第323話 作戦


 俺が未来視で得た情報を元に、皆が頭を捻って作戦を組み立てていく。


 意外にも豪魔が積極案を。

 森羅はいつも通りの慎重案。

 ヨシツネは両者の良い所を選り合わせて、完成度を高める。


 白兎は途中で離席したかと思うと、すぐ戻ってきた。

 どこかで見たの事のあるような白い羽団扇を持って・・・

 

 そこからの白兎は伏龍とも称された軍師のごとく、パタパタと団扇を扇ぎながら、皆の意見に耳を傾けつつ、時には思いもよらないような献策をしてきた。



 ピコピコ


 ふむ、守る場所が多くなるならいっそ近づけてみてはどうか?・・・だと。

 前線を上げて互いの距離を近づければ、何かあっても対処しやすくなる?

 守る場所3つを1つに・・・か。

 確かに、それも一つの案だな。



 フルフル


 え・・・、これぞ『天兎 3を1の計』・・・

 お前、それが言いたかっただけじゃないのか?

 諸葛孔明をパクるな。



 パタパタ


 ん?本拠地に侵入するなら廻斗を連れて行けって?

 近距離内であれば人馬一体で自分と通信できるから便利だと?

 それは気づかなかったな。確かにそれは便利そうだ。



 ピョンピョン


 猿と俺を繋ぐ。これぞ『猿環の計』だって?

 いや、無理やり当て嵌めなくてもいいぞ。

 

 あ、いや・・・待てよ・・・

 廻斗も機械種だから建物に近づくと向こう感応士にバレる・・・



 フリフリ


 ええ?混天綾で包めば大丈夫?

 機械種の波動を混天綾の力で抑え込めるから・・・、何で白兎がそんなこと知っているんだ?まあ、その情報は助かるけど。

 混天綾で廻斗を包んで俺が背負えばいいんだな?



 トントン


 何々?包むときは両端を紐で縛る?

 そうすると無事に脱出できる・・・だと?


 それは織田信長の金ヶ崎の戦いでの小豆袋だろ!

 中途半端な知識で混ぜるな。


 全く・・・・・



「んん?どうした?森羅」



 白兎とそういったやり取りをしていると、森羅が呆然としてこちらを眺めているのに気づく。


「いえ、その・・・、ハクト殿がそこまで軍略に長けておられるとは思いませんでしたので・・・」


 自分のお株を取られる勢いで献策を連投してくる白兎に、度肝を抜かれた様子の森羅。

 軽量級機械種ラビットなのに、破格の戦闘力を備え、飛行、高機動戦もやってのける万能選手。

 探索に警戒、罠解除、白天砲による遠距離攻撃や炎をも自由自在に扱い、軍略まで備えているというのは森羅も想像の範囲外であったのだろう。


「まあ、白兎だからな」


 俺がいつものセリフを宣うと、耳をピコピコさせた白兎が再度自分をアピール。


 ・・・今の自分は『伏兎』で『神算鬼謀』だと?


 『伏竜』なら分かるが、『伏兎』って何なんだよ?兎が伏せているのは普通だろ。

 それにどちらかというと『神算鬼謀』と言うよりは『珍算奇謀』って感じだな。

 

 

 ピョンピョン


 

 なぜか俺がつけた『珍算奇謀』が気に入ったらしく、その場で飛び始める白兎。


 うーん、相変わらず行動が読めないヤツ・・・

 だからこそいつもの白兎だと言えるのだが・・・



「ふむ。もしかしたら、またスキルが増えたのかも・・・」


 気になったので、七宝袋からMスキャナーを引っ張り出して、白兎の両目に合わせてみる。


 そこに表示されたのは・・・



【機種名】宝天月迦獣 

【個体名】白仙兎(通称『白兎』)

【保有スキル】仙兎流舞蹴術(伝承者級)、癒し枠(ケアマネ2級勉強中)、器用万歳、交渉人(機械種限定)、指導(赤ペン先生級)、燃焼制御(カチカチ山級)、護衛(遊撃将軍級【そろそろ昇格したい!】)、軍師(伏兎級)、計略(珍算奇謀級)、盗兎(兎小僧級)、回避(「残像だ」級)、高速飛行(小白竜級)、小道具係(名人級)、警戒(中級)、追跡(下級)、車両整備(下級)、機械種整備(下級)




おおう・・・(手で顔を覆う)

もう、ツッコミ所しかない・・・

ユティアさんには絶対に見せられないな。


盗兎って、『ぬすっと』と読むのだろうか?

