第532話 城



 半径約500mの円状に広がる箱庭。

 泉が湧き、草花が生い茂り、木々が立ち並ぶ人工的に造られた庭園。

 川が流れ、澄んだ水を湛えた池があり、風光明媚な自然が満ち満ちている。

 また、中央にはヨーロッパ風のお城が建ち、まるでファンタジー世界の一部を切り取ったような光景。


 現実感が無さすぎて、まるで良く出来た模型のようにも見えてしまう。

 もちろん大きさから考えて、模型では在り得ないのだが。


 間違いなく発掘品と呼ばれるモノであろう。

 こんな巨大な建造物は元の世界でも製造できはしない。


 上物だけならともかく、外観から見るに未知の技術が使われているのは明らかだ。

 

 高さ50m程の土台の部分。

 そこだけがメカニカルな仕様であり、おそらく何かしらの浮遊装置が組み込まれていると思われる。


 


 そう。

 この庭園は浮かぶのだ。

 今も地面から30m程浮いた状態。


 俺達の前に突然現れた宝箱の中身は『空中庭園』。

 白色文明時代に造られた大地から切り離された箱庭。

 おそらくは王侯貴族が持つ権力の象徴として造られたモノ。



「ラピ○タは本当にあったんだ……………」



 輝煉に跨り、地上に降り立った空中庭園へ移動。

 偽りの大地へと足を降ろし、辺りを見回して呟く一言。



 パタパタ

『ラピュ○にしてはちょっと小さくない?』



 俺の足元で白兎が耳をパタパタ。



「あっちは軍事施設も兼ねていたからな。でも、こっちは多分、純粋に人間が住む所なんだろ」



 どこかで聞いたことがあるが、ラ○ュタの大きさは半径900mぐらいだったはず。

 大きさ的にはその半分強と言った所か。



「十分に広いと思うけどな………、良い景色だし」



 見た所、一面のどかに広がる避暑地といった有様。

 防衛設備や砲台1つ見当たらない。


 ラピ○タは正しく空飛ぶお城と言うべき形状。

 外縁部にまで城壁が並んでいた空中要塞。


 だがこちらは緑溢れる公園をそのまま円状に切り取ったかのような形。

 建造物と呼べるのは中央にあるお城ぐらい。


 そのお城に至っても、城壁も含めた広さは半径100m前後。

 城のスペースよりも周りの庭園の方がずっと広い。

 あまり守りに適した地形では無さそうだ。



 おそらくは全くの非武装。

 あくまで空を飛ぶ住居兼広大な庭園が広がる大地以外の何物でもない。

 まだ完全に調べ切ったわけではないが、空中庭園を一目見た胡狛がそう推測したのだから、その可能性が高い。



「まあ、それでも大満足。まさか一介のサラリーマンだった俺がお城住まいになれるとは…………」


 

 中央に建つ尾城は見るからに王族や貴族が住んでいそうな立派なモノ。

 しかも下界の煩わしさが届かぬ空を行く天空城。

 ゲームで言えば終盤で手に入る超レアアイテム。

 若しくはゲーム終了後に入手可能な隠しコンテンツの景品。


 流石は守護者が落とした宝箱の中身と言える。

 最強と名高い機械種テュポーンのドロップ品に相応しい。



「ははははははっ! 勝った! 勝ち組決定!」



 もう宿無しでも風来坊でも無い。

 賃貸のガレージ住まいでも無い。

 マイホームを手に入れた俺は、まさに一国一城の主となったのだ!

 


「ふふふふっ、この城に女の子を一杯集めてハーレム城にすることだって……………」



 何十人の女の子を侍らして、誰にも干渉されずに面白おかしく暮らせる。


 その愛の巣とも言うべき本拠地が手に入った。


 美女や美少女をたくさん呼び寄せて、この城に引き籠って遊び倒す!

 

 ずっと酒池肉林とばかりな爛れた毎日を過ごすことだって可能!



