第608話 再会



 地下35階を進む俺達の前に現れた謎の異空間。

 

 警戒役であった白兎が発見するも、毘燭や胡狛、空間制御を習得している他の者達もその正体を見抜くことができなかった。


 しかし、そこに口を挟んできたのがトライアンフ。


 いつも人に迷惑しかかけないトラブルメーカーであるが、大陸有数と自負する『創界制御』の使い手でもあり、その見識を持って異空間の正体を看破。


 レッドオーダーが『創界制御』で作り出した異空間であるのが分かった。

 しかも、中に生きた人間が存在しており、おそらくこの異空間に誘い込まれ出られなくなっていると思われる状況であることも。


 この中にガミンさん達、先行隊がいるのではないか?

 

 しかし、一度入り込めば脱出はかなり難しいということで、中に入るか、それとも、しばらく周辺を捜索するかで、皆の意見が割れてしまう。


 だが、そこでこの混成パーティに『白兎リーダー』が爆誕。


 カリスマ感溢れる宣言を以って、この異空間に入ることが決定。


 白兎の威厳に満ち満ちた号令に、一同何のためらいも無く行進を開始。


 謎の異空間へと足を踏み入れたのだが…………



 俺達の目の前に現れたのは作り物めいた赤黒い空に、血生臭い雰囲気を持つ闘技場。

 

 そして、俺達へと駆け寄って来るガミンさんと先行隊の人達と思われる姿であった。










「団長!」

「ロータスさん!」



 探している人を見つけた様子のガイとアスリンが我先にと駆け出して行き、ドローシアとニルもアスリンの後を追う。


 よほど慕っていたのであろう。

 まるで長らく会えていなかった家族に出会えたような感情の発露。



 また、レオンハルトも知り合いを見つけたようで、俺達に一言かけてから悠然とした足取りで離れていく。



 そして、俺やアルス、ハザンの前には、今にも泣きそうな顔のガミンさん。



「ああ………、まさかお前達が来てくれるなんて…………」



 感無量といった感じで俺達を迎え入れてくれるガミンさん。

 少なくとも2週間近くはダンジョンに潜っているだろうから、かなり疲労した様子は否めない。


 しかし、俺達が現れたことで希望を見出したのだろう。

 その目が歓喜に満ち溢れていた。



「すまんな、新人のお前達まで引っ張り出してしまって………」


「緊急依頼ですし………ガミンさんがいると聞いて………」

「ガミンさんにはお世話になっていますから」

「うむ、ガミンさんはアルスと引き合わせてくれた恩人だ」


 

 俺もアルスもハザンも、この街に来た時からガミンさんに世話になっている。

 その善行がこの窮地に報われたという感じであろう。



「本当に良くここまで辿り着いてくれた。お前等新人には荷が重い任務だっただろうに………、本来なら拒否しても不思議じゃない難易度なんだがな」


「それなりに大変でしたが………俺達なら大丈夫と踏みました」

「…………まあ、大半はヒロのおかげです」

「それは間違いないな」


「んん? そうか……………ヒロか。やっぱり俺が見込んだだけあるな。ガハハハハッ!」



 俺達の返しに、相好を崩して大笑いするガミンさん。


 しかし、すぐに真面目な顔に戻り、

 


「いつまで経ってもまとまった増援が来ないから、一体どうなっているのか心配していたんだ……………、まあ、こんな状況だから、お前達が来てくれたことを手放しで喜ぶわけにはいかんかもしれんが…………」


「まあ、どう考えても罠に飛び込んでしまったみたいなもんですからね」



 話している途中にガミンさんの顔が苦渋に歪み、俺の言葉でさらに申し訳なさそうな表情を見せてくる。

 言わば俺達を罠に引き入れてしまった形になってしまったからだろう。



「気にしないでください。僕達は僕達の意思で、この異空間に入ってきたのですから」



 優等生のアルスがすかさずフォロー。

 ここで『ヒロの』とか『白兎リーダーの』とか言わない所がポイント高い。

 後で花丸をくれてやろう。



「……………そう言って貰えると助かる。地上に戻れば最大限の報酬を約束しよう」


「あははは、じゃあ、ガミンさんから白翼協商に口添えお願いしますね」



 ガミンさんの誠意にアルスが冗談めかした口調で返す。

 


