3.親類
しばらく、荷物を右へ左へと運んでいると、リン!と家の呼び鈴がなった。
玄関に向かい扉をあけると、そこには母方の兄にあたる、叔父夫婦が立っていた。
――元気でやっているか? 例によって勝たちが気になって会いに来たんだ。
叔父は柔らかな笑顔で言った。
若くして両親を亡くした僕らを支えてくれたのが叔父夫婦だった。
――これ今日作ったの。よかったら食べて。
叔母が僕に、タッパーに入った料理を渡してきた。
いつもありがとう。
いいのよ。
あがって、お線香あげてってよ。
温和な叔母と、知的な叔父――叔父夫婦は、数日に一度僕らの家を尋ね、安否を確認しては、色々と世話を焼いてくれていた。
「それで、家はどうするんだ?」
散らかった部屋を大慌てで片付けて、お茶を出したところで、叔父さんが聞いてきた。
「兄弟二人には広すぎるから、やっぱり売ちゃおうかなって考えてる。兄貴もそろそろ本格的に自立する方法を探したほうがいいと思いますし」
「大変ねえ、信介ちゃんも」
「なあ勝、もし具体的に家を売る場合は、俺に相談するんだぞ?」
僕は、まだ散らかっている室内を見渡す。
「いろいろ一段落したら相談するよ」
叔父夫婦とは、こんな調子でいつも他愛もない話をした。
交通事故でいっぺんに両親を亡くした僕らにとって、叔父夫婦がどれだけの支えになったことか。
そこには感謝しかなかった。
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