 ああ、誰を呼ぼうか。 

 誰を連れてこようか。 


 まずはエンジュだろ。

 そして、ミランカさんとか、ニケとか…………

 もし、良いというならユティアさんだって………


 それから、行き止まりの街にもいずれ寄って、

 大人になったテルネとか、ピアンテとか、

 多分綺麗になっているだろうなあ。

 あとはナルはどうかな? 俺の初キッスの相手だし………



 天空城が手に入った俺のテンションは最高潮。

 煩悩が暴走してもう誰にも止められない。

 普段なら下らない妄想と切って捨てるようなモノも後から後からドンドンと湧いてくる。

 

 

 まだまだこの世界には美少女、美女が溢れているはず………

 このお城で世界を巡って女の子達を集めるのだ!


 そして…………


  

 パタパタ

『そして、集められた女の子達は、やがてマスターを巡って小競り合いを始めるのです。小言、悪口、告げ口、嫌味等が飛び交い、ギスギスとした雰囲気の中、嫉妬や憎しみが生まれて…………』


「ヒエッ!!! 止めろ! 想像してしまうだろ!」



 盛り上がった妄想は白兎の差し水によってあっという間に鎮静化。



「……………………」



 ジロリと睨みつけると、白兎は素知らぬ顔で地面の草を鼻先で掘り返している。


 

 いや、わかっちゃいるんだけどね。



「ふう……………」



 頭を冷やす為、大きく深呼吸。



「アホか、俺は……………」



 漏れ出てきたのは自嘲の言葉。



 冷静になれば、全く馬鹿な話としか思えない。

 そもそもエンジュはハーレム否定派だし、そもそもミランカさんもミレニケさんも俺のことを好いていたわけじゃない。


 それはユティアさんも同様。

 仲間としての情愛はあるだろうが、男女のソレとは明らかに違う。


 

「………………テルネもピアンテも、ナルだって、きっと良い人を見つけているさ」



 俺が選ばなかったんだ。

 当然、次の相手を探すだろう。

 3人とも魅力的な女の子だ。

 多分、相手には困らない。



「それに、ハーレムは諦めたはずだろうに…………」



 学者相手に誓った約束。

 強制されたモノだったが、俺にとって口にした約束は絶対。

 相手がレッドオーダーであっても、破ることはできない。


 となると、使い方も随分と限られてしまう。



「精々、女の子とのデートの時に使うぐらいかなあ………」



 風光明媚な観光スポットだ。

 女性に喜んでもらえそうなシチュエーションを提供できるだろう。


 まさか白色文明時代の人間達も、自分達の英知で作り上げた天空城が女の子の気を引く為に使われるとは思うまい。



「俺の財力をさりげなくアピールするには最適だな」

 

 

 『クルーザー』や『別荘』なんか目じゃないぞ!

 この世界でもお城を持っている人間なんてなかなかいない。



「ナンパで『ヘイ! 彼女、俺の空飛ぶお城でお茶しない?』ってな感じで……………」



 口に出してみると、なかなかイケてるフレーズではなかろうか?

 少なくとも『俺のベンツでドライブしよう!』よりも女の子へ効果的に響くだろう…………

 

 まあ、ナンパなんてしたことないけど。



「ふむ! これは使えるかもしれないな」


 フリフリ

『そうかなあ?』



 俺の思いつきに白兎は疑問を呈す。

 

 分かってるわい!

 冗談に決まっているだろ!

 でも、こういう妄想って、考えるだけで楽しいんだよ!


 









 


「まあまあかな。我が君の居城とすれば、少し手狭だけれど………」



 ベリアルが庭園の中央に立つ城を見て、上から目線の感想を口にする。



「やはり防衛設備が無いことが気になりますね。城壁も無く、弾幕を張る銃座も無いとすると、城の守りが脆弱です。こちらにお住まいになるのでしたら、胡狛殿に防衛設備を設置してもらうべきでしょう」



 ヨシツネは軍事的視点から物を言う。



「バ○ス! バル○! ○ルス!」



 天琉は辺りを走り回りながら、崩壊の呪文を叫びまくる。



「おい、天琉! せっかく手に入れた空中庭園を崩壊させようとするな!」



 本当に崩壊したらどうするんだ?

