二話

周りには砂が舞っている。


城が遠くに見える…


そう、私は城を出たのだ。


なぜ、城を出たのか。


誘導を封印するためだ。


城を抜け出し、城下街を通り、外壁を抜け、この大砂海に出て、

しばらく歩いている。


前は砂ばかリだが、道はわかる。


道にそって誘導灯が続いているからだ。




”誘導”数年前までそれは未知の物質だった。


誘導を含んだ固体の誘導石、

それに含まれる誘導を使った”誘導具”が生み出されるまでは。


誘導具により火や電気を起こしたりするのはもちろん、けがの治癒や、物体の浮遊、

最終的にはとてつもない破壊力を持った爆発なども起こせた。


それにより人類は発展してきた。


火を使わなくとも光を生み出すことができるようになり、

夜の間も不自由なく暮らせ、爆発により短時間で、

しかも多くの人を使わなくとも採掘ができるようになった。


近年では、気体や液体でも誘導を含んだものが見つかった。


気体はほぼ半永久的に、強くはないが力を発揮し続け、

液体も扱いが難しいが、物体を冷やす力があるとわかってきている。


これらの誘導を含む物体を”誘導体”と私たちは呼ぶ。


だが発展し続ける中で、誘導体をめぐる争いが起き始めた。


なぜなら、この誘導体の力は有限だからだ。


特に大きな力を生み出す、誘導石は消費が激しかった。


そして父上、この国の王は、この誘導体をめぐる戦争のために

莫大な誘導の力を使った大量破壊兵器をうみだした。


その威力を目の前で見た。


その時の光景が忘れられず、いまだに夢に見る。


何とかしないといけないと思った。


たとえ、これまでの発展が止まり、人類が退化しようとも。


私のために、人々のために。




だから何か方法はないかと調べた。


そして、”誘導を封印する”という結論に至った。


かなりばかげていると思ったがこの結論になったのはある理由がある。


それは、誘導を封印する手掛かりが掴めたからだ。


「金と銀の翼をもつ一族…」


そう、彼らが秘密を知っている。


城や町でその一族について調べたが、それらしい情報は得られなかった。


なので、他の町に行って調査することにした。


まず目指すは城の近く(と言っても歩いて一日ほどはかかるが)にある娯楽街。


そこには他国の人々も多く訪れる。


聞き込みをすれば、何かつかめるだろう。


そういった淡い思いを抱いて、足を進める。


連れはいない。


誰にも迷惑をかけたくないしな。一人旅だ…


「と、思っていたのによお…

なんで、おまえらがいるんだよーーー!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る