第300話 試合


 草木も眠る丑三つ時。


 人気の無い遺跡内の空き地に突如、紅蓮の炎が渦を巻いて吹き上がった。


 それはまるで生き物のように地面を這い、あっという間に円陣を描いて炎で囲まれた檻を形成。

 あらゆるモノを燃やし尽くす劫火の壁は、外界を隔てて内を異界と化す。

 

 外は虫の声すら響かない夜の静けさ。

 内は濛々と立ち込める熱気に溢れた灼熱地獄。

 


 その地獄に等しいフィールドの中心に居るのは・・・



 この世の理を侵す理不尽なる獣


 己を象りし型から外れた異形


 無辜の人間の心を誑かす妖


 慕う者達へ苦行を与え、その身を混沌へと染めあげていく道を外れしモノ



 フリフリフリ



 両の耳を機嫌良さそうに振り回し、後ろ脚で立ち上がりながら口上を並べたてているその姿は・・・




 宝天月迦獣、白仙兎。

 略して『白兎』。

 俺の筆頭従属機械種にして、宝貝。





 『今宵、強きモノが己の力を試すために立ち上がった・・・』って、前振りは良いから、さっさと始めてくれ。

 こんな夜遅くに、隠蔽陣を展開してくれと頼まれたから、何のことだと思ったけど。



 俺からの催促を受けた白兎は、ささっと口上を切り上げると、右前脚をさっと大きく振り上げる。


 すると、外縁部の炎の一部がフワッと大きく膨らみ、門の形を作り出す。

 その炎で作られた門から姿を現すのは1体の四足獣。


 スラっとした狼型のフォルム。

 全長1.7mはありそうな大型犬以上の体格。

 単独でも機械種オークですら噛み砕き、ゴブリンの群れを蹴散らす機械種ウルフの上位機種。

 中量級機械種ダイアウルフのディア。


 

 そして、対戦者としてリングの反対側から入ってくるのは、2体の軽量級機械種。

 

 1体はディアと同じく狼型の頭部をした140cmくらいの小柄なヒューマノイドタイプ。

 もう1体は30cm程しかない子猿を模したモンスタータイプ。

 もちろん、機械種コボルトのボルトと、機械種グレムリンの廻斗だ。


 なぜか2体とも空手家が着るような白い道着を着込んでいる。

 しかも左胸と背中に『兎』の文字が入った凝りよう。

 どこかの亀仙道場の門下生が着ていそうなデザイン。

 


「おい、白兎。あの2人の道着はどうしたんだ?」


 ピコピコ


「・・・やっぱりこれもエンジュから貰ったのか・・・え、縫ったのは白兎なの?」


 フリフリ


「他に天琉や森羅の分も作ったって?・・・天琉はともかく、森羅はイメージが崩れそうだから止めてくれ」


 ピョン


「え、仲間外れはかわいそうだから、せめてワッペンくらい作ってあげたいって・・・、まあ、ワッペンくらいならいいか」



 珍しく兎の字のマークに強い主張をしてくる白兎。

 何がそこまでお前を駆り立てるのか・・・


 

 それにしても・・・


 ディアとボルト、そして、廻斗の周りを囲む炎で作られた特設リングに目を向ける。


 ちょうど直径20mくらいの円を作り上げる炎は、白兎のスキル、燃焼制御で作られたモノらしい。

 当然、機械種ラビットである白兎にマテリアル燃焼器なんて積んでいないから、これは宝貝としての能力の一部なのであろう。


 つーか、五行の術が使える俺よりも、炎の技を使いこなしているな。

 全くどこまで進化していくのやら・・・


 






 炎で囲まれたリングで対峙するディアとボルト。


 廻斗は後方に下がって待機している。

 どうやらディア1機に対し、ボルト側はハンデとしてタッチ交代制のタッグで相対するようだ。

 しかし、たとえ交代制でなくたって、純粋に機体のスペックを考えたら、ボルト側に勝ち目なんてあるわけない。

 ディアの猛攻に10秒でも持ちこたえたら御の字であろう。

 

