北米ナーキッド領域の復興

 

 近頃のセレスティアは、側女のチョーカーを付け、全身からにじみ出る色気は未亡人の物、見る者はぞくっとする。


 しかしお昼のお仕事は有能で、ミコはセレスティアの北米ナーキッド領域管理官の肩書は、そのままとしていた。


「北米の西部をしばらくまかせましたよ、それから新しい技芸学校はよろしくお守してくださいよ、ここの生徒がアメリカを背負うのですから」


 技芸学校の『見習い』さんと、『女給』さんにはアームレットが支給されることになった。


 アームレットは腕の上腕部に装着するのだが、不思議なことに長袖などの服を着ると、その上に現れる。

 勿論、不可視化も出来るが、まずそんなことをするものはいない。

 その上、アームレットは取り外すことも可能であるが、本人以外が装着するととんでもない災いが起る、また願うと必ず戻って来る。


 それぞれ材質とカラーは、『見習い』さんはシルバー、『女給』さんはグリーンシルバー、それなりの防衛魔法が、アームレットには込められているようだ。


 修道女さんにグリーンシルバーのアームレットを支給して、管理官府の職員に任命、この『女給』さんたちをこき使い、セレスティアは北米ナーキッド領域を見事に復興させ始めた。


 まずは有り余る電力が供給できるので、各地の産科システムでコア病院をつくり、その周りに女たちの農園をあちこちに作り始めた。


 女たちだから力仕事は難しいのであるが、なんとか人力で耕作出来るぐらい、小さい農園である。

 そこにトウモロコシや小麦を植えさすと、ミコは特別に作物の育ちは抜群という、ものすごい液体肥料を提供してくれた。


 例の毒薬料理である、もともと古代エラムの忘れられた魔法の肥料が、間違って伝承されて毒薬料理となっていたもの、効果は折り紙つきである。

 食糧はこれで何とかなると思われる。


 マニトゥーリン技芸学校が開校した。

 この北米アメリカのナーキッド領から献上される女の学校、香港技芸学校に続いて設立された女奴隷の学校……


 三級市民地域の管理官育成校、五年制で入学資格は生理がある女性で容姿端麗、頭脳明晰、健康で有ること、そしてなにより献上された女で有ること、本人の自書による売買証文が必要である。


 午前中はそれなりのお仕事、マニトゥーリン島内の維持管理、食事当番など、勿論トイレの掃除も、全ては女生徒の自主に任される。


 高等女学校は女学生だが、技芸学校は『見習い』とよばれる。

 卒業すると『女給』となり、末女なみの給料が支給され、三十七州の州都にある管理官府に勤める事になる。

 本人の努力次第でどこまでも上がっていけるし、寵妃になれば一級市民、ヴィーナス・ネットワークの世界が広がっている。


 朝七時に起きて、簡単な食事を済ませ、割り当てられた仕事を行い、十一時半に終了、昼食と身嗜みを終えて、一時より授業となる。


 六時までの五時間が授業、その後、午前中に食事当番が作り置いた夕食を各自温めて取り、この後は自由となり十一時には消灯である。


 休みは日曜のみ、長期休暇はクリスマスから正月にかけての十日間だけ、かなりきつい日々となる。

 衣食住は全て無料の上に、金貨一枚年収百五十万が支給される、つまり奨学生の扱いである。

 しかも通販カタログシステムが、月五千円だが『見習い』さんにだけ、支給されることになっている。

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