毒薬料理とオムツ


 毒薬料理……

 エラムでは余りに有名な大賢者ダフネの手料理。

 もっとも今では原因が解明されており、ダフネの手料理は食べられる代物になっている。


 この料理を食べた者は、三日は手ひどい下痢を起こしトイレに入り浸りになる。

 しかもその臭いはすさまじく、どうすれば食べ物でこれだけの物が出来るのか、奇跡といわれた代物。

 エラムでは、容疑者の自白や懲罰に使われている始末。


 エラムの寵妃の中でも、食べたものはあまり居ないが、その臭いを一度は嗅いだ事があるようなのだ。


 あれを食べさせられるのですか……

 だからオムツ……

 余りに酷い……


 百合の幹部会議の雰囲気が変わってきた。

 ヴィーナス様、ひどい……

 私たちも気をつけなくては……


 マルスの女やミリタリーの女たちが、知り合いのエラムの女に毒薬料理の事を聞いている。

 

 そんなにひどいの、毒薬料理って?

 ダフネ様の手料理で、その昔ヴィーナス様とビクトリア様がお食べになって、三日ほど七転八倒されたと聞きましたわよ。


 えっっっ、あのミコ様――ヴィーナスの事――が?

 なんでもお食べになるし、とんでもなくお丈夫なお腹をお持ちなのに?


 それにね、エラムでは容疑者に自白をさせるために、毒薬料理を無理やりに押し込むの。

 するとね、泡を吹いて酷い下痢をおこしてね。

 次に毒薬料理を差し出されると、真っ青になって自白するそうよ。

 とにかくものすごい威力と聞いているわ。


 などなど、女たちのこそこそ話が聞こえてくる。

 

「でも、このニライカナイでは作れないのでは?」

 と、元祖料理人のダフネが言うと、

「私なら作れます、もう作ってあります」

 そういうと、どこからか、どよーんとした物が入っているお鍋を持ってきた。


 女たちの悲鳴が再度響く。

 確かにその臭いのすごいこと……


 この頃にはセレスティアや忍に対して、当初の怒りはどこへやら、会議場は同情の声ばかりとなっている。


 それなのにミコは、

「さて二人には、これを食べてもらいましょうね」

 と、強要している。


 二人は食べた……そして個室に軟禁……脂汗の二人……下半身はオムツ、その上から貞操帯のようなもので施錠されている。


 あぁぁぁぁ、セレスティアが泣きそうな声を上げる、すると忍も、だめ!と叫ぶ。

 次の日ミコがやってきて、

「あらあら、かなりオムツが膨らんでいるのでは、でもね、これぐらい我慢してもらわなくてはね」


「本当はミリタリーあたりでは、かなりきつい処罰が話されていたのでね、何とかしようとこれでも知恵を絞ったのですよ」


「酷い処罰と誰もが思えて、後のことを考えれば同情なども集まる処罰をね」

「今日一日、オムツの屈辱を我慢すれば、あと二日トイレにこもれば、何とか収まるでしょう」


 二人はそれどころではない、お腹がなるとオムツが膨らむ、気が遠くなり、思考が停止しそうなのだ。

「あと五時間ほどがんばってね、それからご飯は食べないほうがいいわよ、後で私が何とかしてあげますよ」


 忍が、「だめぇぇぇ!」と、絶叫しついに泣き始め、セレスティアは、もはや何も考えられなくなり、ただ訳もなく謝っていた。

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