 ・・・2機とも白兎の愛弟子というこれ以上ない不確定要素を無視すれば、のことであるが。



 今回の試合のセッティングをしたのは白兎。

 

 朝に起こったディアの行いは、ボルトと廻斗を格下に見ていることが原因だ。

 

 パーティ内の統制の為に上下を決めるのは悪い事ではないが、新参者のディアはボルトや廻斗の実力を正しく認識しているとは言えない。

 だから、力試しとして試合を行い、ディアの意識を改革することが今回の目的らしい。

 ディアがボルトや廻斗を仲間として受け入れる為には絶対必要な儀式だそうだ。


 ちなみにこの場にいない森羅や天琉は俺達の代わりに遺跡周辺の警護をしてもらっている。

 また、ヨシツネと豪魔は駐車場。

 隠蔽時を展開したエリアで杏黄戊己旗による補給中だ。

 

 


 




 およそ10m程の距離を開けて睨み合う両者。

 

 ディアは低い姿勢を取り、いつでも飛びかかれるように。

 

 ボルトは腰を落として、左腕を前に、右手を腰に溜めた構え。


 機械種ダイアウルフであるディアにとっては、10mの距離など一瞬で縮めることができるだろう。

 飛びかかってくるディアに対し、ボルトが素早く反応して迎撃できるのか?

 しかし、たとえカウンターを決めたとしても、機械種コボルトでしかないボルトの腕力で、機械種ダイアウルフにダメージを与えられるのか?


 全ては白兎が教えた『天兎流舞蹴術』のスキルの効果にかかっている。



「ボルト、お前が会得した『天兎流舞蹴術(中伝)』の力を俺に見せてくれ」


 同じ仲間同士の試合であるのに、ボルトだけを贔屓するのはあまり良い事ではないのかもしれないが、心情的にはボルトに頑張ってほしいと思ってしまう。

 

 ダンジョンで倒したお前を持って帰るのは苦労したんだ。

 1段低い等級の蒼石を使ったから、ブルーオーダーには何回も失敗した。

 残念ながら俺がマスターだった時はあまり活躍させることはできなかったけど、エンジュをマスターにしてからは、きっちりと護衛の役目を果たしてくれた。


「勝てないまでも、ディアに一矢報いるくらいは・・・」


 俺がそう、小さく呟いた時に試合が動いた。



 ボルトは腰に溜めていた右手に添えるように左手を重ねる。

 それは見えないボールを両手で抱えているような構え。

 どこか既視感を覚えるポーズ・・・

 ボルトが着ている道着もあって、すぐにその元ネタが思い出される。


「ま、まさか・・・、いくら『天兎流舞蹴術』だって、あの技を再現できるわけが・・・」


 日本人なら・・・、いや、今では海外の人でも知っているであろう日本の有名漫画。

 願いを叶えるという龍玉を追い求める冒険譚。

 その中で主人公達に使われる、ハワイの王様の名前をもじった必殺技。



 ボルトは腰に構えた両手を押し出すように、相対するボルトに向かって突き出した。


 その瞬間・・・




 バンッ!!



 空気が弾けたような音が響き、10mも離れていたはずのディアがよろめく。

 まるで見えないボールを高速でぶつけられたかのように・・・



 あれ?

 想像していたのとちょっと違う・・・

 なんか金色の光が集まってビームみたいに飛んでいくのかと思ったけど。


 

 どうやら威力も大したことが無いようで、まともに喰らったディアの装甲にも破損は見られない。

 精々、相手をよろめかせる程度の効果しかないようだ。


 

 しかし、それでも見えない攻撃、それも10m離れた相手に届く射撃技は警戒すべきモノだろう。

 ディアは先ほどの攻撃に対し反撃の構えを見せる。

 大きく体勢を前にして、飛びかかろうと後ろ足をぐっと地面に踏み込んだところへ・・・



 バンッ!



