ベアリング・コンパス

星素粒子の渦が回転を速めていた。

僕はそろそろ戻らなくちゃならない。

少女は僕の名前を呼んだ。

それは少女の名前と同じだ。

僕が少女を、

少女が僕を抱きしめると、

三つの光が二人を繋げ、

渦は次第に光の筋へと変わってゆく。

その中心に、僕らはいた。



星素粒子のジャイロスコープは

ゆらめく銀河を水平に巻いて、

僕らはその上に地図を描いた。

陸ならば

夜明けを越えて誰と行こう?

海ならば

月夜の舟に誰と乗ろう?

無くしてしまったものたちを、

思い出したその一瞬、

投影星図の飛び石に変え、

目指す処は天の北極。

僕らは人工の北極星ポラリスとなって、

星巡りのハンドルを

回すことができる。


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