 あれ? 何か違和感…………



 白翼協商バルトーラ支店のトップであるガミンさんに対して、その反応は少々場違いのように思える。


 ガミンさんがそう言う以上、すでに決定事項なのだ。

 それを『口添えをお願いする』とは……………

 


 あ、そうか。アルス達はガミンさんが支店長であることを知らないのか。



 ガミンさんもアルスの反応に微妙な顔をしている。


 あれは今ここでバラすかどうかを考えている顔だな。

 

 しかし、この鉄火場で打ち明けるにはあまりに空気が読めない行い。


 しかも他の秤屋の人間が見ている前だ。

 流石にこの場では自重するしかないのではなかろうか………



「……………ああ、任せてくれ。必ずお前達のことは上層部に直談判してやるさ」



 案の定、この場での暴露は控えた模様。


 いや、アンタがその上層部でしょ!

 

 と心の中で思いっきりツッコミ。



「しかし、お前達も随分と従属機械種が増えたな」



 ガミンさんは話を逸らす為か、俺達が連れてきた従属機械種へと視線を向け、



「ヒロのストロングタイプは知っているが…………えっ!!! まさか?」



 俺達の背後に佇むストロングタイプ9機、重量級3機を含む機械種の集団を見て絶句。


 しばらく石化したかのように固まったかと思うと、やがて絞り出すような声で俺へと質問。



「………………………おい、ヒロ」


「はい、何か」


「なんで竜種がいる?」


「玄室で捕まえました。でも、あれはアスリンの従属機械種ですよ」


「蓮花会の重量級使いか…………、あと、ストロングタイプ、増えていないか? お前が従属させているのは5機じゃなかったか?」


「まあ、そうですね。あのうち、魔法少女系1機、僧侶系1機、騎士系2機と、白翼協商から購入した整備士系1機が俺のです。残りはアルスとレオンハルトの従属機械種ですね」


「いや、征海連合のレオンハルトが剣士系を従属させているのは知っているが…………えっ! アルスもか!!」



 クワッと目を見開き、アルスへと振り返るガミンさん。


 アルスは驚きを隠せないガミンさんへと簡単に事情を説明。

 


「はい、ここに来る途中で捕まえたのが1機、ガチャ神殿で引いたのが1機………」


「はあ? ストロングタイプをか? ……………いや、ガチャ神殿は分かるが…………、ストロングタイプを捕まえたとはどういうことだ? ここはまだ地下35階だぞ!」



 おや?

 ガミンさん達は活性化がさらに進んだことを知らないのか。


 『白琵琶』を展開していて、さらにこの異空間に閉じ込められているとなると、外の情報を知らないのも当たり前か。

  


 俺とアルスとで、ガミンさんへ難易度が爆上がりしていることを説明。

 すでに地下34階でもストロングタイプが出没するようになっていると。



「………………なるほど、そうなっていたか。原因を考えれば、おかしなことじゃない」



 腕組みしながら思案するガミンさん。

 何やら2段階に難易度が上がった活性化の原因を知っていそうな感じ。



「………ということは、これ以上の援軍は期待できないか。まあ、ヒロやハザンといった機械種と正面から戦える連中が揃ったことを先に喜ぶべきことなんだろうな」


「え? それはどういう…………」



 ガミンさんの言葉に俺が聞き返そうとした時、



「感動の再会中、失礼するよ」

「おい、ロータス! 抜け駆けするな!」


「うるさいね、ブルハーン。レディーファーストだよ」

「都合の良い時ばっかり、そんなことを言いおって………」



 ガミンさんとの会話に割り込んできたのは、オレンジ色の髪をした20代の女性。

 そして、重厚そうな防護服に身を包み、鉄兜を被った初老の男性。


 

