寵妃の夜はなんでもあり


「ママ、大変だったようね、でもうらやましいわ……」

「そうなの……」

 

「ママは知らないでしょうが、寵妃になってもミコ様の夜に侍るのは大変なのよ、皆いろいろと努力しているの」

「そうなの……」


「そうなのって、どうしたの?」

「いえね、ミコ様にお尻をぶたれたのが頭を離れないの、恥ずかしいけどもう一度……そればかり、それに口には出せないほど恥ずかしい目にあったのに……あの日々を再び……女って駄目ね」


「なんだ、そういう事なの?」

「簡単に云うわね」


「私なんか、ミコ様には全てを差し出しているのよ、ポニーガールも命じられるのよ、恥ずかしい恰好でディアヌと二人、ハイステップ・トロットでカートを引いたわよ、股間を刺激されながら、もう狂いそうになったわ」


「そのうち思考が停止していき、ただひたすら命じられた事をすることに幸せを感じたの、その後はしたないほどの洪水よ」


「ミコ様にかかるとどんな女も狂うの、命じられればそれだけで腰のあたりからオーガズムが込みあがるの、寵妃と名がつけば誰もが変態なのよ」


「オムツの話も聞いているけど、それぐらい大したことはないのよ、ただ例の毒薬料理の酷さは、佳人以上の方々、認識したようよ」

「とんでもない臭いで、皆さん、二三日鼻が馬鹿になったと、いっているのを聞いたわ」


「皆さん、私に同情的だったのは、オムツではなかったの?」

「毒薬料理を食べさせられた事がほとんどなのよ、下痢は苦しいですから、でもオムツの方は、ミコ様への誘惑手段として新しい手法だと、皆さんきずいたようよ」

「オムツが?」


「ママ、寵妃はね、足の引っ張り合いはしないし、讒言などもしない、でもミコ様の寵愛は争うのよ」


「ささやかな私的なお願いも、ある特定の時、特定の場所でなら許されるのよ」

「エラムではイーゼル温泉の湯舟、マルスではスペースラグーン、ミコ様に会えればだけれどね」


「でもね、その時は戦場なのよ、ミコ様のお声が掛かるには、夜伽の時などに印象を強く持って頂かなければならない」

「それに次の夜伽まで、女の官能をミコ様に満たして頂かなければならない、そんなこんなで夜伽でミコ様を誘惑するのには、皆さんなんでもありなのよ、そしてそれは認められているの」


「じゃあ、オムツなんてのも……」

「そうよ、有名な話があるわよ、テレーサ・オリヴェイラさんを知っているでしょう?」


「彼女、床が下手だったよ、そこで考えたのね、パティシエのマドレーヌさんに、夜伽の直前に自分の体にお菓子のデコレーションをしてもらって、ベッドで待ったのよ」


「そしたらね、ミコ様がハッスルして、それは激しくテレーサを抱いてくれたらしいのね」

「たちまちその『NYOTAIMORI』が流行って、ミコ様のお仕事に支障が出て、禁止になったのよ」

「でもテレーサ・オリヴェイラさん、それ以来、ガラッと変わったのよ」


「そういえば、テレーサさん、近頃変わったと思っていたけど……そうだったの」

「オムツぐらいの羞恥プレイ、夜伽の一つの方法論、寵妃の夜伽の激しさは、そこらの娼婦なんて裸足で逃げ出すわよ」


「アリシアの話を聞いていると、私なんてまだまだの気がしてきたわ」

「夜毎の事に恥ずかしいというのは一般女官の話よ、ママは寵妃なのよ」


 こんな会話が、母娘で交わされた後、元気が出たセレスティアは激変した。

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