芸者の手練手管


 さて、長谷川太郎の七回忌は、惑星テラの小笠原シティで盛大に行われた。

 なんとミコがやってくる、しかもハウスキーパーのサリー、アーチダッチスのイシスを連れてである。


 ナイトマネージャーのエカテリーナ以下、マルス文化圏のメイドがほとんど集まっている。

 小笠原シティの奥様方の、井戸端会議のメインの話題となっている。


「まったく綺麗な方々ばかりで嫌になるわね」

「ほんと、男っていやらしいのだから、今日もどなたが一番きれいだろうか、なんて話しているわ」


「ねえ、ミコ様の写真だけは公開されないわね、今回は公開されるかと思ったのだけれど」

「ミコ様を見る事は出来るみたいよ、七回忌の会場に行けばいいみたい」


「私、死ぬまでに一度はミコ様を見てみたい!」

「ものすごく綺麗って聞くけど、この写真のサリー様より、綺麗な方っているのかしら?」


「だから見てみたいのよ、私サリー様にあこがれるけど、あまりに綺麗で嫉妬も何も湧かない、それより美しい方って、もう神様の領域よね」


「私はイシス様のファンなの!イシス様って気品が半端じゃないわ、このイシス様よりお綺麗なんて想像できないわ、ミコ様ってどんな方なのかしら」

 というわけで、七回忌の会場、およびその周りは人々の山となりました。


「盛大で良かったですわ、ミコ様が来て下さって、主人も喜んでいるでしょう」

 長谷川倫子は、セレスティア・デヴィッドソンに話しかけています。


 セレスティアが、

「倫子さん、この後、おわかりですね」

「いろいろ考えましたが覚悟はできています、女神ヒナになりたいと考えています」


「私は主人と、マーシャルのクェゼリン環礁に旅をしたことがあります」

「あの島の方々は、ナーキッドに何の悪意もなかったのに見捨てられた、誰かが手を差し伸べなければと思っています」


「ガラナの事は手配済みですが、誘惑は大丈夫ですか?」

「その気になれば枕芸者もできます」


「失礼ながら調査はさせていただいています」

「およそ芸者というものは、日本では褒められた仕事ではない、妾にはなれても妻にはなり得ない」

「マルスの日本地域では、そのような風潮もうすれつつありますが」


「おっしゃる通りです、私の家は貧しく、芸者にでもなるしかなかった、でも私は逃げ出したかった」

「主人を頼みとして、必死でかき口説きました」


 セレスティアが、

「浅い川ならひざまでまくる、深い川ならおいどまでまくる」

 と、歌うように云います。


「そこまで御調べですか……私は新橋の芸者でしたが、その踊りを必死の思いで主人の前で踊りました」

「主人は憐れんでくれたようです、妻に迎えてくれました」

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