「アンタがヒロだね。うちのアスリン達を助けてくれたそうじゃないか。蓮花会を代表してお礼を言うよ」


「………………いえ、こちらも以前、秘彗と胡狛を助けて頂きましたので………、お会いできて光栄です、マダム・ロータス」



 俺が少し見上げるくらいの大柄な女性。

 男物ジャケットに、デニムを履いた男装と言っても良い風体。

 だが、そのメリハリのあるスタイルがこれでもかと女性を主張。


 目鼻立ちのクッキリとした美貌に、堂々とした雰囲気を纏う美女。

 男のような恰好をしていても、女王のごとき威厳を振り撒いている。


 街で何度もその名を聞いたことのあるマダム・ロータスの名。

 それはこの街で最強戦力の1人とも数えられる機人。



 相手は何十年もレッドオーダーと戦ってきた大先輩だ。

 それにうちのメンバーを助けてくれた恩人でもある。

 失礼の無いように精一杯の礼儀を返す。



「ふうん……………」



 機人の証明である緑色の光が俺を見据えてくる。

 値踏みをしているような視線………、いや、確実に俺の力量を図ろうとしているのであろう。


 

 止めてほしいなあ。

 外見からの俺は貧弱ボーヤ以外の何者でもないぞ。



 こちらを射抜くような鋭い視線に思わず尻込みしそうになる俺。



 一応、瀝泉槍を持っているから、武人の風格は出ていると思うんだが………

 でも、到底鍛えているように見えない貧弱ボディで不審がられることもあるんだよな。

 あんまり侮れるのは好きじゃないのだけれど………… 

 

 

 しかし、マダム・ロータスは俺の外見を見ても、侮るような様子も見せず、



「なるほどね、噂に偽りなしか。前代未聞の成果を上げ続ける逸材と言われるだけはあるね」



 得心が言ったような口ぶり。

 少なくとも、街で流れる俺の噂に相応しい実力があると認めてくれた模様。



 ええ?

 意外な高評価。

 俺の見た目のどこにそんな評価するポイントが隠れているのだろう?



「なんじゃい? どこをどう見たらそんな感想がでるんじゃ?」



 マダム・ロータスが下した評価に俺自身が疑問を抱いている所へ、鉄杭団団長ブルハーンの野太い声が差し込まれる。



「うちのガイを叩きのめす強者と聞いていたが、あまりに貧弱過ぎやせんか? 多少、武術は嗜んでいるようじゃが、そんな細腕では機械種の装甲は貫けんぞ。お主、本当にヒロなのか?」


「はあ…………、まあ…………、ヒロは俺ですが………」



 完全に顎を上げて見上げるしかない相手。

 2m近い長身にはち切れそうな筋肉。

 初老とはいえど、恐ろしいまでに鍛え上げられた肉体。

 そんな団長からすれば、俺の身体は赤子みたいなモノであろう。



「フンッ、煮え切らん返事じゃのう。こんな奴が未踏破区域の紅姫を倒したなんて噂、到底信じられんぞい」



 覇気のない俺の返事に、機嫌を悪くした団長が眉を顰める。


 筋肉至上主義の団長にとってみれば、俺の身体は狩人にあるまじき貧弱さであろう。



「それとも、従属機械種に頼り切っての討伐か。ストロングタイプをあれだけ連れていたら、紅姫も狩れるということか」



 ズイッと俺に近づいて、詰問するような口調となる団長。

 

 厳めしい顔、盛り上がった筋肉、鈍く光る鋼鉄の皮膚。

 俺の3倍以上の体積の人間に迫られているのだ。

 並の人間なら完全にブルってその場で土下座してしまいそうな迫力。



「おい、止めろ、ブルハーン。うちのエースに絡むんじゃねえ!」



 団長の言いがかりに近い物言いにガミンさんが割って入る。



「折角来てくれた援軍に何イチャモンつけてんだよ!」


「別に絡んではおらん。ただ不思議に思ったから尋ねただけじゃ」



 全く悪びれることなく言い返すブルハーン団長。 



 本当にこの団長はまっすぐだな。

 相手の立場を考えず、聞きたいことは遠慮なく聞くし、言いたいことは歯に衣着せずに物を言う。

 

 俺が未来視で多少なりとも団長のことを知っていなかったら、少し反感を抱いていたかもしれない…………



 あれ?

