第6話 現代の…桃子と啓介と玲奈

拓人(ディーン)は玲奈の姉の桃子と仲良く成って、いろいろ話をして得た情報を玲奈に報告した。


玲奈「ねえ、ディーン…桃子さんと話してみたいわ。

何も知らなかった風にいろいろと…」


「そうか…じゃあ偶然を装うか? 


でも後できっと美代子お母さんと3人…いや4人で話す事になるだろうからな。


お母さんを通して話したほうが得策かもね。」


「それも そうね。 

私達姉妹なんだから…

きっと良い関係で居れるよね…。 


どんなお姉さんだったとしてもさ。 

お母さんの娘なら大丈夫、


きっと分かり合えるよね。」

…………………………………………………………………


玲奈「お母さん…玲奈…お姉さんと話してみたいな…。」


「そうなのよ、お母さんも今強烈に桃子と話したいと思っていたのよ。 


啓介が桃子の住所とか知ってるだろうから…啓介に頼んでみようかな?」


美代子《ああ…啓介君? あのさあ…

仕事の事じゃあ無いんだけど…

お姉さんの桃子さんに会えないかしら…?》


啓介《えっ? 桃子姉さんにですか?

そうですね。 連絡はしてみますけど…


後は桃子姉さん次第ですね。 

もちろん、僕からは熱烈会いたいモードを伝えておきますけど…。》


《そう…ゴメンね、いつも啓介には気苦労掛けるわね…。 

こんな母さんを許してね。 


あなたを置いてけぼりにした悪い母さんを…

本当ゴメンね。(涙)》


啓介[母さん…そんなに謝らなくても大丈夫だよ。 

母さんの気持ちは…よく分かってる。

 

必ず桃子姉さんを連れて来るからさ。]

(啓介の思い)


…………………


啓介「桃子姉さん……美代子お母さんがさ…姉さんと話したいんだって…。」


「ええっ? お母さんが……。

そうかあ…やっぱりお母さん気弱になってるんだなあ。 


私はさあ…お母さんの事を もう恨んじゃいないしさ…もう大人だからね…。 


お母さんには、いつも気丈でいて欲しいじゃない。

どしようかなあ?」


啓介「今なら妹の玲奈ちゃんも居るよ。」


「ああ…玲奈かあ。 

以前はお母さんを独り占めされたと思って…


随分羨ましく思ったんだけど…

考えてみれば私生児って事になってるし…


可哀想なもんだよ。」


啓介「じゃあ…会ってみる?」


「そうだなあ…断る理由も無いしなあ。」


啓介「ねえ…桃子姉さん…変わったね。

何か心境の変化でも有ったの?」


「ええ~☆ 分かる? 実は姉ちゃん…好きな男性(ひと)が出来たんだ。


あっ!…恥ずかしいよ。」


啓介「そうかあ…なんか刺々しさが無くなって…

綺麗になったんじゃない?」


「バカヤロー…姉ちゃんを つかまえて綺麗になっただと~☆」


啓介[はあ…姉ちゃんも…ただの女だったんだね。

まあ…良かったかな。 一時は飲んだくれて大変だったからなあ。

彼氏ってのは…どこの誰だか知らないけど…

有り難うございます…だよな。]



拓人(ディーン) 「へ~くしょん! あ~誰かが俺のウワサしてるわ☆ まあ探偵みたいな仕事も多いからな。 仕方無いかあ~☆」

…………………………………………………………


美代子「桃子~☆ よく来てくれたねえ。

悪い母ちゃんでゴメンね。 


随分寂しい思いをさせたねえ☆ 


お前たち姉弟を親戚に預けたり… 

知らないお家に あげたりして… 」


桃子「お母さん…もう済んだ事だよ。

私達はお母さんに捨てられたなんて…

一度も思った事無いんだ。


いつもお母さんが苦労するのを見てたから…

明日は迎えに来てくれる…


明日こそ私達を迎えに来てくれる…って

信じて疑わなかったから…」


美代子「ゴメンよ! 本当にごめんなさい。

悪い母ちゃんだよね。 

こんな母ちゃん要らないよね。」


桃子「お母さん…離れていても忘れた事は一度も無かったよ。 それだけが望みだったから… 母ちゃん以外…何も要らないって思ってたから。」


美代子「桃子…ゴメンね。 有り難う、こんな母ちゃんを慕ってくれて…ホント申し訳ない!」


…………………………………………………………


美代子と子供達の四人は食事に外へ出た。


桃子「田代はね…あれから直ぐに会社の経営が苦しくなって倒産したんだよ。」


美代子「そう…知らなかったわ、田代さん連絡してくれる約束だったのに。

じゃあ…桃子も啓介もお金に苦労したんじゃない?」


桃子「う~ん…まあ一つのオニギリを二人で分けあったり…


お母さんから500円貰ったから牛丼屋で一人分頼んで二人で分けて食べたりとか…」


美代子はもう顔をグシャグシャにして泣いてしまった。


桃子「でも…ある時から貧乏に感謝できるようになったんだ…

友達の両親はお金持ちだったんだけど…お父さんの酒癖と女遊びが酷くてね…

ああ…お金が有っても幸せじゃ無いんだな…って思ったんだ。

そういう面じゃあ…田代夫婦は貧乏でも仲良かったしね。」


玲奈「私ね…お姉さんとお兄さんが居るって分かって…凄く嬉しかったの。

お父さんは違っても、血が繋がってるんだって。

お姉さん、お兄さん…私を妹として認めてくれるかしら?」


啓介は姉の桃子の顔を見て目配せした…


啓介「もちろんだよ。東京に人は いっぱい居るんだけど…血が繋がった兄妹は僕達3人だけだからね…」


桃子「玲奈ちゃんね……今日は妹に会えると思ってワクワクしてたんだよ。


お姉さんは玲奈ちゃんの事好きだなあ。

もうハグしちゃいたい位…。」


その時…玲奈はシクシク泣き始めた。

「ゴメンなさい…長い間、お母さんを独占してしまって……


こんな妹を許してね…。 お姉さんもお兄さんも、

いっぱい苦労してきたのに…。」


……………………………


拓人(ディーン)は……

美代子(母)、桃子(姉)、啓介(兄)、玲奈(今回の依頼人)が歓談しているのを遠目で見ながら…


[フッ! これで一件落着かな…(* ̄∇ ̄)ノ


また新たな依頼主を待とうかな…。]


拓人は玲奈に《事務所に帰るね》とメッセージを残した。


玲奈は、それを見て《有り難う。助かったわ。またね。》と返した。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る