現実.5

俺はそこまで書いて保存し、携帯を閉じた。

たき火に枝木を足しながら想いに耽(ふけ)る。


あの時は現実を考える事が山ほどあったけど、今は違う。

冬を二回経験して余裕が出てきたし、志織は今のところ病気や怪我もない。


空はオーロラが消えかかっている。

夜明けが近い。

あのオーロラがなくならない限り、無線やラジオ、ネット、GPSは繋がらないだろう。


地軸が傾いたとか、太陽フレアの電磁波のせいとか色々聞いた。

俺の意見は、地球が怒ったからだ。

自分の意見も含めてどれもこれも半分信じてないが半分は本気で思ってる。


核ミサイルは嘘だと思ってる。

兵器のウィルスも違うと思う。

宇宙人が地球侵略。違うと思う。


とりあえずやるべき事だけをやる。

思い浮かんだ疑問の答えが分からなくなると、その思考に逃げる。

恐怖や不安からの逃避だ。


携帯をコードに繋ぎ、小型の自家発電のリールをグルグルと回した。

充電するのに時間はかかる。だが俺には時間だけはタップリとある。

ゾンビを見たり、志織を見ながらグルグルと俺は回し続け、朝になるのを待った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る