聴聞


 二人はニライカナイで、ミコとその姉でアーチダッチェスのイシス、ハウスキーパーのサリー、レディーズ・メイドのアナスタシア、最高顧問とも噂されるマレーネ、あと惑星テラの監視端末のエールに、説明することになる。


 マレーネが、

「テラの三級市民地域の一部に、二級にあるべき高等女学校を設立したそうですね、ここにいる者はその真意は理解してはいます」


「しかし一応決まり事を確信犯で破った以上、なんらかのケジメを付けざるえません」

「貴女たちはどのように収めるつもりか、まずはそこをお聞きしましょう」


 レディーズ・メイドのアナスタシアが、

「よく考えて返事してくださいね、この後の百合の幹部会議は、波乱必定ですからね」


 ハウスキーパーのサリーが、

「今回はお嬢様のお色気作戦は効きませんよ、なんせ怒りの矛先は、貴女たちへ向いています」


「少し読みが甘いとおもいますよ、ミリタリーも怒っていますからね」

「近頃はあの方たちも女ですからね、それにミコ様を『だし』にしたと、息巻いていましたから」

 

 忍が、

「私の責任です、セレスティアさんは、私の思いを汲んで動いてくれました」

「セレスティアさんは身体を代価とする御覚悟、私は皆様の前で鞭打ちを受けたいと考えています」


 イシスが、「鞭打ち、皆の前で?」と聞きますので、「はい」と答えた忍。

「それでもご不満なら、チョーカーを返上いたします」


 イシスが激怒した。

「脅すのですか、それならそうして貰いましょうか、ここで責任を問わなくては示しがつかなくなる」


「寵妃が確信犯で命令違反をし、挙句に居直ってチョーカー返上、そんなことをいわれてお構いなしとはいかない、悪しき先例となり続くものが出る」


 サリーがとりなすように、

「イシス様、忍もそのような意味で云ったのではないと考えます」

「ただ責任を取る場合、最後はそのような覚悟も持っていると云いたかったのでしょう、当然死も覚悟しているはず」


 エールが、

「ミコ様のお考えを、聞くべきではありませんか?」

「私たちは全てミコ様の奴隷、主が死を命じれば、それに従う事が義務、忍もそれなりの覚悟、どのような命令も受け入れるでしょう」


「ただセレスティアの場合は名誉待遇夫人、厳密にいえば民間人、厳罰は控えるべきでしょう」


 ここで初めて、ミコが口を開いた。

「たしかに、いつかは三級の一部は二級にしても良いでしょう、遅いか早いかです」

「北米は一度となくナーキッドに牙をむいた地域、おいそれと二級には出来ません」


「また基本的には、四級地域は高等女学校設立と同時に正式に三級に認定、卒業生が出る五年後に、社会体制が二級にふさわしくないとなれば見送りとしましょう」


「つまり、二人の行為の結果は認めても良い、ただ独断専行はいささか罪に問わなくては、けじめがつかないでしょう」


「セレスティアさんは確かに民間人に近い名誉待遇夫人、独断専行の代価としてその身を貰い受けましょう」

「降格して清女としたいところですが、今までのご主人の貢献を認めなくてはなりませんので側女、五年後に夫人に戻しましょう」


「上杉忍も降格ですが、彼女の職種を考えると一階級降格の佳人待遇夫人、でもこれでは甘いですね」

「セレスティアもこの時点で側女、私の奴隷になるわけで、懲罰を共に受けてもらいます」


「懲罰?何にするの?」とイシスが聞く。

「鞭打ちも考えたのですが、一応私の物ですので傷つけるのはね、私ケチですから」

 サリーとアナスタシアが、クスッと笑った。


「お嬢様、で御仕置きはなんにするのです」

「まぁそれはね、後のお楽しみ、百合の幹部会議で発表しますよ」

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