第10話 出院拓人 と 川蝉杏 の 結婚

拓人は杏からの求婚を承諾した。


次の日曜日に結納の儀と称して川蝉家から

真由美と母親と侍従の者が二人…


「ここが出院さんのお部屋ね…」


ドアを開けると正装をした男が

「お待ちしておりました。

ご主人様は中でお待ちです。」と言って中へ案内してくれた…。


「この度は良いご縁を戴き…誠に有り難うございます。 

どうぞ末長く宜しくお願い申しあげます。」


そう出院拓人は言って…深々と頭を下げた。



「こちらこそ…川蝉杏に良いご縁を戴き

誠に有り難うございます。どうぞ末長く宜しくお願いいたします…。」


杏のお母さんも、そう言って頭を下げた。


「私は両親が他界し…兄弟も居りませんので、

本人だけの結納式で申し訳ありません…。」


拓人は…そう言って申し訳無さそうな顔をした。


「今更ながら聞いてみるんですが……

川蝉家の一員として私のような者を入れて戴いて良いのでしょうか?」


杏のお母さん 「出院さんには…中東で外人部隊にいた杏を日本へ連れ戻して戴きました。

そして…杏に川蝉グループの経営の仕事をする気にもさせてくれました。

私は…それだけで十分です。

世の中に…こんな事の出来る男が…他にいるでしょうか?」


出院 「そう思ってくださるなら良いのですが…

杏さんの気持ちが変わらないよう…

私としても努力していく所存です。」


拓人と杏の結婚式の準備は急がれた。


結納式の次の日曜日には結婚式☆という

スピード結婚だ。


なんでも…杏の気が変わらない内に…

という真由美と母の心配かららしい…。


ハネムーンも「別に…良いよ」という杏の思いと

「成田離婚とか…心配だし」という母の思いにより、


「また…いつかね…。」と拓人は結論付けた。


結婚式と披露宴は川蝉家のイベントという事で

大盛況だった。


神父が「では、誓いのキスを…。」と言うと、

杏は歯が出てしまい…拓人の唇は血だらけになってしまった。


そんな事にも参席者は心得たもので…

何事も無かったかのように拍手を送った。


杏の友達は…というと男友達が多かったが気を利かせてあまり話かけて来ない…。

少ない女友達も兵士か格闘家の雰囲気の女性ばかりだ。


そんな時に披露宴会場の外で爆発音がした!


杏の友達は皆 気丈で…

「みんな、床に伏せて!テーブルの下に入るのよ!」

と慣れた対応が出来た!


拓人は「会場周辺は危険だ。数人ずつ屋外へ連れて出よう。」と言って脱出の指揮を執った。


あまりに手際よく参席者全員を避難させたので…

テロの首謀者らしきメンバーが会場に入ってきた時には…人っ子一人居ない状態だった。


拍子抜けしているテロ集団に

「Hold up!武器を捨てろ!」と迫力ある演技…。


集団のリーダーらしき人物にモデルガンで迫る杏とその友達たちは…

「誰に頼まれた!3秒以内に言わないと殺す!」


「川蝉化学の専務と常務です!」

一番腰の引けたメンバーが口を割った…。



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