二十話
話を聞き終えたアガネスは何か思いふけっているようだ。
そんなアガネスに私はふと、こんなことを聞いてみた。
「アガネス、ちょっといいか。」
「はい、なんでしょう。」
「お前はどう思っている?」
「どうとは?」
「この旅の事、誘導を封印することについてだ。
お前の親父さんは魔力派だった。
魔力派のせいで親父さんは処刑された。その魔力派が望んだこと。
誘導の封印目的としたこの私の旅について。お前は何も思わないのか? 」
アガネスは少し考えこんだ後こう答えた。
「あまり、あの時の事は覚えていません。
父がなぜ処刑されなくてはならなかったのか。
あの時の私には理解できませんでした。
後になって、父は王に逆らって反逆の罪で処刑されたのだと納得しました。
それに……」
アガネスは一息つきこう続けた。
「私は父と同じではありません。魔力派だろうが何だろうが知りません。
私は……、私は王子に忠誠を誓っています。
あの日、父が処刑された日。私も父の意思をついで反逆する恐れがあるとして
処刑されることになっていました。
しかし、王子は私が絶対にそんなことはしないと、王に説得してくれました。
そのおかげで私は処刑を免れました。」
「そのせいで、お前は強制的に私のお付きの兵となることになったがな。」
そう皮肉ったが、「とても光栄なことです。」とアガネスは言った。
「王子、私はあなたがどんなに人に間違っていると言われる行いをしようが、
あなたについていきます。そう誓いました。
あの日、この槍に――」
そういってアガネスはそばに置いていた槍を掲げた。
「そうか、ありがとうアガネス。」
私は感謝を伝えた。
アガネスは滅相もないという表情だ。
だんだんと焚火の火も消えかかってきた。
私はそろそろ寝るとアガネスに告げる。
アガネスはこのまま火の番を続けるそうだ。
そうして私はテントに入り、大の字で半分ほどを占拠して寝ているフリーを
踏まないよう気を付け、端の空いているスペースに横になり眠りについた。
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