小説.7
服はダボダボの服を着る。ちょっとの力で服が破けてしまう。
動き。というか筋肉の操作に意識が必要だった。
大きなリュックを見つけ、そこに女の子の服を詰め込んだ。
俺のはまたここに来ればいい。
スーパーの従業員室が気になる。だが、急いで帰らないと。
やるべき事はまだある。
夕方点けた車のライトが彷徨ってるゾンビを照らし出している。どのゾンビも死体を喰べてはいない。
ウロウロしているだけ。
夜は喰べないのか?襲う事はないのだろうか?分からない。
どこに向かって歩いてるのすら分からない。法則性はないようにも思える。
ただ俺が近付けば逃げていくだけだ。
ホテルに戻り自販機をどかす。
指が折れた音が聞こえた。
指が四本、綺麗に曲がっていた。
力を入れ過ぎたのか、自販機の重さに耐えられないのだ。
無痛症という病気は知ってる。
きっとこんな感じなのか。
そう思いながら二階の防災トビラを開けた。
真ん中の部屋のドアが開いていて女の子が顔を出していた。
外から、車のライトで俺が分かったのだろうか?俺は白黒だが分かる。し、女の子が発光しているので分かった。
「お兄ちゃん?」
ドア越しに疑問形の言葉。俺は先ほどとは違う服装。それに両手もある。
左の壁をコツコツと三三七拍子の調子で叩いた。
「遅くなってごめんね。声も両手も治ったみたいだ」
俺は言った。
先程折れたはずの指がもう治ってるのに気付く。治りが早いのにびっくりした。
新しい発見が次々と見つかり、全部覚えきれるか心配になる。
部屋に入る。リュックを渡す。
やるべき事はある。各部屋を見回り、ゾンビや人間が居ないかの確認と浴槽の水貯めだ。
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