第408話 割り屋3


 ガレージに戻り、バッツ君を受け入れる準備を整える。


 ヨシツネと豪魔には隠蔽陣の中に入ってもらい、ベリアルは七宝袋の中。

 森羅を外への見張りに立たせ、白兎、天琉、廻斗、秘彗、浮楽の5機を中で整列させておく。


 ガレージの一番奥には、バッツ君に1段低い蒼石でブルーオーダーしてもらう予定のストロングタイプを設置。

 

「あとは、バッツ君が来るのを待つだけ…………来るかなあ………」


「あれだけに伝言を頼めば、届いているはずです。もし、来ないとすれば彼の意思、若しくは、あの少女に止められたか……でしょうか」


 俺が不安を口にすると、秘彗が推測を述べてくる。


「その時は仕方が無い。別の割り屋を探すことにするさ」


 流石にそこまでは拘りを通すつもりはない。

 彼のことはすっぱりと諦めることにしよう。

  

「さて、バッツ君は来るのか来ないのか? 彼との縁はこれまでなのか、そうでないのか………」






 

 ちょうどお昼の12時過ぎ。

 約束の時間が経過し、新しい割り屋を探さないといけないかな、と思い始めた頃……


「マスター、バッツ殿が来られました」


「そうか………、ふう………」


 外で見張りをしていた森羅から報告に 思わず安堵のため息が漏れる。


「これで新しい割り屋を探すなんて、手間をかけなくて済む」


 人付き合いが苦手な俺にとっては、新しい交友関係を増やすことは負担でしかない。

 関係する人を増やせば増やすほど、厄介ごとに巻き込まれる可能性が増えるのだ。

 人脈とかコネとかは、メリットもあるがデメリットもそれなりに存在する。

 ある程度チート能力で何とかできる俺にとっては、そこまで重要なモノではない。




 ガチャ 




 シャッターの横にある通用口の扉が開き、森羅が入ってくる。

 そして、その後ろにはバッツ君の姿も………


「すまないね、バッツ君。不躾に呼び出してしまって………え!!」


 3週間ぶりに会う彼の姿は以前とあまり変わらない。


 擦り切れた古着。

 ボサボサの頭髪。

 やせっぽちの10歳くらいの少年。


 ただし、顔が大きく異なっている。

 

 以前、その顔は殴られたような跡が幾つか残っていたが、今のバッツ君の顔はさらに酷くなり青痣だらけ。

 目の上は腫れあがり、包帯のようなモノを巻いているも、薄っすら血が滲んでいるような状態。

 両頬は青黒く染まり、唇の端も切れて今も血が滴っているかのよう。


 どう見ても集団リンチを受けた後。

 気軽に外を出歩いても良いような姿ではない。



「だ、大丈夫か?」


「平気だよ! ちょっと転んだだけだから! 」


 俺の心配に、元気良く答えるバッツ君。

 だけど、転んだだけでそんな状態になるわけがない。


「無理するなよ。休んでいた方が良いんじゃないか?」


「大丈夫だって! こんなの良くあることだからさ。それより、依頼ありがとうね。俺、絶対に成功させてみせるから! 」


 右手をブンブン振って、精一杯大丈夫さをアピール。

 しかし、身体の動きは些かぎこちない。

 顔だけではなく、その体にも負傷があることは一目瞭然。


 いや、それよりも気になるのは………



「バッツ君、その………左手は?」


「!!!! …………何でもないよ」


 俺の指摘に動揺を隠せない。

 先ほどから左手を動かしていないのだ。

 

 バッツ君の右手は親指と小指以外は欠損している。

 だから動かすときは左手であることが多かったはず。

 

 それなのに、その左手を俺に見せないように隠している。

 これはつまり………



 ガシッ!