 その機先を制するようなボルトの2発目の攻撃が命中。

 これもやはりボルトの両手から突き出された空気の塊がディアへ直撃。


 飛びかかろうとしたところへの一撃は大きくディアの体勢を崩す。



 そこへさらなるボルトの連続攻撃が襲いかかる。



 バン、バン、バン、バン、バン



 ひっきりなしに両手を腰に溜めて前に突き出す動作を繰り返すボルト。


 その度にビシバシと衝撃を受けるディア。


 

『波○拳!波動○!○動拳!波○拳!波動○!』



 なぜか脳内で響き渡るゲーム音声。

 かつての格闘ゲームでよく見た映像も浮かび上がってくる。



 なぜにストⅡのリ○ウ?

 白い道着という共通点はあるけれど。



 流石にディアもやられっぱなしではない。

 左右にステップを繰り出し、見えない攻撃を躱そうと試みる。


 それに対し、ボルトも執拗に『波○拳』を連続して放ち弾幕を張る。

 

 しかし、俊敏さでは勝るディアがボルトの突き出す方向を見定め、不可視の弾丸を避け切って一瞬の隙をつきボルトへ肉薄。


 大きく牙を剥き出しに、ボルトへ食らいつこうと飛びかかった。



 

「ガアア!!」




 吼え声とともに飛び上がり、空中からボルトへ強襲をかけるディア。


 体格でも自重でも上回るディアに圧し掛かられては、ボルトに勝ち目なんて無い。



 迎撃が間に合うか?

 それともこのまま押し潰されるか・・・



 空中から襲いかかるディアに対し、波動○の構えを解き、ぐっと膝を落として一瞬しゃがみ込んだボルト。

 その体勢は滝壺から天に昇りつめようとする1匹の伏龍の型。


 

 ダンッ!



 ボルトはしゃがみ込んだ姿勢から弾けるように、拳を天に向けて飛び上がる。

 しかも回転しながらのジャンピングアッパーカット。


 あ、あれは『昇竜○』!

 そう言えば、ボルトは竜巻旋○脚も使いこなすんだったな。

 いつの間に格ゲーキャラになったんだよ!



 

 バキッ!!




 金属同士がぶつかり合る甲高い音が鳴り響き、ボルトの回転ジャンピングアッパーカットにディアが弾き飛ばされた。



 ドンッ



 弾かれたディアはギリギリ空中で体勢を整えて、四足で地面に着地。

 狼狽しながらも、まだまだ闘争心を衰えさせずにボルトを睨みつける。



 スタッ



 回転しながら真上に飛び上がったボルトも、何事もなかったかのように地面に降り立ち、再びディアに向き直って波動○の構え。



「グアアッ!!」



 短い吼え声がディアの口から迸る。

 それと同時にボルトへ向かってダッシュ。


 ボルトは焦る様子も見せずに○動拳で迎撃。

 ディアの俊敏さに対し、弾数で命中率を補うようだ。



 無数の見えない弾丸をとにかく動き回ることで躱そうとするディア。

 

 ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ

 

 短いステップを繰り返し、多少の衝撃は無視してボルトに接近戦を挑む。



 しかし、ボルトはひたすら波動○を撃ちまくり、ディアを近づけさせないような戦法。

 それでも強引にディアが近づいてきた時は・・・



 バキッ



 再び回転ジャンピングアッパーカットを繰り出してディアを弾き飛ばす。



 そんな場面が何度も繰り返され、試合はいつの間にか膠着状態に近い形へと落ち着いてくる。



『波○拳!波動○!○動拳!昇○拳!波○拳!波動○!○竜拳!』



 そんな様子に、またも俺の脳内に懐かしのゲーム音声が蘇る。

 ハメ技ではないが、あの状態に持ち込まれると厄介極まりない。



「白兎・・・、お前の天兎流舞蹴術に何で波動○や昇竜○があるんだよ?」


 俺の足元の白兎に問いかける。


 ピコピコ


「・・・技名は『白動拳』に『翔兎拳』だって?何にでも自分の名前を放り込んでおけば良いってもんじゃないぞ!」


 全く・・・

 コイツはどこから前の世界の知識を仕入れているんだか・・・


「・・・それよりも気になるのが、あの体格差でよくボルトが弾き返されないな。いくら技が優れているといっても、重量では1.5倍違うだろう。上手く攻撃がヒットしたからといって、ああも簡単にディアが弾かれるなんて・・・


 フリフリ


「何々・・・『翔兎拳』の技の出かかりには無敵判定があるから・・・って、おい!そこまでこの世界の物理法則を侵食するな!」


 ボルトはエンジュの従属機械種なのに・・・

 そこまで白兎の面白不可思議ワールドに染まってしまって大丈夫なのだろうか?



