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「そ、そうなんです……! もっとあっていいと思うのに……!」


 理解を得られたことが嬉しくてたまらないといった様子で、エリザベートが笑う。


 高揚して赤く染まった頬と潤んだ瞳が、とても可憐で可愛らしい。


「私だけじゃなかったんですね……! それだけで、もう天にも昇る気持ちです……!」


 エリザベートが俯いて、「まさかレティーツィアさまと……。ああ、本当に……? 夢じゃなくて? どうしよう……嬉しい……!」と何度も口の中で繰り返す。


 それが微笑ましくて、そして、レティーツィア自身も嬉しくて、じっと見つめていると――エリザベートがなぜか急に頬を引き締める。


 そして、何やら少し逡巡すると、レティーツィアに視線を戻しておずおずと口を開いた。


「これを言ったら……さすがに引かれてしまうかもしれないんですけど……」


「まぁ、エリザベートさん。大丈夫よ。わたくし、少々のことではビクともいたしませんわ」


 上目遣いでこちらを窺うエリザベートに、安心しろとばかりににっこりと笑う。


 そんな心配はしなくていい。前世では、人生の半分以上ヲタクをやっていたのだ。そこそこ年期も入っている。


「並大抵のことでは引いたりしませんから、遠慮なく仰って」


「そ……そうですか……? じゃあ、あの……」


 エリザベートがゴクリと息を呑み、震える声で話し出す。


「あの……さっきも言ったとおり、今まで一人で……誰かと語らうことができなかったので、わ、私……実はその……情熱と創作意欲を……アクセサリーだけでは消化できなくて……」


 その言葉に、思わず目を見開く。――もしかして。


「っ……そ、その……も、物語のようなものも……書いていたりするのですが……」


「――ッ!」


 考えるよりも早く、身体が動く。レティーツィアは目を見開き、素早く立ち上がった。


 そのあまりの勢いに、ソファーがガタンと音を立てる。エリザベートはビクッと身を震わせ、少し慌てた様子でレティーツィアを見上げた。


「あ、あの……レティーツィアさま……。私……」


同人誌ほん……! 同人誌ほんがあるというの……!?」


「え……?」


 予想していた反応と違ったのか、エリザベートがレティーツィアを見上げたまま、ポカンと口を開ける。


「えっと……。ほ、本と言えるほどのものではありませんが……その……ええと……」


「わたくしが書いたもの以外に、同人誌が存在するのね!?」


「ッ……!?」

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