 でも、未来視での鉄杭団ルートって、ほんの触りぐらいしか見て無かったような…………



 自分の記憶の齟齬に首を傾げる最中も、ガミンさんと団長の言い争いは未だ続いており、



「だあああ!! お前は過保護すぎるんじゃ! 何でいちいち口を出す?」


「自分の面を鏡で見ろ! 何をしゃべっても脅かしているようにしか聞こえないんだよ!」


「フンッ! これぐらいで怯えるようなら、こんなダンジョンの奥深くに潜らなければよかろうに」


「何を! ヒロがここに来なきゃ、皆がここに辿りつけなかったかもしれないんだぞ! 何せ、この混成パーティを率いてきたのはヒロなんだからな!」


「なんでそうなる?」


「ヒロ以外にコイツ等をまとめられる奴なんていねえよ。何せ、新人狩人トップの座を独走状態のエースだぞ! なあ、ヒロ?」


「いいえ、違います!」



 ガミンさんの確認に首を振って大否定。

 

 ガミンさんの顔を潰すようだが、これだけは認めるわけにいかないのだ!



 足元でチョコンと据わる白兎をヒョイッと担ぎ上げて、2人の前に差し出し、



「俺達のパーティを率いてきたのは、この白兎です!」


 フルフル ペコリ

『リーダーの白兎です。よろしくお願いします』



 胸の前に担ぎ上げられた白兎は、耳をフリフリ、ペコリと頭を下げた。


 もちろん、『リーダー的存在』と書かれた鉢巻を巻いたままで。



「……………………」

「……………………」



 ポカンと口を開けたまま、固まってしまったガミンさんと団長。

 流石の2人も機械種ラビットがリーダーだと突きつけられ、意味不明の事態に二の句が継げず、絶句する中、



「ガミンさん。ヒロの言う通り、ハクト君が僕達のリーダーですよ」

「うむ……、それは俺達が保証しよう」



 アルスとハザンが白兎がリーダーである事実を補強。


 益々、両名の顔が困惑に歪み、目が白黒。

 突きつけられた在り得ない情報に、脳が処理しきれずに混乱状態。

 

 おそらく超ベテランと言っても良い2人の長い経験の中で、機械種ラビットをリーダーに据えるような状況など聞いたことも無かったに違いない(当たり前だ)。



 そんな最中、

 妙な雰囲気となった空気を吹き飛ばすようなカラッとした笑い声が響いた。




「アハハハハハハハハハハハッ!!」




 その笑い声の主はマダム・ロータス。

 腹の底から面白そうに声を上げても大笑い。




「ハハハハハッハハハハハハハ……………、面白いじゃないか! 機械種ラビットがリーダーとはね。やっぱり、前代未聞の成果を上げる狩人なら、常人には理解できない行動を取るもんだね」


「マダム・ロータス。何が面白いんじゃい? それにコイツが妙な行動を取るのと、成果を上げるのに何の関係がある?」



 俺やマダム・ロータスに揶揄われたような気分であったのだろう。

 団長はジロッと俺を一瞥、その後にマダム・ロータスに向き直って、強い口調で問いかけた。



「んん~? 頭が固いね、ブルハーン」



 だが、そんな団長の様子にも、マダム・ロータスは欠片も動じない。

 むしろ面白そうにニヤニヤと笑いながら返事を返す。



「何でもね、前代未聞の成果を打ち建てるような人間は、私達常人には理解できないモノなんだよ。それを私は赤の死線………あの地獄で嫌という程見てきた」



 両目に輝く緑の光を瞬かせながら、少し遠い目を見せるマダム・ロータス。



「四方八方から撃たれる粒子加速砲を難なく躱す少女、本より重い物を持ったことがないような学者先生が拳一つで超重量級を殴り倒す、空を覆うような飛行種をたった一本の弓矢で全機撃ち落とす弓兵。赤の死線はそんな化け物ばっかりさ。全盛期のアタシだって、アイツ等の中に混ざれば下から数えた方が早いくらい」



 マダム・ロータスの外見は20代後半だが、その中身は70歳を超える老婆であるらしい。

 ということは、今語られた内容は、おそらく何十年も前の話。


 だが、赤の死線の情報なんて、伝聞ですらなかなか伝わってこない。

 たとえ、今聞いた化け物連中が1人も生き残っていなかったとしても、黄金より貴重な話であるのは間違いない。



「…………戦場から離れたら、割と普通に振る舞っている奴が多かったね。素手で竜種を解体するような女が、ホームに戻れば掃除・洗濯に勤しんでいるのも珍しい事じゃなかった。もちろん、普段から頭のおかしい奴もいたけどね」


「何が言いたいんだ、マダム・ロータス。赤の死線の話を聞かされるのは久しぶりだが、今はそんな話をしておらん」


「まだ分からないの……………、その子がアタシが言った化け物と同じ存在だったらどうするのさ?」


「??? コイツが?」


 

