第13話 ヤクザな 川蝉建設 株式会社

真由美と母 「拓人さん お帰りなさい。

ご活躍されたのですね…。

川蝉自動車の社長からお礼の電話をいただきました。 

常務さんに宜しくとおっしゃってましたよ。」


拓人(常務) 「昔…製造ラインで働いた事が有ったので、論じてしまいました。 

社長さんは賢明な方でした。 

もう少しサポートする人材のレベルアップが有れば…なお グッドですね。」


真由美 「拓人さんに…もう一仕事お願いしたいんです…。

川蝉グループに川蝉建設というのが有るのですが…

お客様とトラブルが絶えなくて、それに社内でも酷いセクハラ、パワハラが有るらしいんです。」


拓人 「セクハラ…に パワハラ ですか…。

ガラが悪いんですね。

先ずは調査からですね…。」


杏 「今回は俺も連れてってくれよ…。

セクハラ、パワハラ は 女の敵だよ!

俺が取っちめてやるからさ!」


拓人 「ほう…これは心強いな。

そろそろ杏ちゃんの出番だと思ってたよ。」


杏 「言っとくけど…俺の足を引っ張るなよ…

セクハラする奴は生かしておかねえからな!」


真由美と母は顔を見合わせた…。


……………………………


ここは川蝉建設の本社…。


杏は見るからにヤクザな風体をしている。

「舐められちゃあ堪らないからな!」


拓人は、杏に比べると弱っちい感じに見える。


杏(グループ本社の専務)

「おい! 常務、先に入れ!」


拓人(グループ本社の常務であり杏の夫)

「おうおう!こちとら川蝉グループ本社の人間だ! 社長は居るかい?」


受付嬢 「いらっしゃいませ。 はい、社長は今来客中です…しばらくお待ちくださいませ。」


《社長室》


社長 「おい! お茶の入れ方が気に食わないんだよ。

普通 膝間付いて…お茶を出すだろ!」


秘書 「す…すみません、こうですか?」


社長は秘書の腰に手を当てて撫でてみた…。


「きゃあ…止めてください!」


社長の友達 「まあまあ…別に減るモンじゃねえだろ。」


社長 「きゃあ きゃあ ウルサいんだよ…全く。

それは そうと…今度の仕事だがな…

業者連中を騙して大儲けしようと思ってるんだよ。」


友達 「ほう…美味しい話はヤバイと相場は決まってるんだが…どんな話なんだ?」


社長 「最近流行ってる都会型高層マンションを建てようと思ってるんだが…

土地の取得で1億…建物で10億利益を上乗せピンはねしようと思ってるんだ…。」


友達 「じゃあ…不動産屋と建築会社を取り込んで不正をさせるんだな…。」


社長 「そこで お前に一役 演じて欲しい訳よ…。

ヤクザ者のフリをして脅かしてほしいんだ。」


友達 「そうか…分かった、お安いご用だ。」


秘書「恐れ入ります…川蝉グループ本社の専務さんが ご来社でございます。」


「全く…気が利かねえ奴ばかりだな。

適当に相手しとけや。」


社長はそう言いながら秘書にチョッカイ出そうと腰を触っている…。


………………………………………


杏 「邪魔するぜい!… 」


社長 「なんだ…お前ら? 勝手に入ってきちゃダメだろが! 

秘書も何だ…阻止しろや!」


本社の専務(杏)

「おい! ワシを誰じゃと思うとるんじゃ!

泣く子も黙る川蝉グループ本社の専務…

川蝉 杏じゃ! よう覚えとけや!

川蝉建設? ワシの一言で潰したるで!

いつでも! おお? どうなんじゃワレ!」


さすがの川蝉建設社長も少しビビった!


社長 「これはこれは…グループ本社の専務さんでしたか…ご挨拶が遅れまして…。」


杏 「ええか! 今日から3日間抜き打ち監査や!

経理やら計画書やら…全部書類持って来いや!