「お、どうやら両者とも千日手状態に落ち着いた様だな」


 試合に視線を戻すと、ディアもボルトも距離を置いて睨み合ったまま。

 

 どうやらディアはある程度距離を取れば、ボルトの『白動拳』を躱せるようになったらしい。

 ボルトもこれ以上は無駄撃ちになると分かって、技を撃たずに構えたまま。


 しかし、ディアも距離を詰めると躱すのが難しくなるから近づけず、ボルトも白動拳以外の遠距離攻撃を持っていないみたいだから、お互いお見合い状態となってしまっている。


「ふむ。ここまでかな・・・・・・・あ!」


 ボルトは突然構えを解いてディアへ一礼。

 そして、後ろで待機中の廻斗の元へと戻り、身を屈めてハイタッチ。


「選手交代か・・・」


 そう言えばハンデキャップ付き変則タッグマッチだったな。

 もう十分にボルトの実力が示せたということのなのだろう。 


「これは・・・ボルト以上に体格差が著しいな」


 ボルトからのタッチ交代でリングに出てきた廻斗はやる気マンマンといった感じ。

 しかし、体長30cmの廻斗と体長1.7mのディアではまともな勝負にはならないはず。

 たとえ通常のグレムリンに比べ、廻斗のパワーが10倍であろうとも、そもそも機械種ダイアウルフの能力はグレムリンの10倍では済まない。

 体格差と重量はそのまま攻撃力・防御力に繋がるのだ。

 その差をどれだけスキルの力で埋められるのか?

 

「今回のキーポイントもスキルの効果によるのだろうが・・・」


 ボルトの天兎流舞蹴術のスキル等級は『中伝』だった。

 おそらく『中級』程度に匹敵するモノと思われる。

 軽量級機械種が保有しているとは思えない程の高レベルスキルだ。


 だが、廻斗の天兎流舞蹴術のスキル等級は『幕下級』。

 これはこの世界の等級で言えばどの位置に当たるのか?

 相撲の番付で言えば幕内・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口の上から3番目であるが、『関取』と言われる一人前力士の称号は十両より上からだ。

 であれば、上級や中級に値するモノではないはず。

 最下級か、それとも、下級なのだろうか?


 

 ・・・・・・・あれ?

 なんか俺、自分でもおかしなことを真面目に考えているような気が・・・




「あ・・・、廻斗がいきなり仕掛けた!」


 俺が思考に気が取られている間に廻斗とディアの試合が開始され、即座に廻斗が動いた。


 空中に飛び上がったと思うと、そのままディアへ突撃。

 ディアも開始早々廻斗が突っ込んでくるとは思わず、ほんの少し反応が遅れたよう。


 廻斗はその隙をついてベタリとディアの頭へしがみつく。



「ウオオオオオン!!」



 リングにディアの怒りの咆哮が木霊する。

 

 それもそのはず。

 廻斗はそのままディアの頭に乗っかり、耳を掴んで乗馬の体勢を取ったのだ。

 あれだけ格下の廻斗に乗られることを嫌がっていたディアのこと。

 隙を突かれたとはいえ、到底我慢ならないことだろう。



「グオオォォ!!」



 頭に乗った廻斗を振り落とそうと暴れ回るディア。

 四足獣の形であるディアでは頭に手が届かないから、この状態を何とかする為にはその方法しかない。


 しっかりと耳を握りしめて振り落とされまいとする廻斗。

 それは暴れ馬、暴れ牛を乗りこなそうとするカウボーイのよう。

 足でディアの首をがっちりと絞め、両腕で抱えるようにディアの耳にしがみつく。

 