 全く、縁起でもない…………




 この空中庭園に来たのは俺と白兎、ヨシツネ、ベリアル、天琉、輝煉の5機。


 念の為にこの空中庭園の周りに隠蔽陣を展開し、さらに豪魔達を見張りにおいて、ここまで上がってきたのだ。


 俺と5機でざっとこの地の索敵を行った。

 およそ敵がいないことを調べ上げ、安全であることが確認できた。


 あとは細かい仕様を専門家に見てもらうだけ。


 その為に輝煉を一度地上に戻らせた。

 我がチームのこの筋の専門家、秘彗と胡狛を連れて来て貰う為に。


 

「マスター!」

「大丈夫ですか!」



 早速、輝煉に乗った秘彗と胡狛が到着。

 

 輝煉がフワリと俺達の前に降り立つと、我がチーム女性型の2機がピョンっとその背から飛び降りた。


 作業服に身を包んだ胡狛は身軽な感じで颯爽とした身のこなしを見せる。

 

 一方、秘彗はお洒落な模様が入ったローブ姿。

 めくれないように太腿を辺りを抑えながら飛び降りる姿が可愛らしい。



「すみません」

「遅くなりました」


「いやいや、良いってことだ。それより、早速だがこの『空中庭園』について調べてもらいたい」



 秘彗は物品鑑定のスキルを持ち、胡狛も発掘品について造詣が深い。

 

 宝箱から出てきたのだから、お宝には間違いないのだろうが、それでもこの空中庭園は史上誰も見たことが無い全くの未知なる造形物。


 どのような危険があるのか分からないし、使い方も不明。

 

 ほぼ持ち帰ることは確定しているのだが、七宝袋に入れる前に簡単な仕様だけは確認しておきたい。



「と言っても、白露達を待たせているからあんまり長居もできない。すまんが1時間くらいで頼む」


「はい!」

「承知致しました」

 


 秘彗と胡狛からピシッとした返礼。

 風光明媚な庭園に少女の溌剌とした声が響く。


「うむ、頼んだぞ」


「では、調査開始します」

「失礼します」

 


 ペコリと一礼してから、2機並んで城の方へと駆けていく。



 うむ…………良いな。

 美少女がダブルで麗しさも2倍だ。

 


 その可憐な後姿を見ながら、つい、そんな感想が漏れ出てしまう。



「じゃあ、俺達も軽く城の中を見て回ろうか」


 パタパタ

「ハッ!」

「しょうがないね、お供してあげるよ」

「あい! お城の中で『バル○』する!」


「だから、止めろと言っているだろうが!」



 グワシッ!!


「あいあいあいあいあい………」



 天琉の頭を上から鷲掴みにして締め上げてやった。


 


 


 





 1時間後、調査を終えた秘彗と胡狛が俺の元へと参上。

 城の中で一番広いロビーにて、皆と一緒にその報告を聞くことにする。



「やはり白色文明の発掘品『空中庭園』で間違いないようです。半径520mの円内に疑似的な大地を作り上げた一種の箱庭ですね」



 胡狛が手元の携帯電子盤で確認しながら、俺へとこの空中庭園の性能について説明してくれる。



「この大地の地下に動力源であるコア、及びマテリアル重力器が埋まっており、上空およそ20kmまで上昇することができます。地表と並行して動く場合は時速60kmぐらいのスピードですね」


「それは遅いな……………、まあ、居住用と考えればそんなモノか」


「はい。この空中庭園は戦闘用でも移動用でもありません。身分の高い人間が住むことを前提とした威厳を保つための城というべきモノ………になります。ですから武装も一切ありません。しかし、備えられたコアの出力はかなりのモノです。きちんと防衛設備を追加で設置すれば問題無いと思われます」