一つでも不正が見つかったら即刻クビやからな!

よう首を洗うて待っとけや!

下手な小細工したら死刑な!

嘘や思うとるやろ!

ワシな…中東で外人部隊で戦闘機乗っ取ったんや!

逆ろうたら…いつでも蜂の巣にしたるで!」


社長 「専務さん…それ…パワハラじゃないですか…?」


杏 「ハッハッハ…社長の口からパワハラっていう単語が出てきたよ!

お前になあ…どれだけ セクハラ と パワハラ の被害届けが出てるか…

ワシが知らんとでも思うとるんか!

ええ! どうなんや!

なんなら…今すぐ警察に来てもらって白黒付けてやろうか! 

どうなんや!! このバカモノが!!」


……………………


グループ本社の専務(杏)

「おお! これ…収支が合っとらん やんけ!

こら、社長! ちゃんちゃん説明せんかい!

舐めとったらアカンで! こら!」


社長 「それは…その~☆……… 」


杏 「はい! わかった! 使い込んだんやろ!

でなかったら説明できるやろが!

ホンマ殺すで! 会社の金はなあ…自分の金や無いんやで! そんな悪い事してたらなあ…

巡り巡って…とんでもない災難が降りかかるぞ! 雷に打たれるとか…詐欺に遭うとかな。」


社長は見に覚えがあるらしく…変に納得してた。


社長の友達 「あのう…ワシの用事は……?」


社長 「すまん…今はそれどころじゃ無いんだよ!」


杏 「お前もなあ…社長の不正の片棒担いでるんや無いやろな! 調べたら全て分かるんやで!

白状するなら今のうちやで!

後で分かったら 生かしとかんからな!」


友達 「あっ!そや…大事な用事があったんや、忘れ取ったわ!」


杏 「今日の処は勘弁したるわ!

後で調べて何か不正が出てきたら殺す!

俺は必ず殺すで……ハッハッハ!」



社長の友達は目を白黒してた…。

杏と一緒に来たのは正解だったな…拓人は思った。


杏と拓人による川蝉建設の監査は3日目を迎えた…。


杏 「ホンマ…ここの監査は最悪やな!

収支は殆ど合ってない。

やたら偽装の跡がある。

社員の出入りは激しい…。

暴力団の来客が多い。

今日は監査の最終日やから…

昨今問題に成ってるセクハラ、パワハラについて調べさせてもらうで!

はい、秘書課の女の子達登場!」


杏 「はい、正直に言って良いんやで。

ワシはグループ本社の専務なんやから…。」


秘書A 「はい…私入社してから社長にセクハラの連続で…

ストレスで随分頭の毛が抜けたんです…。」


秘書B 「私も社長にセクハラ…時には平手で叩かれる事もあるんです。」


秘書課の男C 「僕は社長に足や腹、背中を蹴られるんです。『お前はサンドバッグや!』って言われて…。 


時には首を絞められる事もありました。」


杏 「おう!社長!どういう事や!」


社長 「いえ…それは…その…。」


杏 「はい!説明 出来ないのは 図星の証拠やな!

直ぐに警察に来てもらって事情聴取や!

これは傷害事件やで!首絞めたのは殺人未遂な!

社長以外にもセクハラ、パワハラの事実があったら即 申し出るんやで…。」


数時間後には警察から20人捜査官が来て、

一人一人事情を聴取された。


川蝉建設の社員の代表

「グループ本社の専務さん…

この度は…公正な監査有り難うございます。

私達は入社以来…暴力的な社長に虐められてきました。

社長の友達の暴力団の来社も多くて…

毎日の出社も気が重くなっていました。

明日は辞めようと…そればかり思っていました。

本当にこの度は…有り難うございました。」


杏 「お…おう、良いってことよ。

これからは川蝉建設も平和になるから…

安心して仕事してや。

頼むで…。」


社員達 「はい、分かりました。」


久しぶりに川蝉建設に笑顔が戻った。



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