 この展開は予想していなかったな。

 真正面からでは勝負にならなかっただろうから、変則的な勝負に持ち込んだのだろう。

 だが、乗馬勝負では根負けした方が負けみたいなイメージがあるが、生身と違い機械種だと疲労は無いだろうから、どの辺りで決着がつくのか分からない。


 廻斗はディアが諦めるまでしがみつく必要があるが、ディアは廻斗を振り落とせば終いだ。


「廻斗はどうするつもりだ?しがみつくだけでは勝てないぞ」


 それにイザとなればディアは・・・

 自機が傷つくことを恐れなければ、頭の上に乗った廻斗を振り落とすのはそれほど難しい事では・・・

 


 その時、暴れ回っていたディアの動きがピタリと止まる。


 そして、顔を上にあげて後ろ足にぐっと力を込めた。



「はあ…、やっぱりそうするよな。どうする?廻斗」



 俺の呟きがため息と混じって吐き出された時・・・




 ビュン




 ディアが廻斗を頭に乗せたまま大きく飛んだ。

 機械種ダイアウルフの脚力を全開にした大ジャンプ。

 その一飛びで高さ10m以上まで飛び上がる。



 ちょうど見上げれば、真夜中に浮かぶ月に重なるその姿。

 狼に乗った子猿が輝く月をバックに幻想的な影絵を作り出す。


 ただしそれは一瞬の光景でしかない。

 すぐさま重力に引かれて落下する以外に結末は無く・・・



 ・・・重力?

 そう言えば廻斗は・・・




「キィ~!!!」




 夜空に響く廻斗の勝利宣言。

 それはいつまで経っても空中に留まったままのディアの頭の上で行われた。


 空中で重力の網に捕らわれてジタバタと足掻くディア。

 もうこうなってしまってはビーストタイプでしかないディアではどうしようもない。


 しばらく身をよじらせていたが、やがて諦めて全身の力を抜いてしまう。

 このまま廻斗がさらに空へ上昇していけば、自分に勝ち目がないことが分かったのであろう。



「見事だ、廻斗」


 この勝負、廻斗の作戦勝ちといった所だろう。

 いくら廻斗のマテリアル重力器が自重の10倍である300kgの重量物を持ち上げることができても、それはあくまで動かないモノに対してだ。

 頭の上に乗ったからといって動き回るディアを持ち上げるのは、重力制御を持たない廻斗では荷が重い。

 でも、相手が自分から空中に飛び上がってくれたら話は別。

 そう仕向ける為にあえて頭に飛び乗って挑発を行ったであろう。



 廻斗はディアが降参したのを見て、ゆっくりと地面に降ろしていく。


 そして、ディアの足が地面に着くと、ポンっと頭から飛び降り、ディアに向かって一礼する廻斗。


 

 フリフリフリ


 そこで白兎の試合終了の合図。

 リングを囲む燃え盛っていた炎は、白兎の意向を受けて、一瞬で消え去っていく。

 


 炎が消えるのを見て、廻斗へ駆け寄り労をねぎらう仕草を見せるボルト。

 それに身振り手振りで応える廻斗。

 その両者を複雑そうな目で見ているディア。



 ピョンピョン



 そんな3機の間に介入する白兎。



 ディアに対して、ボルト、廻斗の実力を認めるように促し、

 ボルト、廻斗に対しても、勝負は時の運であり、努々油断しないよう釘を刺したり、

 

 ピコピコ


 同じパーティメンバーであるのだからと、お互いに不毛な諍いは起こさないことを約束させ、

 それぞれ得意不得意分野があり、自分のマスターの役に立つ為、メンバー同士の連携を深めることが重要なのであると力説。


 白兎の話を受け、お互いに目を向け合う3機。


 やがて誰からという訳でもなく、手を差し出して重ね合う。


 それはきっと友情と呼ぶにはまだ足りないモノ。

 ただお互いの実力は認め合った。

 あとは時間が解決してくれるはず。



「一時はどうなることかと思ったけど、流石白兎といったところかな」



 いつでもみんな仲良くと行きたいが、きっとそれは無理な話。

 でも、俺の周りだけでも仲の良い雰囲気で居てほしい。


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