 ギロっと強めの視線を向けてくる団長。


 とにかく、アハハッと、愛想笑いぐらいで返すしかできない。


 

 あ、ムッとした。

 そりゃあそうか。

 


「むっ…………、とてもそうは見えんがの」


「本当に鈍ったわね、ブルハーン。このヒロはアンタのこと全然怖がってないくらい分からないのかい?」


「それは………、そうかもしれんが………」


「ちなみに、この子が従属しているストロングタイプ。アンタが威圧してきても、全く動く様子を見せなかった。つまり、彼等は鉄杭団団長であるブルハーンがいきなり自分達のマスターに襲いかかったとしても、軽く返り討ちにできると信じているんだよ」


「!!! …………むう」

 


 流石にここまで事実を突きつけられると、ブルハーンは俺を見る目の色を変える。


 じっと俺の方を見つめ、やがて、ボソッと一つの問いを投げかける。



「…………………お主、強いのか?」


「はい。団長よりもずっと強いですよ」



 全く悩む素振りを見せずに、ともすれば挑発とも捕らえかねない答えを返した俺。



 槍一本、パーカーにTシャツを来た15歳程度の少年。

 全く鍛えられた様子も無い身体。

 しかし、なぜか武人の気配を漂わせており、何気ない体勢からも一切の隙が感じられない。


 即ち、よく分からない少年。

 だが、そのよく分からない少年は、自分を全く恐れる様子を見せず、なお且つ、逆に揶揄い交じりの冗談を口にして、さらに挑発も加えてくる。


 ここまでくれば、目の前の少年が普通でないことぐらい分かろうというもの……………




「……………………なるほど、儂を前にして、そう答えるか。確かにタダ者では無いわな」



 そう言うと、ニヤっと獰猛な熊が笑ったような笑みを見せる団長。



「お主の力、ぜひこの目で見たいものだ」


「機会があれば、お見せしましょう。ただし、お代は高くつくかもしれませんが」


「ハハハハッ、言うのう」



 こうして、鉄杭団団長ブルハーンとの現実での邂逅を終えた……………と思いきや、




 その後、こちらへと戻ってきたガイが、孫であるパルミルを救ってくれたことを話すと、その態度を一変させ、



「お主、儂の孫を助けてくれたの恩人であったのか!! すまん!!! 儂は何という失礼な態度を……………」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと顔を上げてください!!」



 土下座して平謝りする団長。

 慌てて立ち上がらせようとする俺。



 最終的には、地上に戻り次第、ガイとパルミルちゃんを助けた報酬を頂くこととなった。











「さて、皆、色々あったが………………、これからのことを話すぞ」



 先行隊も含め、皆が集まる中、ガミンさんが前に出て話を始める。



「まずは情報の共有だ。なぜ、俺達がこの場に留まり、お前達を待っていたか何だが……………」



 そこで言葉を切り、視線を闘技場の奥へと向けながら、俺達が倒さないといけない敵の名を告げる。



「敵の名は『強者へと挑む闇剣士』。中央でその名を轟かせた賞金首だ。ソイツが今回の救出対象を拉致監禁しているらしい。つまり人質だな………」



 誰かがヒュッと息を飲む声が聞こえた。

 また、誰かがゴクリとつばを飲み込む音も響く。


 それだけのネームバリューがある敵なのだ。

 そもそも辺境にいること自体がおかしい相手。

 


 幾人かが動揺するも、ガミンさんは構わず話を続け、



「ソイツが突きつけた人質の解放条件は、闇剣士とその従機4機、そして、人間5人とのチーム戦に俺達が勝利することだ」







『こぼれ話』

赤の死線は人類と赤の帝国との最前線になります。

ポコポコと造られる『砦』や『城』をぶっ壊して、赤の帝国の勢力圏を押し留めようと、人類側の資産が湯水のように注ぎ込まれている戦場です。

それだけに集められた狩人や猟兵は最高ランク。

ここに到達し、数年でも活躍できれば、一国を購入できる程のマテリアルと中央全土に響き渡る名誉が得られると言われています。

ちなみにマダム・ロータスは得られた報酬で一から秤屋を立ち上げ、大陸中に支店を立てることに成功しています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る