それにケアマネ2級勉強中っていつ勉強しているんだよ!

それからスキルの等級に自分の希望を入れるのは止めろ!









 その後も作戦の打ち合わせは続く。

 各メンバー達が頭を捻り作戦の完成度を上げていく。



「ここは囮でしょうな・・・」


 頭の上から豪魔の重低音が降ってくる。

 胡坐を組んで大仏様の様な恰好で座っているが、それでも5m以上の高さだ。


「囮と言うと、誰かが暴れてその隙に侵入するということか?」


 視線を上に向けて豪魔に問いかける。

 作戦としてはオーソドックスなモノなのだろうけど・・・


「いえ・・・、それでは捜索に支障が出ます。平常時と・・・、戦闘が始まりそうな時では、室内の動きも変わってきますので。囮を使うのは脱出する時にした方が良いかと」


「なるほど。外に警戒が向いていれば、内から脱出する者への目が少なくなるか。問題は誰が囮になるかだな・・・」


「それは我の役目ですな。この巨体ゆえ・・・大変目立ちます」


 うむ。確かに豪魔が囮役としてピッタリか。

 それに堅牢な防御力を誇る豪魔なら、たとえレジェンドタイプにだってある程度の時間を稼ぐことはできるはず。


 流石は豪魔。

 自分から危険な役目を買って出るなんて剛毅な奴だ。


「我が出ることで・・・相手の玉を引き出すことができるかもしれません。所謂『送りの手筋』という戦法・・・、まあ、タダで取られるつもりはありませんが」


「『玉』?『送りの手筋』?」


「以前、マスターに貸していただいた『将棋』に乗っていた言葉ですな」


 いや、そんな言葉、知らんて・・・

 俺もそんなに将棋に詳しくないし。

 でも俺が与えた書物なのに俺が知らないって、ちょっとカッコ悪いから、知ったかぶりしておこうか。


「そうか。確かに『送りの手筋』だな。俺の書物が役に立ってうれしいぞ。今度また、別の本を貸してやろう」


「ありがたき幸せ」


 座ったまま俺に向けて頭を下げる豪魔。

 


「マスター、豪魔殿が囮をされるのであれば、レッドオーダーに偽装するのはどうでしょう?」


 豪魔に負けじと案を出してくる森羅。

 身を乗り出して自身の提案について語ってくる。


「ブルーオーダー状態だと機械種使いが近くにいるとバレてしまいます。しかし、野生のレッドオーダーが偶然に現れたとすれば・・・」


「ふむ。それも一案だが、本拠地の辺りは多分、スポットだと思うぞ。わざわざ好んでレッドオーダーが近づいて来ると思うかなあ?」


「赤の威令が届かないスポットでも、絶対にレッドオーダーが近づかない訳ではありません。特に人間の人数が多くなれば、その分、現れやすくなると言われています」


「なるほど。一理ある。レッドオーダーなら襲撃の裏を疑われることはないか・・・」


 豪魔をレッドオーダーに偽装・・・

 俺の変化の術を使って外装だけでも変えておくか。

 機械種ジャイアント辺りなら相手も最初は油断するかもしれない。



「加えて・・・、豪魔殿の囮に引っ張り出された敵への狙撃を進言いたします」


 豪魔と森羅の案に補足するようにヨシツネが進言。


「一体でも敵の頭数を減らすため、ここは遠距離からの狙撃が一番でしょう。もちろん第一優先は敵の親玉である感応士、次にストロングタイプの魔術師系といったところでしょうか」