「う~ん…………、確かに防衛設備が無いのは不安だな。それは胡狛で設置可能なのか?」


「はい! もちろん。お任せいただければ万全の防衛体制を構築してみせます! ただそれには些か必要なモノがありますが…………」



 胡狛と言えど、無から罠や迎撃兵器を生み出せるわけではない。

 必要なのはマテリアルと、材料となる部材…………



「今回手に入った暴竜の残骸がある。それを使用して仕上げてほしい」


「!!! ………はい! お任せください!」



 目をキラキラ光らせて喜色満面の胡狛。

 未知なる守護者の残骸を使用できると聞いて、技術者魂に火が点いたようだ。




「空中庭園の設備についてご報告いたします!」



 次はやや表情を固くした秘彗が報告。

 緊張しているのか、声が少し上ずっているような感じ。



「庭園の設備は全て地下のコアの動力を使って稼働しております。庭園の泉も木々もマテリアル生成器によって新鮮な水が供給されており、マテリアルが補給される限り枯れることはありません!」



 胡狛の報告が女学生が文化祭で行う発表であれば、秘彗は授業参観で当てられた女生徒みたい。

 久しぶりの知識面での任務とあり、少々気張り過ぎている様子。



「また、城内には空調、寝室、トイレ、浴室等設備も複数完備しており、食料品関係を除けば、日常生活を営む基本的な設備が揃っています」


「うむ……………、俺達も見て回ったが、だいたいそろっていたな。しかし、やけに殺風景な部屋だったなあ…………、このロビーもそうだし…………」



 周りを見渡せば、100人以上を一度に集めることができそうな広さ。

 だが、本来来客を一番に向かえるはずのロビーは剥き出しのコンクリートが一面。

 絨毯も無ければ、壁紙すら張っていない仕様。

 明らかに完成前の物件にしか見えない。


 また、胡狛や秘彗が調べてくれている間、城の中を見物していたが、直接生活するに関係が薄い調度品の類が全くなかったのだ。


 部屋を飾る置物や時計、花瓶どころか、テーブル、椅子に至るまで何一つ。

 寝室はあるもののベッドはなく、遊戯室の中にも遊具が全く存在しない。


 いくらなんでも質素過ぎる。

 ひょっとして外側だけなのであろうか?

 中身はこちらで用意しろと言うことか?



「随分と片手落ちだなあ……………」



 豪華なお城だけれど、中身はスッカラカンって、肩透かしにも程がある。



「まあ、それ等は後で用意すれば良いか…………、また出費が増えそう」



 あのお城は5階建てらしく、部屋は大小合わせて40以上。

 その全てに外観に相応しい調度品を揃えるとしたらいくらぐらいマテリアルがかかるのであろうか………


 おまけに外の庭園もこれといった設備が見当たらない。

 あれだけ広いエリアなのだから、もう少し設備や建造物が欲しい所。


 例えば、空の脅威に対する見張り台や、飛空艇を泊める為の着陸場。

 車を走らせるための道路や、夜になった時の為の街燈。


 ここにずっと住むとなれば、必要なモノはまだまだ出てくるだろう。

 というか、足りないものが多過ぎるのだ。

 

 一から自分の手で作ることができるというコンセプトなのかもしれないが。


 


