北米ナーキッド領域管理官
「ナーキッドの上杉忍です、実はそちらの土地を購入しようと考えますが、構いませんか?」
カナダの三級市民国家は、今回のマニトゥーリン島購入にたいしての代金は無料でいいといってきました。
ナーキッドは、北米担当の出先機関を置くことを約束する。
当然、全域に外交特権を指定して、それをカナダ地域の三級市民地域政府に認めさせた。
幸いなことに、いまでは住人はほとんどいない。
一月後、セレスティアは名誉待遇夫人の位を授かり、マニトゥーリン島に赴任することになった。
信じられないことに、陸戦ロボット部隊が一個小隊、派遣されていた。
「ミコ様はかなり本気なのね……」
セレスティアの肩書は北米ナーキッド領域管理官、その管理する地域は、ほとんど荒れ地となっており、黒人は第二次アメリカ南北戦争で、アフリカへ退去した状態である。
アメリカ東部は白人ばかりだが、このアメリカ中西部は白人と有色人種系が七・三程度の割合となっている。
有色人種系の男を含む一家は、ハワイに移住してもらう。
カナダ地域も第二次アメリカ南北戦争の余波で、同様の人種ジュノサイドが起こったようだがこの地域の政府は一切触れない。
アメリカ東部との境は、オハイオ、ケンタッキー、テネシー、ミシシッピーのライン、この四つの州はナーキッド領となる。
州としては三十州、アラスカは国家がすでに崩壊、ハワイは別の三級市民国家となっている。
カナダとの境は三つの州と三つの準州、そしてアラスカの七州。
この三十七つが北米ナーキッド領、将来的には州単位に分割する予定である。
「まずは技芸学校ですが、しかし待ったなしで三十七もの州の管理官が要るけど……短期教育で即戦力の人材を育成しなければ……忍さんの考えでは、テラの事はテラの人間が望ましいらしいのだけど……」
しかしセレスティアの行動力は抜群、デヴィッドソンの女帝とまでよばれた女、しかも女としての望みがこれにかかっている。
「最低でも有能な女を三十七人そろえればいいのね、テラの人間ならいいのよね」
アメリカだからアングロサクソン、つまりはイギリスなら親和性があるとの理由で、英国国教会の系列である聖公会(アングリカン・コミュニオン)の女子修道院に目を付けたようである。
カナダに残っているのはフランス系というのは考慮しないようだ。
「このテラに残っている聖公会はおおむね、イギリス、アイルランド、タスマニアでしょう、あとデヴォン島に少し」
「残っている女子修道院の人員の中から、希望者を募り選抜すれば三十七名ぐらいはいるのでは……護衛は陸戦ロボット兵士をつければ、なんてことはない」
このセレスティアの案には、辣腕で知られる上杉忍も感心するばかり。
「修道女を指導者とすれば、モラルもそれなりになるはず」
「いささか教条主義になるかも知れませんが、この地も女が多くなりつつありますし、セレスティアさんの案はベストかも知れません」
忍はそのあとの言葉を胸に飲み込んだ。
それにこういっては何ですが、三級市民地域は農奴制ぐらいと、ミコ様がおっしゃっておられましたし……二級市民地域の住民も人権は制限され……いまや女は余っている……
女子修道院……ナーキッドなら買えるのですけどね……
もう、昔のようなキリスト教ではないのですよ……ミコ様は聖母のように扱われていますし、そのミコ様にお仕えする……
そしてミコ様は女を優しく抱かれる……修道女さんといえど、ミコ様が望まれれば……
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