第96話 拒絶反応
「来い! 【
ユースティアが呼び出したのは己の【
その力は他ならぬユースティアが誰よりも知っている。数多の魔人と戦いの中でも活躍してきたのだから。
魔神であるドートルと戦うためにユースティアが【
しかし——。
「っぅ!」
【
「やっぱりこうなるか……」
それは、【
これまでユースティアを主として認め、力を貸していた【
元々【
それでも顕現させることができたのはまだ人としての部分が僅かに残っているからなのかもしれない。
戦闘聖衣に至っては展開することすらできなかった。
「【
そんなユースティアの言葉が届いたのか、完全ではないものの【
「それがわたしに対する奥の手であると。なるほど、【
「意味がないかどうかはお前の身でもって確かめろ」
その次の瞬間、ドートルの正面にいたユースティアの姿が忽然と消える。
「これは……なるほど」
音もなく側面に現れたユースティアの銃撃を冷静に防ぐドートル。しかし防いだと思ったその時にはすでにユースティアはさらに反対側へと回りこんでいた。
同じように受け止めようとしたドートルだったが、僅かに反応が遅れる。
ユースティア蹴りがドートルの顔にまともに入り、ドートルが吹き飛ばされる。
「…………」
今の一撃で口の中が切れたのか、口から零れる血を拭うドートル。平然とした顔をしている辺り大したダメージは入っていないのかもしれないが、それでも確かにユースティアが与えた初めてのダメージだった。
「……なるほど。そういうことですかぁ。いいですね、面白い性能です」
これまでのデータ収集で、ドートルはユースティアの持つ【
「加速と減速の能力……ユースティア様自身には加速を、そしてわたしには銃撃を防いだ際に減速を付与したと」
自身の反応が遅れた理由を冷静に把握するドートル。
単純でありながら極めて厄介な能力。それがユースティアの持つ【
「怪我をしたのは久しぶりな気がしますよ。あぁやだやだ。痛いのは嫌いなんですよねぇ」
「………」
一撃入れられたというのにあくまで余裕な表情を崩さないドートル。そして対するユースティアは、一撃入れたというのに表情は硬いままだだった。
今の一撃、ユースティアは蹴り殺すつもりでドートルのことを蹴った。だというのに、ドートルは多少の怪我は負ったものの平気そうな顔をしている。
高すぎる防御力。それがドートルの何かしらの能力に起因するものなかそれとも単純な魔神としての身体能力の結果なのか。それはわからない。しかし、普通の攻撃が効かないことだけは明白だった。
「とはいえ、少しばかり面倒にもなってきました。わたしは基本的に頭を使うタイプなので。こういう荒事は正直苦手なんですよぉ。そろそろ戻って研究の続きもしたいですし……少々無理やりにはなりますが、終わらせていただきましょう」
パンッと、ドートルが手を叩いたのと同時。ドートルの背後の空間が歪曲し始めた。
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