「敵のボスがそう簡単に表に出てくるか?」


 感応士と言えど、身体は一般人と変わらない。

 よほど鍛えていても機械種同士の戦闘に巻き込まれては無事では済まない。


「偽装していたとしても豪魔殿は超重量級。感応士であればぜひ戦力に加えたいと考えるでしょう。表に出てくる可能性はそれほど低いモノではありません」


 うーむ、そんなものか。

 確かにレジェンドタイプやストロングタイプに守られた感応士なら、油断して表に出てくるかもしれないが・・・


「出てこなければ、豪魔殿の援護をすれば良いのです。決して無駄ではありません」


 なるほど。奇貨居くべしということか。

 備えておいて損はないか。


「よし、採用。この調子でどんどん案を出してくれ」








 そんなこんなである程度作戦が出来上がったのは1時間程後のこと。


「うむ。不確定要素は多いが、今の段階でできるのはこれくらいか・・・」


 俺が混天綾で包まれた廻斗を背負って侵入。


 宝貝墨子を使って野賊の本拠地内を調べつつ、捕らわれているミレニケさん、そして、『有力者の縁者』を見つけ出す。

 

 救出対象を確保したら廻斗と使って連絡し、レッドオーダーに偽装した豪魔が囮として本拠地へ襲撃。

 

 本拠地への襲撃に混乱する状況を利用して人質を確保したまま脱出。


 その後は皆で総攻撃。場合によっては俺の仙術や宝貝乱れ打ちで本拠地ごと蹂躙。


 おおまかな作戦の流れは異常の通り。


 また、細かい所を補足していくと、豪魔を迎撃してくると思われる機械種を狙撃するのは森羅の役目になった。

 もちろん使用するのは猟兵団 夜駆けの雷の副団長に貰った蒼銀弾。


「ありがとうございます!これならばストロングタイプの魔術師系にだってダメージを与えられるでしょう!」


 俺から蒼銀弾を渡された森羅のテンションは最高潮。

 攻撃力に欠ける森羅にとって、マテリアル制御の防御層をほとんど無効化する蒼銀弾は垂涎の的。

 流石にレジェンドタイプには避けられる可能性があるが、ストロングタイプでも後衛系であればその心配もあるまい。

 たとえ空間障壁でも貫通してしまうのが、この蒼銀弾なのだ。

 正しくこのために手に入ったと言われても不思議ではない程の廻り合わせと言える。


「・・・夜駆けの雷か」


 思い出されるのはジルベルト副団長との会話。


「確か野賊の討伐の為に、わざわざ中央から別動隊を率いてきたと言ってたけど・・・」


 中央でもそれなりに名が通った猟兵団。

 普通なら野賊ごときに出向くようなレベルではないはずだが・・・


 もし、その討伐の対象が俺達の相手と同じなのであれば、夜駆けの雷が出張ってくるのも分かる気がする。


「・・・いや、たとえ夜駆けの雷でも、レジェンドタイプにストロングタイプの魔術師系が連携して当たれば、勝ち目はないぞ」


 特に迎え撃つ側となれば地の利があって基本有利に戦えるのだ。

 俺が何度も奇襲を喰らったように、先制攻撃を受ければひとたまりもないだろう。

 さらに野賊の頭目が感応士。

 もう最悪と言っても良い組み合わせだ。


「ひょっとして、俺の未来視のルートでは、夜駆けの雷の別動隊は壊滅しているのかもね」


 俺とやり合ったカイネルも、色々と俺に助言をしてくれたジルベルト副団長も、未来視のルートでは野賊にやられてしまっている可能性が高い。

 そうなれば、猟兵団の面子にかけて本隊が出動するはずだ。


 そして、ぶつかり合う感応士率いる野賊と、中央の猟兵団との全力戦争。

 果たして勝者は?


