第7話 夜の重さ、昼の暗さ
学校を休み始めてから1週間が過ぎた。さすがに家族も心配している。行かなければならない。友達に会いたい。先生に会いたい。授業を受けたい。部活に行きたい。それでも、夜寝付くのが午前2時。目が覚めるとすでに日は高く昇っていた。
たまたまある日は日付が変わるころには眠りにつけたので、次の日しばらくぶりに学校に行った。1時間目には間に合わなかったので、少し保健室で休み、2時間目から出席した。先生たちも心配していた。それでも学校にいることが苦痛だったため、3時間目の終わりには早退した。
学校にもはやいられなくなった。授業は受けたいし、部活にも行きたい。それでも、学校にいることが苦痛だった。新種の拷問のようだ、とさえ思った。昔から学校が好きだった私には信じられないことだった。
学校が苦痛だった原因は「揺れ」と「音」だった。
この高校は歴史ある高校だったので、校舎が古く、廊下を先生が歩いただけでも教室中が揺れるほどだった。近くを車が通るたびに揺れた。もちろんほかの生徒はその揺れに気付くことさえしない。ただ、私は揺れるたびに机の下に隠れたくなるほど怖かった。怖くて授業どころではなかった。先生に指名されても、何を言っているのかわからないときもあった。神経はすり減るので、授業が終わるころには心も体もクタクタになった。前の高校の時もしんどかったが、その比ではなかった。
次に、音だ。例えば同級生がシャープペンシルを落としたり先生が黒板にチョークで書き込んだりするだけでも、私の身体がひどく硬直した。気が変になるのではないかと思うほど、その音が怖かった。いつも怯えていたし、びくびくしていた。呼吸が苦しくなり、激しい動悸がする。手首に親指をあてて脈拍を測ると、やはり頻脈だ。胸が締め付けられるように息ができなくなり、授業中に深呼吸を何度もしたが、何も変わらなかった。1から100まで数字を数えてみようとしても、30に届く前にまた頻脈と動悸がする。
次第に学校に行けなくなった。
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