「イタッ!」



 バッツ君の左手を掴んでみると………



「…………これは酷い」



 掴んだ左手を見れば、その5本の指全てが折れ曲がっていた。






 

 


 

「大丈夫だから! こうやって……指を曲げれば蒼石を持てるから! 」


「おい! 無理やり曲げたらダメだろ!」


「へ、平気だって! こんなのへっちゃらだよ!」


 折れた指を力づくで曲げて、蒼石を持てると主張。


 だが、バッツ君の顔には痛みのあまり脂汗が浮き出ている。

 目が血走り、口の端に血を滲ませながらも必死だ。


「やっぱり、怪我が治ってからの方が……」


「大丈夫! だから仕事をさせてくれよ! お願いだから、追い返さないで! きちんとブルーオーダーするから! 絶対に成功させるから! 」


 バッツ君は俺にしがみ付きながら訴えてくる。

 しかし、その手の状態では蒼石を叩きつけるのも苦労するだろう。


 俺としても、早くブルーオーダーしたいと思っているし、できるだけバッツ君に任せたいと思っているのだが………




 この骨折したままの状態で、怪我を治す気功術を使えば、変な風に繋がってしまう可能性がある。

 その前に正しい位置に固定する必要があるが、俺にそんな知識なんてない。


 仙丹であれば、そんな必要は無く一瞬で治癒できるだろうが、バッツ君の欠損した右手の指まで再生してしまう。

 そうなれば、俺が再生剤を持っていると疑われるだろうし、いきなり指が再生したバッツ君にも危険が迫りかねない。

 

 しかし、このままでは依頼が遂行してもらえないし、このままの状態でバッツ君をいさせるわけにはいかない。

 もう情が湧いてしまっているのだ。

 流石にこの状況は看過できない。



 うーん………

 ここは一体どうすべきか………



 悩む俺。

 俺にしがみついているバッツ君を見下ろしながらリスクとリターン……


 いや、情と保身を天秤にかける。


 これは以前にもあった選択。

 行き止まりの街でのディックさんとのイベントの最後。

 彼の足を治すか否か、今の同じような葛藤を抱いたはず。

 結局結論を出せず、俺は彼の足を癒すことは無く、去っていくディックさんの背をただ見送ることしかできなかった………

 


 しかし、今回は……… 

 でも、リスクが………

 だけど、このままでは………

 ああ、一体どうすれば………



 立ち尽くす俺と、そんな俺を目に涙を貯めながら見上げてくるバッツ君。

 

 ただ、時間が止まったかのように動かない2人に近づいてきたのは………




 ピコピコ





「んん? 白兎………」


 俺の足元で白兎が耳をピコピコと振っている。

 

 ただ、左右に耳を動かしているだけなのに、俺の脳裏に届くのは白兎の力強い言葉……



『僕に任せて!』



 

 言うなり、白兎は俺にしがみ付くバッツ君に向き直り、下げたままの負傷した左手を自分の耳の先でツンツン。

 するとほんの僅かな光がピカッと輝いたような気がした。



「イタッ………………あ、あれ?」



 白兎にいきなりツンツンされたバッツ君の左手。

 

 びっくりして思わず胸の前に持ってきたソレは………



「………治ってる。痛くない」



 信じられない現象にボソッ呟くバッツ君。

 

 確かに5本の指全てがあらぬ方向を向いていたのに、胸の前に置かれた左手は元通りになっていた。

 さらには彼の顔の青痣や血が滲んでいた部分も消え去った。

 欠損した右手の指はそのままだが、この様子だと体中の怪我も治っていることだろう。

 

 

 これは間違いなく、白兎の起こした奇跡………


 


 ケアマネ2級の試験に合格することによって得られた、白魔法ケア○の力。



 

 ………いや、俺も自分が何を言っているのか分からないけれど。



 

 あれって、冗談じゃなかったのか………

 スキル名のことだけだと思っていたのに………

 コイツ、本当に魔法を覚えてやがった………

 しかも、覚えた経緯が無茶苦茶だ………

 なんでケアマネジャー2級の資格で白魔法を覚えるんだよ!




 あまりの白兎の理不尽な能力に、思わず本人に視線を向ける。



 その当人は後ろ脚で立ち上がり、エッヘンとばかりに胸を反らしていた。











「凄い!もしかして………このラビットは聖獣型なの?」


 興奮気味に質問してくるバッツ君。

 

 それも当然。

 耳で突かれただけで骨折や怪我が治ったんだから、質問したくもなるだろう。

 そして、怪我を治したと思われる白兎が聖獣型と思われるのも良く分かる。


 聖獣型は人間の怪我を癒す能力を持つ機種として有名なのだ。


 主な機種で言うと、機械種ユニコーン、機械種ヘケト、機械種カラドリウスなど。

 これ等は機体に備わるマテリアル生成器により、薬剤や回復剤、活性剤を作り出す。

 上位の機種だと再生剤すら生み出すことができるという。

 

 もちろん、先ほどの白兎の白魔法程の万能性はないが、そもそも聖獣型なんてこの辺境ではほとんど見られないから、バッツ君がそう誤解するのも無理はない。

 ここはその勘違いをそのままにしておくのがベスト。


「まあな。でも、内緒にしておいてくれよ。そこまで連発できる能力じゃないからな」


「もちろん分かっているよ。恩人の情報なんて絶対に漏らさないさ」



 その後、バッツ君の事情について聞くと、どうやら普段依頼を受けないような高位機種のブルーオーダーに挑み、失敗したことが原因ようだ。


 高位機種と言っても、せいぜい6級の蒼石。

 それでも1万M、日本円にして100万円を溶かしたんだから、五体満足でいられただけマシなのかもしれない。

 金に困っている下っ端の狩人チームなら、かなり痛い額だ。


「下手をしたら殺されているぞ。5,6級の蒼石の失敗は洒落にならない」


「うん………反省してる。姉ちゃんに大分泣かれちゃったし………」


 聞けば、その場でリンチをくらい、左手の指を一本ずつ折られたらしい。

 

 子供にそこまでするかと思うが、向こうも命をかけて稼いだマテリアルだ。

 無駄に消えてしまった額を考えれば、怒りのぶつけ所が必要だったのだろう。

 

 なら割り屋に頼むなと言いたくなるが、割り屋に頼んだからこそ、そのチームは崩壊せずに済むのだ。

 仲間内で済ませようとすれば、あっという間にお互いが責任を擦り付けての仲間割れを招く。 


 割り屋の犠牲があって、維持できる狩人チーム。

 歪だとは思うが、これが人類社会を支える仕組みの一部であるのは間違いない。

 

「そう言えば、孤児院を訪ねた時、その……お前のお姉さんに追い返されたぞ」


「あ~、………姉ちゃん、怒ってたから。ベッドに寝かされて、左手も添え木して包帯でグルグル巻きにされてさ。元々、俺が割り屋になるのは反対だったから………」


 なるほど。

 ひょっとしたら、俺のことをバッツ君をボコボコにした人間だと思われたのかもしれない。

 そりゃあ、あれだけの剣幕で追い返されるわけだ。

 

「でも、兄ちゃんからの依頼だって聞いて、じっと寝てられなくてさ。せっかくの大きな稼ぎ時だって言うのに………」


 で、その姉に黙って抜け出してきた………と。


「へへっ……、姉ちゃん、絶対に怒っているよなあ。でも、怪我が治ったからびっくりするかも」


「その姉に対する言い訳は考えてくれよ。せいぜい割り屋の報酬として薬を貰った程度にしてくれ」


 市販されている回復剤なら人間の治癒力を高めて、怪我や骨折の治るスピードを上げることができる。

 上位の物なら数時間で相応の怪我を粗方治してしまうのもあるから、バッツ君が帰る時間を遅らせてくれれば済む。


「分かってる。怪我を治してくれたんだから、今回は報酬を貰うつもりなんてないよ。それより、ブルーオーダーする機械種ってどこ? 兄ちゃんのことだから、また高位機種なんだろ?」


「………前の機種よりは下だよ。簡単簡単。気軽にやってくれたらいいさ」


「………うう、あんまり信用できない」


 失敬な。

 俺は一度も嘘はついていないぞ。


「ほれ、奥に置いてあるからな。頼むよ」


 そう言って、ガレージの奥を指さす。


 そこに鎮座するのはストロングタイプの機械種パラディン。


 厳つい飾りがついたフルフェイスの騎士兜。

 あちこちに棘が付いた禍々しい印象のプレートメイル。

 四肢を取り外された黒騎士は、まるで闇神殿に並べられた胸像のよう。



「…………嘘」



 俺の指差す先を見て、絶句するバッツ君。

 呆けた様に口を開けたまま、奥の黒騎士を凝視。



「ストロングタイプの………騎士系?」



 バッツ君の声に含まれるのは憧憬。


 野球少年が意中のプロ野球選手に出会った時のように。

 遥か遠い先の夢を欠片を見つけたかのように。

 

 しばらくの間、ただ硬直して目の先にある機械種パラディンを見つめたまま。


 

 人類の最高の盾と言われるストロングタイプ。

 その中でも騎士系は最も有名な機種とも言える。

 分かりやすい強さとカッコよさを備えた男の子の夢とも………



「ああ、その通り。機械種パラディンさ。そして………ほい、これが蒼石3級」


「わあっ! 急に渡さないでよ! 落としちゃうじゃん!」


「ごめんごめん」


「…………10万Mする蒼石をここまでぞんざいに扱う人は初めて見るよ。兄ちゃん、相当な大物だよね?」


「さてね。普通じゃないのは自覚しているが、大きい小さいの基準は色々あるからな」


 そう宣うも、自分の器の小ささは自覚している。

 俺が大きく見えるのは、俺に付随するモノがずば抜けて大きいだけ。

 俺自身はその辺に歩いている一般市民よりも矮小な人間なのだ。


「では、早速お願いするよ」


「うん………、ストロングタイプの騎士系をブルーオーダーできるなんて、割り屋として光栄だよ。絶対に成功してみせるさ」



 ギュッと蒼石を握りしめ、奥へと進むバッツ君。


 そして、俺もその後を追いかけるように足を進める。

 空間拡張機能付きバッグから機械種パラディンの晶冠を取り出しながら。 


 バッツ君は機械種パラディンの前で立ち止まり、俺はその裏に回って、騎士兜を模した頭部へと手をかける。

 晶冠を差し入れる準備を行う為。

 扱うのが晶冠だから、この作業は人間しかできないのだ。



 ブルーオーダーする為には起動状態では無くてならない。

 俺の手にある晶冠を差し込めば、すぐに起動するが、当然レッドオーダー状態のままで、ここは白鐘の恩寵内。

 赤の威令と白の恩寵の板挟みによる苦しさのあまり、すぐに暴れ回ろうとするだろう。


 四肢は取り外しているものの、危険なことには変わりはない。

 だからタイミングを合わせ、起動した瞬間に蒼石を叩きつけるのだ。




 機械種パラディンの前で、じっと手の中の蒼石に向けて集中しているバッツ君。

 そして、1分少々時間をかけた後、口を開く。


「準備完了。兄ちゃん、いつでもいいよ」


「よし………、秘彗! 万が一の時は重力操作で拘束してくれ」


「はい!」


「では、秒読みする! 5………、4………、3………、2………」



 バッツ君が構える。


 俺は晶冠を手に、頭部のカバーを開けた。


「1………、ゼロ!」



 カチャ



 晶冠を頭部へと差し込むと、黒騎士の機体がピクンと動く。

 

 機械種パラディンのフルフェイス兜の奥に赤い光が点灯し、点滅を繰り返している状態へと移行。



 そして………




 ピカッ




 一際赤い光が兜の隙間から漏れた時……




「今だ!」




 バッツ君が手にした蒼石3級を機械種パラディンの頭部へと叩きつけた。




 カシャーンッ!!




 青い光が弾け、ブルーオーダーの輝きが辺りに瞬く。


 赤の威令を浄化する蒼の光が一瞬の煌めきとなって周りを照らし………





 








 黒の機体はそのままだった。


 赤い光を放つ双眸は変わらず、ただ憎々し気に此方を睨みつけているかのよう。


 兜の奥からギシギシという金属が擦れるような音が響く。


 そして、四肢を外されていても、なお戦意を失わない黒騎士は、胴体部分だけを以って動き始める。




 ガタガタガタガタッ




「…………失敗か。秘彗!」


「はい! 束縛せよ! グラビティバインド!」


 

 

 ビシッ!!!




 秘彗から放たれた重力の縄が、暴れ回ろうとする機械種パラディンを容赦なく拘束。

 何十にも巻き付いた無形の力場は、数ミリさえの小動さえ許さない。

 完全な状態であれば、重力の縄も引き千切るだけの能力を秘めているだろうが、流石に胴体だけではそれも叶わない。


 


「ふう………」


 


 とはいえ、胴体だけでも人間を大きく上回るパワーなのは間違いない。

 子供であるバッツ君にでもぶつかったら大怪我だけじゃすまない。



「おい、バッツ君、大丈夫か?」


「…………………」


 バッツ君は目の前で暴れ出そうとした機械種パラディンに腰を抜かした様子。

 尻もちをついて状態で、こちらの方を向き直っており………

 

「んん?」


 

 その顔には何の表情も浮かんでいなかった。


 ただ、俺の顔を見つめているだけ。


 先ほどまでの威勢の良さもどこかへと消え失せ、感情の色さえなくなってしまったような感じ。


 あえて今のバッツ君の状態を表現するならば、全てを諦めてしまった人間の顔。

 

 多分、その心を占めているのは深い絶望なのだろう。


 先ほど失敗してしまった3級の蒼石の価格は、バッツ君がリンチされた6級の10倍以上。

 

 それを考えれば、そんな顔をするのも仕方が無いのかもしれないが………



「……………ドンマイ! バッツ君。ほい、これ予備ね」



 声をかけてからバッツ君に近づき、手を貸して立たせてやる。

 そして、予備の蒼石を渡して、もう一言付け加えた。



「まだまだ予備があるから、あんまり気にするな」



 これは嘘だ。

 俺の手元に予備はこの1個しか無く、これが最後の蒼石3級。

 俺自身、嘘をつくのは嫌いだが、これ以外にバッツ君の負担を減らすことは思いつかなかった。


 もし、次も失敗されたら、どうしようもないけど。

 その場合は、次の蒼石の入荷を待つしかないかなあ……



「ごめん…………次は絶対に成功するから!」



 俺から渡された蒼石を握り、秘彗によって拘束された機械種パラディンに向かい合う。


 拘束されているからといっても、稼働中のストロングタイプの威風は凄まじい。


 禍々しい赤の光を迸らせながら、目の前の子供へと憎悪の視線を叩きつけている。


 しかし、そんな凶悪なレッドオーダーの視線にも負けず、バッツ君は奥歯を噛みしめながら、蒼石へと意識を集中して…………





 カシャーン!!!





 2度目に瞬いた青い光。


 



 それは1度目と全く同じ輝きのはずなのに…………






「やった!」






 1度目とは異なり、機械種パラディンの晶脳に渦巻く赤の威令を浄化。


 黒い機体は一瞬にして、白に染まる。

 禍々しい突起物も消え失せ、シンプルな白い甲冑姿へと変化。

 正しく聖騎士の名を冠した機械種へと早変わり。


 ここに機械種パラディンのブルーオーダーは成功したのだ。




「ああ! ああ! ああああああああああああああ!!!」




 安堵のあまり、その場に膝を突き、大声で泣きはじめるバッツ君。




 パチパチパチパチパチ




 3割の悪魔を打ち倒した勇者への惜しみない拍手を送る。


 やがて俺のメンバー達も思い思いに両手を打ち鳴らして、称賛を表す。


 しばらくの間、ガレージ内に拍手の嵐が鳴り響くこととなった。


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