「・・・止めておこう。多分無意味な想像だ。それよりもこちらの作戦の完成度を上げるのが先だろう」


 おおまかな流れは決まったが、肝心のどうやって本拠地に侵入するかは決まっていないのだ。


「さて、後は俺がどうやって侵入するかだが・・・」


 フェンスを乗り越える・・・

 穴を掘って地下から侵入・・・

 それともヨシツネか天琉に空から運んでもらう・・・、あ、それだと感応士に見つかるから・・・


 下手に侵入すれば、あっという間に機械種ダルタニャンやストロングタイプに囲まれてしまいそう。

 流石に敵陣に1人で大暴れすることになるのは勘弁してほしい。

 何か良い方法は無いものか・・・



 フリフリ


 俺が考え込んでいると、白兎が耳を揺らしてアピールしてくる。


「なんだ?白兎、案でもあるのか?」


 ピコピコ

 

 建物に忍び込む方法を打神鞭の占いで調べればどうか?・・・と。


 うーむ、できれば打神鞭は侵入してからミレニケさんの居場所を探るのに使いたかったが・・・

 

 どのみち、本拠地に侵入しなければ始まらないのだ。

 ここは打神鞭に頼ることにしよう。


 早速、七宝袋から打神鞭を取り出し、占いをしようと構えたところ、白兎がピョンピョン跳ね始める。


 それはいつものこっちを向いてのアピール。

 耳をフリフリ、足をトントン、体中を使ってこっちに訴えかけてくるのは・・・



「え?白兎・・・、廻斗がやってみたいに、自分がやってみたいって?」










「あの・・・、マスター、これから一体何が始まるのでしょう?」


 戸惑い気味の森羅が遠慮がちに俺へと尋ねてくる。


 皆が円陣を組む中、真ん中に居るのは打神鞭を構えた白兎。

 これから行う儀式の為、軽く体を解したり、位置取りを確かめたりしている様子。

 まるで今からお遊戯でも始めそうな光景。

 とても占いを始めそうな雰囲気ではないが・・・


「・・・まあ、見てろ。白兎が神降ろしで俺達を導いてくれるんだ」


 まるで危ない人の発言だ。

 自分の言葉でなければ聞いた瞬間、ヤバい人だと感じて逃げてしまいそう。


「はあ…、カミオロシですか?」


 単語の微妙なニュアンスから絶対に理解していないことが分かる。

 

「そうだ。異界の高位存在を招いて、高次元から情報を取得する手法だ。白兎の手にした棒が触媒となり、多次元への釣り糸となってこの場に降ろす。その為に決められた動作を繰り返す必要があるんだ。」


「おお…、流石はマスターとハクト殿。私のような浅学の身には理解できませんが、よほど難解な仕組みのようで・・・」


 適当な言葉をつなげただけだが、森羅には感銘を与えたようだ。

 だいたい合っていると思うんだけど。


「あ、マスター、始まったようです」


 森羅の言葉に促され、円陣の中央へと視線を向ける。


 そこでは白兎が、以前見た廻斗の舞のように打神鞭を振り回しながら舞を踊っていた。


 しかし、廻斗は猿型とあって辛うじて人型に近かったが、白兎のフォルムはあくまで四足獣。

 2本足で直立できるものの、ダンスともなると勝手が違い過ぎる為、ややぎこちない感じの振り付けとなってしまっている。


 しかし、動きが拙いがゆえに、白兎の一挙一足に注目が集まり、目が離せなくなってしまう。

 幼い子供が一生懸命に慣れない舞を踊っているような光景。

 白兎の丸っこいフォルムと相まって、技術度は低いが、愛らしさ満点の舞となっていた。


「白兎殿、頑張ってくだされ!」

「筆頭殿!棒が落ちそうです!」


 幼稚園児のお遊戯を見る親のように、ヨシツネと豪魔が白兎を手放しで応援。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」


 俺と森羅も食いつくように白兎の舞を見つめ続ける。

 それはテンポが合っているようないないような不思議な舞。


 ピョン、ピョン、ピョン


 パチ、パチ、パチ、


 白兎が飛び跳ねるに合わせて、観客達の拍手が重なり、舞台は一体となって大盛り上がり。 


 やがて打神鞭に光が集まり始め、白兎の全身へと広がっていく。


「来るぞ!高位存在が!異界の神霊が今、ここに降り立つ!」

 

 興奮のあまり叫んでしまう俺。

 白兎を中心に集まっていく不可視のエネルギー。

 それは渦を巻くように辺りを異界の法則へと塗り替える。



 そして・・・



 ピカッ!!



