四十話
私たちが道を進んでいくと先ほどとは比べ物にならないくらいの広い空間に出た。
先ほどの不思議と明るかった白い通路とは打って変わって、
辺り一面が暗く洞窟にいることを思い出させてくれる。
天井には青い光が星のように輝いていて、まるで満天の星空の中にいるようだ。
その星の明かりを地底湖の水面がキラキラと反射させている。
私たちがいる場所はどうやら高台になっており、地面まで結構な高さがある。
眼下には石造りの立派な家々が建ち並んでおり、明かりがついているのが見えた。
どうやらここが目的地の隠れ里のようだ。
「やっと着いたか!」
私はうれしさのあまり叫んでしまった。
フリーは「やったー!」とあたりを飛び跳ねている。
アガネスは少し顔に疲れが見えるがいつも通り冷静だ。
そして、ヘルはというと口をあんぐり開けてポカーンとしている。
目の前の景色に心奪われ、釘付けになっているようだった。
まあ、そんな多種多様な感情表現をしていると、
「こちらから、降りられそうですね。」とアガネスが脇に道を見つけた。
壁に岩が張り付いている様で、
誘導の力が働いているのかほのかに青い光をまとっている。
壁とは反対側の端はワイヤーで天井までつながっている。
それが地面まで階段のように並んでいる。
落ち着いたフリーと我に返ったヘルを連れ、
私たちはその岩の階段を下りて行った。
階段はちょうど里の正面に続く道とつながっていた。
里の入り口にはゲートがあり、銀の盾の印が掲げられている。
ゲートの元には多くの人が集まってるようだ。
歓迎してくれるのだろうか。そう思い私たちは里へ進みだす。
相手の顔がわかるくらい近づいたところで
「止まれ!お前たちは何者だ。何をしにここに来た!」
と、中央の人物が話しかけてきた。
身長は170㎝ほど、声からして男だろう。
肩から足元まである長いローブを身にまとっている。
シュっとした顔立ちに青い目、深みのある青い髪は肩まで伸びている。
洞窟暮らしのためか、肌は真っ白。そのせいか、ほうれい線が目立つ。
初老くらいの年齢だろうか。
「私はヒル王国のレイドというものだ!」と私は答える。
「なるほど、ヒル王国は常より多くの誘導を必要としていると聞く。
ここの導力を奪おうというのだな。だが、そうはさせん!」
脇にいた人が武器を構える。
どうやらここの兵士の様で、多少頑丈そうな服を身にまとっている。
「違う!逆だ。私たちは、誘導を封印しようとしているんだ。」
私はそう反論した。
「なに、封印だと?」
私の言葉に男は困惑した様子だ。
「これを見てほしい!」
私はそういい、鞄からあるものを取り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます