三十四話

上昇通路を抜けてしばらく進むと、

天然の洞窟と同じように岩肌がむき出しだった通路が

人の手によって平らに整えられ、明かりが備え付けられたものに変わった。


「いよいよか……」


私は里が近いのではと思いつつ、歩みをすすめる。


すると前方に門のようなものが見えて来た。


「着いたか!」


私は、その門へ駆けだそうとした。


「お待ちください王子!罠があるかもしれません!」


アガネスのその言葉に私は足を止める。


確かにここに来るまで、罠らしい罠は一度もなかった。


先を急く気持ちで慎重さがなくなっていた。


「ありがとうアガネス。危なかった。」


しかし、こういう時一番にかけだしそうな、あれはなぜかおとなしい。


「大丈夫か、フリー。」


私はそのフリーに声をかける。


「え!?だ、大丈夫だよ。その…濃度が濃くていろいろと……ね?」


そうフリーは答えた。

見た感じ調子は悪くはなさそう(いや、いつもと比べたら悪いのかもしれない)

で、安心した。


私は門の方に向き直る。


その立派な門はレンガで造り上げられており、ほのかに青白く光っている。

青白いということは誘導の力で発光しているのだろう。


私たちは慎重にその門へと近づいた。


そして、難なく門へとたどり着け、その先を見ると……


「壁だ。」


なぜか、門の先は壁だった。門と同じく青白く光るレンガで出来ている。


「壁…ですね。」


アガネスも私と同様、疑問に思ったようだ。


「あ、でもなんか書いてある。」


そんな中、フリーは何かを見つけだようだ。


私はフリーの指さす方向を見た。


確かに正面の壁に何か書いてある。


「近づいて見てみないとわからないな。」


そういい、私たちはそれに近づいた。


「えっと、なになに…」


『1+1=? ← 2 10 → 』


「………」


私たちは絶句した。


「なんだこれは……」


私は思ったことをそのまま口にした。


「問題…の様ですね」


アガネスはゆっくりとそう答えた。


「左と右……?」


フリーはそう言って、左右を見た。


どうやら左右に道が続いているようだ。


「正解の道に行けば良いんですかね?」とアガネス。


「クイズ付きの迷路ってこと?」とフリー。


「取り合えず、左の道を進んでみようか。」


そういい、私たちは左の道を進み始めた。


少し進むと分かれ道となっており、

そこには同じようにさっきとは違う問題が書かれていた。


どうやらフリーの言う通り、迷路の様だ。


次の分かれ道にも問題が書かれていて、

私たちは正解だと思われる道を選んで進んだ。


何回目かの分かれ道を進んだ後、入り口と同様の門が見えてきた。


出口か?そう思い、足を速める。


しかし、その門の先も壁だった。


まだ続くのかと半分飽き飽きしつつ、その壁の問題を見る。


『1+1=? ← 2 10 → 』


あれ、この質問最初に……

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