 一際大きく輝きが増し、一瞬の閃光が放たれた。



 輝きが落ち着いた時、そこにいたのは・・・




「あれ?」



 何も変わった様子の無い白兎。

 打神鞭を持ったまま後ろ脚2本で直立したまま。



「お、おかしい・・・、確かに不思議な力を感じたはずなのに・・・」



 何も起こらないことに、戸惑いを隠せない。

 これは占いに失敗したと言うことか?


「・・・お、お」


 その時、聞こえた擦れるの様な人の声。

 それは間違いなく白兎の口から聞こえた音。


「お、・・・お・・」


 漏れ聞こえる低い声質から男性だと思われる。

 白兎に降りてきたのは男神、若しくは男の仙人ということか。


 ふう…、どうやら成功かな。

 一時はどうなることかと・・・

 さて、一体どのような神託が降りるのか・・・



「お、おお・・・・おはよう、ヒロプス君。さて、今回の任務だが・・・」



「うえっ!!」


 思わず吹き出してしまった。


 白兎の口から流れるのは、渋い中年男性の声。

 しかもどこかで聞いたようなセリフ。

 誰だよ?ヒロプス君って・・・


「詳しくはこの指令書を読みたまえ。ここに全てが記されている」


 いきなり飛び出てきた指令書という単語。

 それと同時に白兎の口がカタカタと音を立てて・・・



 カタカタカタカタカタカタカタカタッ!!



 突然、白兎の口からタイプライターのように細長い紙が打ち出されていく。

 まるで超長いレシートを輩出しているかのよう。



 あまりの白兎の奇行に周りが完全に静まり返った。


 そして、俺に集まる皆の視線。


 え?俺が受け取るの?


 

 恐る恐る白兎に近づき、排出された紙を千切り取る。



「えっと・・・14時35分に野賊の本拠地の南西方向に来られたし。身を隠すにちょうど良い草むらがあるので、そこで待機。さすれば侵入の切っ掛けが訪れる・・・」



 ホッ、一応占いとしての啓示のようだ。

 いきなり任務とか、指令とか言われたから、何をさせられるのかと思ったぞ。



 安堵のため息とともに一息ついた俺に、白兎の口からまたも渋い中年男性の声が流れる。


 それは俺の古い記憶を刺激するどこか聞いたことのあるようなセリフ。


「さて、指令書を受け取ってくれた君に伝える。例によって、君、あるいは君の仲間達が囚われ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで・・・」


 あ、これ。アメリカのテレビドラマシリーズ『スパ○大作戦』のセリフだ。

 子供の頃、再放送で見たことがある。

 確かこの後に続くセリフが有名なんだよな。


「なお、このテープは自動的に消滅する。健闘を祈る」


 そうそう、このセリフ。

 それで、この後・・・・・・・あ!


「皆!伏せろ!」

 

 慌てて皆に退避を求めるが、時すでに遅し・・・



 ボフォオオオオオオオオ!!!!



 消火器が爆発したみたいに音が響き、辺り一面に黒い煙が充満。

 濛々と立ち込める黒煙があっという間に皆を飲み込んでいく。




 そして、煙が晴れた後、残ったのは黒墨に塗れた俺達の姿。




「主様、ご無事ですか?」


「・・・・・・まあな」


「うむ。証拠の隠滅は重要ですな」


「いや、それはちょっと違うだろ」


「こ、これがカミオロシですか?なんと凄まじい・・・」


「森羅、全然違うから」



 ピコピコ



 俺達の同じく黒墨で真っ黒になった白兎が耳をフリフリ。



「ビックリしたって?それはこっちのセリフだ。白兎、当分、占いは禁止!」






※ストックがつきてしまいました。

 次話の投稿後、しばらく書き溜めさせていただきます。

 2,3週間後で再開できる予定です。

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