「シムシ○ィとかマインクラフ○みたいなモノか。これはいくらマテリアルがあっても足りないな………」


「主様、この城にお住いになるつもりですか?」



 予想される出費に悩む俺へとヨシツネからの質問が飛ぶ。



「んん? ああ、そうだな。すぐは無理だろうが、せっかく手に入った天空の城だぞ。住めるもんなら住みたいに決まってるだろ」



 お城住まいなんて夢のまた夢みたいな話だ。

 それが現実となるなら選ばない手は無い。


 今は街に住んでいるから無理だろうが、中央への旅の途中ぐらいはずっと空中庭園に乗って進むつもり。

 潜水艇のリビングルームも悪くないが、部屋が広いに越したことは無い。

 この空中庭園なら、ずっと七宝袋に入れっぱなしとなっている豪魔や輝煉を出したままでいられるし。



「……………恐れながら、それは難しいかと。その空中庭園で空を移動するとなりますとスカイフローターからの襲撃が避けられません」


「あ……………、それがあったか」



 ヨシツネの進言に思わず絶句。


 普段あまり意識することは無いが、この世界で空を飛ぼうとすると、必ずスカイフローターへの対策が必要となる。

 スカイフローターの長である天空の暴竜を倒したからといって、アイツ等が絶滅するわけではあるまい。

 たとえ何千機が襲ってきても、俺達のメンバーであれば撃退できるのであろうが、周りでドンパチやられて、俺だけ城の中で日常生活を送れるわけがない。


 また、今のように地上数十mを浮かびながら移動するなら、襲撃されることは少ないだろうが、それだと通りかかった通行人に見つかる可能性が高い………というか、絶対に見つかる。

 現在は隠蔽陣によって隠してはいるが、こんな目立つ城が地上スレスレを動いていたら、間違いなく地域中の噂になるだろう。



「あと…………、稼働コストの問題もあります。この空中庭園を浮かせようとしますと1日最低60万Mのマテリアルが必要となります」



 おずおずと秘彗が判明した情報を提示。

 


「今は満タン状態なので、1ヶ月は無補給でも大丈夫でしょうが………」


「ろ、60万M…………」



 開いた口が塞がらない。


 日本円にして6,000万円。

 月にすれば18億円。


 この規模の飛行体を稼働させているのだから、それぐらいのマテリアル消費は当然であろうが……………


 機械種への補給ができる杏黄戊己旗も、乗り物や設備へのマテリアル補給は管轄外だ。


 おそらくは機械種をこの世界の生き物として捉えているから故の燃料補給。

 とても生き物とは言えない車や戦車、飛空艇や空中庭園への補給は無理筋だろう。



「くううううう!!! お城住まいが遠い!」



 払えない額ではないが、毎月赭娼を狩らないと手に入らない額だ。

 それをただ住居の維持コストに使うのはあまりにも勿体ない。


 元々この空中庭園は王侯貴族の持ち物であったのだろう。

 何万の人口を持つ国や領土を持っていれば、集められるマテリアルは膨大な量になるだろうから、これぐらいの消費は大したものではないのであろう。


 しかし、個人でとなると、その額は超一流の狩人を以ってしても相当なモノ。

 しかも、住居でしかないのだから、マテリアルを稼ぐのに役に立たないのだ。


 

「日常的に使うのは無理か……………」



 どう考えても、今の段階でこの空中庭園をずっと利用することはできない。

 

 まず、飛行中に襲ってくるであろうスカイフローターへの対処。


 そして、大量に消費するマテリアル。


 この2つを解決しないと、まともな運用は不可能。



「仕方がない。今は諦めよう………」



 折角、空飛ぶお城を手にれたと思ったなあ。

 遥か下界を見下ろしながら、ワイン片手に『フッ、愚民どもが』とか、『人がゴミのようだ』とかやりたかった…………



「地面スレスレを浮遊させておくだけなら、隠蔽陣で誤魔化せるが………」



 空に上がらず、移動もしないなら、隠蔽陣を敷けば誰にも発見されることは無い。

 当面は街の外で偶に出して使うことにしよう。

 調度品を運び込む予定だし、胡狛に防衛設備を設置してもらわないといけないから。



「この『空中庭園』を運用できるようにすることも、俺の目標の中に入れておくとにするか」



 空の守護者を倒して手に入れた『空中庭園』。

 それはきっと俺の夢に近づく為の必要なステップの1つであろう。

 

 正直、今回の攻略ではかなりの赤字を覚悟していたが、この『空中庭園』だけでも十分に苦労に見合った価値のあるモノを得たと言えよう。

 

 これで収支は確実に黒。

 大成功だと胸を張って宣言できる。



「さて、あとは白露達と合流するだけだな。それを以って今回の旅も終わり………、終わってしまえば何と呆気ない」



 窓から見える空を見ながら、少しばかり感傷に浸った。


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