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(どうやって、それを知ったの? この子……)


 すごいとしか言いようがない。


 リングも、イヤリングも、アンクレットも、バッグなどに付けるキーホルダー的なものも、リヒトのイメージのものは、『よい素材を使ってごくシンプルに』を心がけているようだ。


 しかしそれでも、たしかにリヒトをイメージしているとわかる。シンプルながらも光る――絶妙なデザインだ。


 ヤークートのラシードをイメージしたものは、どれもこれもアラビアンなデザイン。本人が派手好きなのもあって、赤がより映えるよう金の装飾にこだわって作っているのが窺える。


 キュアノスのクレメンスをイメージしたものは、素材の透明感を生かしたデザインが多い。知的で、落ち着いていて、大人の女性によく似合うだろう。


 ヴェテルのセルヴァをイメージしたものは、白と温かさがメインコンセプトとなっている。ヴェテルが、海が凍りつくほど寒い国なのと、セルヴァの優しさを表現しているのだろう。


 エメロードのリアムをイメージしたものは、華やかながら楚々として可愛らしく、優しい。素材もあえて庶民的なものだけを厳選して使っているのも、身分問わず誰にでも気安く接する本人の気質に合っている。


 そして――アフェーラ。


「……見れば見るほど、素敵だわ……」


 黒に見えるダークブルーのホークスアイ。光の加減によって青銀の光の筋が現れ、煌めく。静かな深い輝きを放つ黒水晶とともに、ユエを表現するにはもってこいの石だ。


 そして日本――いや、アフェーラの伝統工芸を巧みに組み合わせたデザインは、素晴らしいどころの話ではない。


(ああ、本当に素敵……。何時間でも見ていられる……。身に着けたいのは、もちろんリヒト殿下のものだけれど、このまま六種ワンセットで飾っておきたい素晴らしさよね……)


 前世でも、新作は必ずゲットすると心に決めていた――素敵なイメージアクセサリーを作る同人作家さんが何人かいたけれど、エリザベートはそれに勝るとも劣らない。


 正直――ドストライクだ。


 レティーツィアはアクセサリーをケースに戻すと、姿勢を正してエリザベートを見つめた


「あ、あの……これ、買い取らせていただけないかしら? も、もしくは、同じものを作っていただくことは可能かしら? もちろん、お代はお支払するわ!」


「あ……もちろん、材料費さえいただければ、お作りできます。こんなものでよければ……」


 エリザベートがこくこくと首を縦に振る。


「……なんですって?」


 しかし喜ぶよりも先に――その聞き捨てならない言葉に、レティーツィアはムッとして眉をひそめた。

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