第11話 《川蝉化学》の 悪巧み

「川蝉化学…か。自ら悪事を白状したようなものだな…。」


杏は正義感から身震いしているようだった。


真由美 「拓人さん、新婚早々で申し訳ないんですが…お仕事お願い出来るでしょうか?」


母 「私からもお願いするわ…拓人さん、お願いします…。」


拓人 「お母さん、お姉さん、分かりました。

我ら川蝉グループからダニを一掃いたしましょう!」


慣れない雰囲気に皆 笑顔が出て真由美と杏のハイタッチはヨレヨレになった。


「私も拓人さんと一緒に彼等をギャフンと言わせたいわ…。」

杏は拓人の腕を取って二人に見せた…。


母 「そうね…新婚さんの共同作業ね。

でも、気を付けてね。アナタの身に何か有ったら……。(涙) 」


「大丈夫よ…戦闘機に乗るより安全だわ…

お母さん…今まで心配ばかり掛けてゴメンね…。」


…………………………………


拓人と杏は早速…川蝉化学へお忍びで潜入…


二人ともクロ縁メガネを掛けて変装…

マークされないように…地味な感じに…。


誘惑されても任務に差し支えるので夫婦という事に…。


総務課長 「今日から勤務してもらう花平斉太(はなびらさいた)君です。会計課に配属された花平みどりさん とは ご夫婦です。」


花平斉太(拓人)は課内を見渡し…一番癖の有りそうな社員に目を付けた…。


総務課で一番癖の有りそうな社員は…富田林君という名前らしい…。


「すみません、何も解らないので、今夜奢りますので少し教えてください」と言って斉太(拓人)は呑みに誘った。


「ああ…良いよ、参考になるかどうか判らんけどね」と富田林君は応えてくれた。


……………………………


「まあ一杯……それで、どんな感じですか、社の雰囲気は?」


富田林 「まあ一言で言えばワンマン経営だね…社長は3代目でお坊っちゃまよ…取り巻きの重役連中がやりたい放題…。」


「そうなんですか…。 それで川蝉グループ本社との関係はどうなんですか?」


富田林 「ふうん…君はそういうの興味あるんだ…俺はそんなの どうでも良いほうなんだけど…

なんでも…本社の監査で億単位の不正が発覚して、今細かくチェックされているらしい…。」


斉太(拓人)は[それだ!]と確信した…。


………………………………


花平みどり(川蝉杏) 「今日からお世話になります。分からない処は教えてください…。」


先輩女子社員A は小声で「分からない処って…全部じゃないの…ああ、面倒くさ。」と言った。


みどり(杏)はカッと成って凄い形相で睨んでしまった。


「きゃ~☆怖~い」女子社員Aは縮こまってしまった。


みどり(杏)[ああ…ヤバイ…バレてしまいそう☆]


みどりは極力 丁寧な言葉で社員に対応した。


…………………………


川蝉化学の専務「おい!常務…例の件…失敗したそうじゃないか…。どうするつもりだ!」


常務 「それがオカシイんですよ。雇った奴等はプロのテロ集団なのに…まるで赤子の手をひねるように…やられたと。

あの本社の娘と娘婿は一般人じゃ有りませんよ。その友達も軍人やら格闘家みたいでしたから。」


専務 「じゃあワシら…やられっ放しで、いずれ 御用って事だな!」


常務 「いえいえ…世の中、金出せば何でも手に入ります…あちらも本当の軍人では無いんでしょうから…。


こちらも軍隊を雇います。かなり高くつくとは思いますが…全て暴かれて刑務所に入る事を思えば…窮鼠猫を噛む…ですよ。」


……………………………


花平斉太(拓人)と みどり(杏)は借りたマンションに帰ると、まず盗聴器、隠しカメラをチェック…。

大切な事は小声で話した。


斉太が みどりに耳打ちすると…

みどりは くすぐったくて 「やめてくれ!」と言う…。


仕方がないので二人は筆談をする事にした。


斉太が「好きだよ」と書くと「それがどうした?」と書いてくる…。


「キスして良い?」と書くと「ヤダ!」と書く…。


「一緒の布団に寝て良い?」と書くと「別に良いけど、何もするなよ!」と書く…。


「俺たち…夫婦だよな。」と書くと「一応な。」と書く。


拓人(斉太)は杏との夫婦生活は川蝉化学の不正を暴くより難しいかも…と思った。


…………………………


斉太(拓人)は同僚の富田林から有力な情報を得た。

なんでも専務と常務が会社の製品に隠して麻薬を売買していて…近々大きな取引があるらしいと…。


[ついに麻薬に手を出したか…。]

斉太は警察と麻薬取締り科と連携して動かぬ証拠を掴もうとしている。


斉太と みどり(杏)は休暇を取って海外へ行って訓練に勤しんだ。

斉太は実射訓練、みどりは戦闘機に乗っての訓練だ…。


富田林と警察、麻薬取締り科からの情報を合わせて3月30日14時に横浜101番埠頭にて取り引きがあると踏んだ。


その日、その時刻に斉太は狙撃出来る装備とハンターを10名雇った。


[みどりちゃん…どこ行っちゃってるんだろ?]

そう思いながら斉太は時間がくるのを待った。


時間近くになると、明らかに…自分達を狙う軍人の集団が現れた!

「君達に邪魔されると…困るんだよ。」


遠くで轟音がしたと思ったら…

垂直離着陸 戦闘機ハリヤーがやって来た!


スピーカーで「こちらは川蝉化学の不正を暴く集団だ! 歯向かう奴は蜂の巣だよ!」とみどり(杏)が叫ぶ!


専務、常務、雇われた軍人は皆 白旗を揚げた…。


常務 「お前達、軍人だろう! 命懸けで仕事をしないのか!」


「麻薬取り引きなんて…聞いてないし…

俺たちは金に見合った仕事しかしねえ!

先ずは命有っての物種だよ!」


警察 「はい、川蝉化学の専務さんと常務さん…そして雇われた軍人の方々…

警察署でみっちり事情お聞きしますからね~☆

薬物検査は体内も調べますよ…ちょっと痛いかもしれませんけど…。」


専務 「常務! もう手は無いのか!」


常務 「万策尽きて…万事休す…ってとこですかね…。

戦闘機が飛んで来るとは…一体何者なんでしょうねえ

…もう どうでも良い事だけど。」


専務 「こんな事なら…もっと贅沢しとけば良かった。 

あんな事や…こんな事…この間呑みに行った先のママさん…良い女だったなあ…。」



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