二十四話
食事時とあって食事場である超巨大テントはにぎわっていた。
様々な料理のいい香りがする。
食事場はこの広大な空間を余すことなく使われていた。
中央を囲むように机と椅子が規則正し並んでおり、
中央にある大きな机の上にはこれまた大きな皿がいくつか乗っており、
さらにその皿の上に料理が山盛りにされている。
そこから各自、好きな分だけ小皿に盛り付け運んでいる。
「やあ、いらっしゃい。旅の人かい?今日は多いね。」
ここの料理人風の人に挨拶をかけられる。
多いとはフリーの事を言っているのだろうか。
「あー、きたきたー。」
おーい、と叫びながらフリーが向こうの席で両手を振っている。
私たちは料理人に会釈をし、フリーの席へ向かった。
「結構早かったね。どうだった。って聞くまでもなさそうね。」
私の顔を見て何も成果がないことを悟ったようだ。
「ああ、まったく成果無しだ。」
「はー、3日も野宿したのに、無駄骨ですかー。」
「そういうフリーは調子がよさそうだな。」
「おなか一杯食べたからね!」
そうか。それはよかったな。私はもう少し落ち着いているほうが好みなのだが。
と思いつつ、フリーと向かいの席に着く。
アガネスは私の横の席に座った。
「とりあえず、ここに来たってことは食べるんでしょ?ほら、見て。
あんな風に自分で好きな分だけお皿に盛って、机に運んでから食べるんだよ。
珍い食事の方法だよねー。」と、中央の机のほうを指さす。
まあ、その様子は先程見たのだが。
私はここの民族の人たちにならい、中央の机のほうへ行き、
小皿に料理を盛り付け、先ほどの席へ戻ってきた。
先ほどのショックがまだ響いており、あまり食欲がないので、量は少な目だ。
アガネスも私のあとに続いて、料理を人並程度の量盛り付けた。
「では、食べるとするか。」
そう私が食べようとした瞬間。
「あ、ちょっと待って。」と、フリーが待ったをかけた。
私は首を傾げ、尋ねる。
「なんだフリー?」
「食べる前に、お祈りしないと。」
「お祈り?そんなこと今までしたことあったか?」
「ここではそういう決まりなの。」とフリーは人差し指をビッと立てた。
まあ、そういうことならば。郷に入れば郷に従えだ。
「それで、お祈りってのはどうするんだ。」
「うん、天使様にこの食事の恵みをくださってありがとうございます。
感謝していただきます。って祈るの。」
そういいつつ、フリーは手を合わせた。
私とアガネスはフリーにならい、天使様に祈りを捧げた後、食事を始めた。
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