計画は動き出した
イシスが、
「その計画だが、この予定されているメンバーでは、足りないのではないか?」
「この際、候補者や資格の者を取り込んでおいてはどうか?」
エカテリーナが、
「名誉刀自にですか?」
「名誉刀自となるとアナーヒターに報告せねばならぬでしょうが、年金を支給されている方は多いはず」
「その方たちの中より、より多く貢献した方の名誉を称えるとすれば、アナーヒターは喜んで許可を下ろすはずでしょう」
「とこかく問題は、故長谷川元帥の七回忌ですね?」
「皆で大挙していけばいいでしょう、セレスティアからの申請願いをださせ、アナーヒターにも見せればいい」
「私たちも皆で行くと伝えればなお良し、間違いなしに七回忌にアナーヒターはやってくる」
「後は例のガラナ、マドレーヌが上手くやったでしょう」
「長谷川倫子が色仕掛けするようにセレスティアがそそのかしているのですから、ガラナを飲ませて、未亡人を押し倒し、責任とって下さいね、はいはい、となりますね、当たらずとも遠からずです」
「しかしイシス様、誰がガラナを飲ませるのです?」
「私はしませんよ、お嬢様に嫌われたくありませんから!」
「私が飲ませます、でもその際、ボーナスは貰うわよ」
「しかたありません、夜伽を順次ずらしましょう」
こんな話が、ニライカナイのハウスキーパー事務局の一室で話されていました。
その後、極秘にテラのメイド・ハウス・バトラーの、上杉忍がイシスに呼び出されます。
側にはエールが控えていました。
「計画は了承されました、貴女のもくろんでいるテラの直轄惑星化、四級市民地域をなくし、ヴィーナス・ネットワークへ献上品供出するとなれば、我等としても何とかしなくてはならなくなります」
「例のメス化ボルバキア菌対策、オス殺しも含めて撲滅は困難ですが、環境ホルモン汚染の進行防止と、放射能土壌汚染のクリーン化は可能です、エールは職務上対処できます」
エールが、
「三軍統合司令官アーチダッチスのイシス様のご命令ですので、中華及び北米の環境ホルモン汚染の進行防止と、放射能土壌汚染のクリーン化は終了しております」
「しかし私見を述べさせていただければ、ミコ様に刃向かった者どもを助けるのには抵抗があります、一級市民地域なら万難を排して守りますが……」
「ミリタリーの不満は理解しています、ナーキッドも同じような意見なのも承知しております」
「しかしヴィーナス・ネットワークの約束事、『寵妃』だけがヴィーナス・ネットワークへの影響力を行使できる」
「ゆえに『寵妃』をだせる、ハレムが設立できる直轄惑星は、ヴィーナス・ネットワーク内では優遇される」
「これがヴィーナス・ネットワークの統治の根幹、それゆえ、たとえ種族が人類でなくても、それなりの肢体になってもらっています」
「もっとも生命の進化は、ヒューマノイドの姿に似てきますけどね、魚類や爬虫類が進化しても、不思議に似てきますね……神のお考えなのでしょう」
最後の方の言葉は、独り言のようでした。
「上杉忍、なかなか画策しますね、セレスティアを焚きつけての北米処理、献上品養成のための高女のフライング設立などは見事な手腕です」
「そして今度のパシフィック、でもヨーロッパは難しいわよ、アナーヒターはあのような性格、切り捨てると決めれば、ロプノールの出来事が待っている」
「ヨーロッパをアナーヒターにゆだねたユリウス五世はもういない、ヨーロッパを守る誓約は、マルス移住で果たされている」
「承知しております、なるかならぬかは分かりませんが、惑星テラはミコ様の故郷、出来れば何とかしてさしあげたいのです」
ニヤッと笑ったイシスが、
「額面通りに信じていますよ、期待しています」
こうして、忍とセレスティアの計画は動き出した。
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