読みしたところ、要するに『今回の件はお前のせいじゃなかろうな』って感じですね」
「そうか。じゃあ、『そのとおりだ。ざまぁみろ。クソジジィ』とでも返しておけ」
皇帝陛下の親書を斜め読みしたイザークにも驚いたけれど、それに対するリヒトの返答にも唖然とする。陛下をなんだと思っているのか。
レティーツィアの横で、エリザベートもまたポカーンと口を開ける。
「あ、あの……? リヒト殿下? 今のはいったい……」
心配になって訪ねるも、リヒトはフイッとそっぽを向いてしまう。
代わりにレティーツィアの疑問に答えたのは、イザークだった。
「リヒト殿下、皇帝陛下と絶賛大喧嘩中なんですよ」
「え……?」
「ほら、六聖について報告するために一時帰国した際、リヒト殿下だけ学園に戻ってくるのが遅かったでしょう?」
「ええ。ほかのみなさまより、かなり遅れてのお帰りでしたけど……」
「その原因が、皇帝陛下との大喧嘩です。実は、陛下が殿下に命じたシュトラールの方針は、『六聖を手に入れよ』だったんですよ」
「ええっ!?」
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