二十一話

地獄だ。まさかこんなことになろうとは。


炎天下の砂漠を何か変化がないかをひたすら見続け、

何もなく日が暮れてまた堅い地面で横になり眠る。


そして朝になり、固まった体に無理をいわせ起き上がる。


ここで野宿を始めてから何日経ったろうか。


「3日ですよ。」


アガネスが答える。


たった3日か。もうずっとこうしている気がする。


しかし野宿がこうも大変だとは思わなかった。


砂漠の厳しい環境のせいだけではない。


食料は十分準備し、余裕をもって消費していたはずだ。


最初は少なくてもまあ、我慢はできた。


しかしこうもずっと少ない食事だと腹が減って仕方がない。


水はアガネスが近くで水場を見つけたようで問題はなかったが、

片道2時間往復4時間もかかる。


アガネスはこのような訓練はしているようで苦にもなっていないようだが、

私とフリーはかなり参っていた。


そして一番の問題が


「暇だ……」


そう、なにもすることが無い。


最初のうちは3人で話をして気を時間をつぶしていたが、だんだんと話題が尽き、

暑いだとか寒いだとかそんな端的な言葉しか話さなくなっていた。


荷物は最小限にしていたし、

”魔力滅道”は穴が空くほど読み込んだのでもはや何も面白みもない。


もともとそんなに面白いものでもないしな。


そう思いながらもまた”魔力滅道”をパラパラとめくっていた。


そして本当に穴が開かないかとページの一点をジーと見つめていた時だった。


「なんでしょうかあれ。」とアガネスが言った。


ゼルグラード族か?ちがうのか?ちがっててもいい何か新しい刺激が欲しい。


そう思い、私はアガネスが指さす方向を注視した。


確かに何かが近づいてきている。


馬だろうか?一頭二頭…と数える間もなく見えてくる数はどんどん増えた。


馬だけでない、ラクダや他の動物も多数いる。


そして大勢の人がその周りに見えてきた。


このような大きな旅団や商団は見たことが無い。


ゼルグラード族だ。間違いない。


遊牧民ならこのくらいの規模でも不思議ではない。


その一団は私たちの数100m先を横断しており止まる気配はない。


私たちは急いで身支度をして、

テントを畳み、荷物を背負いその一団の後を追った。

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