第10話 ハーレムの作り方です



 チュッ、チュパッ、チュチュッ…



「んにゃあ…ハァハァ、で、殿下…奥様・・はその、よろしいので…す、んにゅうぅううっ!」

 今日もエイミーはすごくよく鳴いてくれる。僕が抱きしめて濃厚にキスするだけで耳まで真っ赤、顔はトロトロだ。


 エイミーを拾ったあと、僕は彼女に考え付く限りの愛で方をした。なので今では僕がちょっと可愛がってあげるだけで、すぐに微熱に浮かれた女の子へとデキあがっちゃう。


「基地の視察の時は女将軍さんに集中してたし、ぜんぜん構ってあげられなかったからね。ずっとご無沙汰だったし、今はエイミーを愛でてあげたいんだ」

「ハァ…ハァ…ハァ…、で、殿下ぁ~……」

 前世の記憶を総動員して徹底的に愛であげた猫獣人メイド。数分のキスの嵐でお互いの口は太い唾液の糸で結ばれた。








 お嫁さんには ” お預け ” させてる僕だけど、エイミーにはいっさい気遣わない。なぜなら彼女を拾った時から、僕のお嫁さんの一人――――側室にする気でいたからだ。


「(なのでエイミーが僕の赤ちゃんを産んでくれても構わないし、遠慮もしなかった…けど)」

 今は事情が少し違う。アイリーンを正式にお嫁さんにしてからは、そこのところはキチンと回避するようにした。

 さすがに奥さんよりも先に赤ちゃんができてしまうと色々と大変なことになるかもしれないし、何よりアイリーンが嫉妬してしまう。


「(ドロドロの愛憎劇とかそういうのは嫌だもんね。産んでもらうとしたら正式に側室に迎えてからかな、やっぱり)」

 エイミーは僕が4歳の時に拾ってからずっと側付きのメイドを務めている。なので、アイリーンからしたら歳は下でも、僕に付き従ってる時間で言えば先輩だ。


 戦いに生きてきた彼女は体育会系のさがとでもいうべきなのか、その辺りのリスペクトはしっかりしていて、メイドとはいえエイミーには一定の敬念でもって接しているし仲も良い。僕より3歳年上で同性な分、なおさらだ。



「(エイミーを側室に向かえてもたぶん大丈夫なはず。父上様も信頼してたヒトの娘だし、彼女の経緯を考えると反対する人も出てくるとは思えない)」

 もしエイミーを側室にする事に否定的な言動や立場を取ると、かつての事件に加担していたのかと周囲から睨まれかねない雰囲気が、いまだに残っている。


 何より、家も財も失ったとはいえエイミーはその血筋で考えても亡き父親の唯一の後継。本当なら爵位を授かり、その立場を回復してもらえる貴族の資格ある者だ。

 城に出入りする他の貴族な人々からしたら、エイミーは保護されて当然の立場にある同輩。


 ところがその復権を断って、僕のメイドさんでいる事を彼女は望んだ。もちろん僕が色々と・・・した事で、彼女の心が僕一色に染め上げられたのが原因だ。






「アイリーンの事も考えると、なるべく早く側室に向かえる方がいいんだけど…」

 エイミーを一通り愛でた後、僕は一人で自分の部屋から外の景色を眺めながらぼんやりと考えていた。


 もうすぐ11歳になる。


 4歳でエイミーを拾って、8歳でアイリーンと結婚して……そして、半年ほど前にサーカスの女の子を堕とす事にも成功した。

 将来のため、現時点で僕の周囲を固める人材は、まだ3人しか確定していない。


「(……セレナはもう一押しするだけで堕とせると思うけど、位とか考えたらやっぱり彼女も僕の側室に入れるのが一番なんだろうなぁ、対外的に考えて)」

 むしろ今までの女の子の中ではセレナ将軍が一番、王弟の嫁に相応しいと思われる女性だろう。


 何せ、アイリーンは僕が選んだからこそお嫁さんにできたけれど、元は名声こそあっても地位や出自の伴わない女性だし、エイミーは元は一角ひとかどの御嬢様とはいえ没落している家の生き残りという事実は、一生ものの傷のように拭い消せない。


 そこにきてセレナことセレナーク=フィン=ヒルデルトは、出自も完璧ながら実力で准将にまで出世した女性。

 今でこそ後方基地の守将に甘んじているけれど、立場や身分も加わって、王族の仲間入りする女性としては一部の隙もない。


 しかも軍の男性幹部たちは、彼女が王弟の妾になれば要職の椅子が一つ空くと考え、諸手を上げて歓迎してくれる可能性が高い。僕が望むだけでスムーズに彼女をめとれるだろう。


「(でも、そうするとセレナは将軍職を…軍を退役する事になるわけで。僕としては、軍の実権をある程度握ったまま側室になってくれるのが望ましいんだけどなー)」

 軍幹部であり続けてくれてれば、僕が将来お飾り将軍にされても、彼女の助けを十二分に得られる。何より彼女がいれば、彼女の元で働いた事のある兵士さんが僕に従ってくれやすくもなるはず。


「(セレナが退役する事なく僕の側室にする方法…これを考えなくっちゃ。順番とタイミングも間違えないようにしないと…)」

 アイリーンに僕の赤ちゃんを産んでもらうタイミング、エイミーとセレナを側室に向かえるタイミングと順番、そして……


「(あの娘もどう扱うか考えないと…)」

 あの娘とは、他でもないサーカスに所属してる女の子の事だ。

 お城からなかなか外出する事が出来ない僕に変わって、外でのことを色々とお願いしている。


 情報や流行はやりの品物の代理獲得、何ならもっと踏み込んだ活動をお願いしてもいいかもしれない。


 そんな彼女への見返りは、密かに会いに来るたびにエイミーと同じように愛でてあげる事で僕との関係は成立していた。



「…うーん、ハーレムって大変。まだまだ人数も足りないし、増やしたら増やしたで皆がケンカしないようにしないといけないし…」

 前世の感覚でいえば、男の夢であるハーレムを楽に築ける身分に生れ、なんて幸運なんだ! と思いたいところだけれど、いざ実際に築いていくにつれて気苦労の方が多い事を実感しはじめる僕。


 背があまり伸びず、見た目はショタのまんまだけれど、10を過ぎてからは徐々に精神面が大人の感覚に近づいてきたように思う。


「……僕の身の回りを固めるハーレム、もっともっと万全なものにしていかないと」



  いつまでも・あると思うな・ショタ容姿

 


 成長と共にタイムリミットは近づいてくる。

 僕は広い空を見上げながら、もっと積極的に行動を加速させていこうと誓った。





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